2007.08.07
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カテゴリ: 彩の国 石仏閑話
 十干十二支の甲子(きのえね)の晩に、大黒天を祀り、豊作や商売繁盛を願う民間信仰を甲子待ちという。庚申待ちは徹夜、月待ちは月の出までを原則とするのに対して、これは子の刻(深夜12時)までとする。白ネズミを大黒天の使者と想定する。とくに、子の月である11月の甲子待ちを重視する。

 その講中の祈念碑を甲子塔と呼ぶ。甲子、大黒天、子待ちなどの文字や大黒天の図像を刻むので、分かりやすい。

 写真は東秩父村大内沢・大内神社にある甲子塔で、線刻の図像も添えられている。

 いわゆる大黒様は、米俵の上にあって、にこやかな顔で福袋を背負い、打出の小槌を持つ。この姿は大国主命と習合した和製大黒天である。七福神や恵比寿・大黒の大黒天も同様だ。大黒天と大国命との字面の類似から、意図的に創り出されたものである。

 甲子待ちが「子」、つまりネズミに拘るのは、大国主がネズミに助けられたという神話に由来する。大黒天自体はネズミとは無縁である。

 仏教本来の大黒天は、その名のとおり、暗黒の帝王で、忿怒相の戦闘神だ。その図像は、三面六手でドクロの瓔珞(ようらく。首飾り)をつけ、背後に象の皮を掲げる。剣をにぎり、山羊をぶら下げ、さらに人間の毛髪を把持して捕捉する。

 この「人頸を執る」姿が、庚申の青面金剛が把持するショケラの原形であろう。  




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最終更新日  2007.08.07 22:12:26
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