2007.08.14
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カテゴリ: 彩の国 石仏閑話
 写真は、北本市宮内の路傍にあって、延宝元年(1673)に建立された石碑だ。聖観音の浮き彫り像だが、彫られた文字を読まなければ、何の石碑か判断できない。

 「奉造立六十六部為供養」と読めるので、六十六部供養塔であることが分かる。「大乗妙典」とか「廻国」という文字があれば、やはり六十六部供養塔と考えて間違いはない。聖観音ではなく、地蔵や阿弥陀如来などを彫る石碑のほかに文字塔もある。なお、大乗妙典とは法華経の美称。

 この石碑は、諸国を遍歴する行脚僧が、目的達成の記と念ともに、その功徳を他者に施す供養塔だ。その目的とは書写した法華経を全国66の霊場に一部ずつ納めること。

 鎌倉時代末期に始まった習俗だ。当時の全国は66か国で構成されていたので、その回国巡礼僧は六十六部と呼ばれた。略して六部ともいう。

 これは、56億7千万年後に弥勒仏がこの世に下生するまで、法華経を各地に分散保管しよう、という趣旨だ。

 もちろん、写経がそのような超長期の保管に耐えると思っていたわけではない。経典を語り継ぐという意気込みであり、その行脚自体が修行であって供養でもあった。

 彼らは、粗末な墨染め木綿の着衣で、銭を乞いながら旅を続けた。「乞食坊主スタイル」の元祖で、行き倒れになる者もいた。




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最終更新日  2007.08.14 09:18:22
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