2007.08.20
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カテゴリ: 彩の国 石仏閑話
 西国33所、坂東33所、そして秩父34所を巡拝すれば、百観音の霊場巡りが完結する。徒歩で巡った時代には、膨大な労力と時間と金を要したことは、現代の比ではない。

 その完結を祝って建立するのが百番供養塔だ。しかし、当人の記念碑に止まるわけではなく、巡拝で得た功徳を広く他者に施すという思想に基づく。それが「供養」だ。

 巡拝は本来、一堂の中の多仏を拝すことだった。室町時代頃から、より多くの仏を拝すという数が重視され、各地の霊場行脚が始まる。初期は僧侶や行者の修行の旅だったが、江戸時代には庶民にも普及・流行する。

 写真は、ときがわ町・慈光寺参道に林立する板碑群の間にある石碑。阿弥陀三尊を浮き彫りにし、「百八十八所」の文字が読み取れる。

 これは、百観音巡りに加えて、四国88所の弘法大師霊場を巡ったことを表す。

 この石碑は、全体に白っぽい斑に被われて無残な姿だ。これは、苔でも黴でもなく、ウメノキゴケという名の地衣類。菌類と藻類が共存している複合体なのだという。身近な例では、食用となるイワタケが地衣類の一種だ。

 石碑には迷惑な地衣類も、環境汚染の指標となる。雨水や夜露で水分補給するため、空気汚染に弱い。苔むす石碑は空気が清浄な証拠。都内の石碑には、これが少ない。




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最終更新日  2007.08.20 18:41:45
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