2007.09.03
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カテゴリ: 彩の国 石仏閑話
 弁才天を祀り、己巳(つちのとみ)の日に供養する信仰集団を巳待ち講という。写真は、江南町押切の小さな墓地にある巳待ち塔で、享保十二(1727)年に建立されたものだ。

 この弁才天の頭上には、鳥居と人頭蛇身の宇賀神(うかのかみ)が載っている。八手には、それぞれ各種武器や宝珠、鍵を持つ。

 このタイプの弁才天は、鎌倉中期につくられた和製偽経に基づく。鳥居や蛇は稲荷神との習合を表し、宝珠は吉祥天と混淆されて福徳財運の象徴。鍵は宝蔵を開くもの。これを「宇賀弁財天」という。

 二手に省略して、剣と宝珠だけを持つ石像もあるし、蛇や宝珠で弁財天を表す場合もある。蛇との縁が深いため、巳待ちの「巳」を蛇のように変形させる文字塔もある。種子「ウ」を蛇形の異体字とする例もある。

 ところが、弁財天の石碑には「巳待」ではなく「日待」と添え彫りすることも多い。日待ちは、庚申や甲子、巳待ちなどを含めた総称としての用語でもある。日待ちと巳待ちは別物なのだろうか。

 実は、前述の偽経では、供養日を「白月(びゃくげつ)」または「巳と亥の日」と指定する。とすれば、亥の日を供養日とする講もあり得る。巳の前日の辰の日と定める講も実在した。

 巳の日でなければ「巳待」とはいいにくい。信仰内容は同じでも、あえて「日待」と表記したのかも知れない。




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最終更新日  2007.09.03 18:23:21
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