2007.10.02
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カテゴリ: 彩の国 石仏閑話
 不動明王は密教の代表的尊格で、主に加持祈祷の本尊とされる。大日如来が教化しがたい衆生救済のために忿怒(ふんぬ)の姿で現れたものだ。その姿はインド・カースト制度の最下層民の容貌といわれる。

 図像では多面多臂も見られるが、石像では一面二臂の座像または立像が一般的だ。写真は、秩父四番札所・金昌寺境内にある精巧な石像。建立年は不明。

 岩上にあって迦楼羅炎(かるらえん)を背負い、右手に剣、左手に羂索(けんさく)を持つ。額に水波という皺を寄せ、右の目は天を睨み、左目は地を見据える。二本の牙はそれぞれ上下に向く。頭頂には莎髻(しゃけい)、辮髪(べんぱつ)は必ず左前に垂らす。実に特徴豊かで、一度見たら忘れないだろう。

 辮髪を左に垂らすのは、不浄な左側を覆い隠すという意味があるという。納衣などを左肩にかけるのも同様だ。

 不動明王は、空海が唐からの帰途、請来したもの。空海自身は「不動尊」と呼び、大日経にも「明王」という尊称は書かれていない。このことから、不動明王という言い方は適切ではない、という説もある。寺によっては、不快に思われるケースもあるので、不動尊と呼んだ方が無難だ。

 不動尊には、二童子随伴という日本独特の三尊形式がある。向かって右の衿羯羅(こんがら)童子は恭敬(くぎょう)小心者、左の制多迦(せいたか)童子は悪餓鬼とされる。いずれも子どもの特性に過ぎない。 




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最終更新日  2007.10.02 21:03:54
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