2008.02.04
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カテゴリ: 彩の国 石仏閑話


 コケという名がつけられていても、生物学的にはコケ類ではない。菌類と藻類が共存している複合体を地衣類という。ツンドラ地帯では、この一種がトナカイの餌となる。身近な例では、食用のイワタケが地衣類だ。ウメノキゴケには灰白色や薄緑、薄黄色など何種類かある。

 コケに被われた石仏は、ときには風情のある写真になり得る。しかし、ウメノキゴケは写真ばかりか、石像にとっても迷惑なものだ。場合によっては、セメントで補修したように見えることもある。

 拡大して見ると、マッシュルーム形の堅い葉状体の集合で、タワシで洗う程度では落ちない。強くこすれば、石の地肌を削り落とすことにもなりかねない。

 地衣類は、年に3mmぐらいしか成長しないのが通例。このことから、石の表面の年代を測る指標に利用される。また、夜露などで水分補給するため、汚染された大気中では生育しにくい。つまり、環境汚染の指標ともされる。東京都心部の石仏にウメノキゴケが少ないのは、大気汚染がその原因の一つだ。

 石材のphにもよるが、ウメノキゴケに被われるのは、空気が清浄な証拠といえる。


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最終更新日  2008.02.16 11:53:09
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