ジョーのありじごく
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吉祥寺にららマートというお店がある。スーパーマーケットである。古くから吉祥寺を知る人にとっては、「大和銀行」のあった場所にある。ただ、「ある」という表現より、「あった」と過去形で書く方が適切かもしれない。というのも、どうやら閉店した可能性が高いからだ。今日、JRで東京駅に向かうべく吉祥寺駅に向かっていた時のこと。たまたまいつもと異なるルートで駅に向かったのだが、ららマートの前を通ると、なにやら張り紙がある。「都合により、11月15日より当分の間、休業させていただきます」これは典型的な倒産のパターンである。よく、潰れかけの会社に勤務している従業員が冗談で、「朝出社したら、いきなり張り紙だけあって会社に入れなくなっていたらどうしよう」なんて話をする。実際、ごくごく最近、私も、某企業に関して、そういう社員の噂話を聞いたことがある。ららマートのその張り紙を見たのはこれから外出するところだったので、数時間後、帰宅してからネットで情報収集することにした。全国区の大企業でもないため、ららマートの話題はそれほどはなかったものの、どうやら倒産したらしい。他のお店も同時に閉店したそうである。一説には社長がお金を持ち逃げして、存続が困難になったというような書き込みがあったが、真偽の程は定かではない。ただ、恐らくららマートに出店している中華の総菜屋であろうか。そこのHPに、「ららマートを運営する株式会社ワールド倒産のため、○○店は閉店しました。当社のお惣菜は○○、××、△△でお求めになります」といったニュースが掲載されていた。恐らく、一部の取引先には倒産を通知していたのであろう。倒産はほぼ間違いのない情報だとは思うが、どういうアクションが取られるのであろうか。民事再生法であろうか。某調査会社の月曜日の倒産情報には記載されるのであろうか。注目したいところ。しかし、このららマートの倒産は少々困ったことである。というのも、これほど使い勝手の良いスーパーはなかったからである。年中無休で深夜まで営業し、ほとんどコンビニ並みの便利さである。自宅から最短のコンビニは徒歩5分だけど、そこからさらに5分歩けば、ららマートに行けた。コンビニよりははるかに安い。コンビニ代わりとしての使い勝手の良さに加え、スーパーとしての機能も素晴らしかった。お酒の品揃えはバカに出来ないほど充実していたし、食材はいつも何かしら、意味のある目玉商品があった。だから、いつも大混雑であった。恐らく、日常的な食材の半分は、ららマートと、もう一軒ロジャースというお店で調達していると言える程である。消費者の意見が反映された、とても優れたスーパーだと思っていた。こんなスーパーを経営している会社はいい会社だなぁとも思った。でも、結局は資金繰りに行き詰ったのか。ららマートのHPはまだ閉鎖されていない。もしやと思い、「お知らせ」のページを見ると、なんと「2008年10月20日池袋店オープン」のニュースが。最新の出店から1ヶ月も経過しないうちに倒産とは。推測するに、直営店での店舗展開だろうから、出店には大金を要しただろう。運営する株式会社ワールドは、HPによると、1997年の設立と社歴は11年で、店舗数は最新の池袋を含め12店。当初年1店舗程度の出店が、吉祥寺店を開店した2004年から加速し、年2件ペースとなる。恐らく、吉祥寺の成功で攻勢を強めたのだと思う。ただ、池袋店の開店はその前の開店の1年半後であり、池袋という都心への出店に時間や金が掛かったろうことは想像できる。ららマートは、最新の池袋店を除いてすべて郊外型である。倒産したのかもわからないし、倒産したとしたら、その本当の理由も分からない。しかし、今は単にメーカーが値上げするのみならず、安く買えるスーパーが潰れて・・・。こうして我々が体感するインフレ率は確実に上昇している。
November 16, 2008
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