ぜんちゃんの風に吹かれた日々

ぜんちゃんの風に吹かれた日々

2005年11月14日
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カテゴリ: ライフスタイル
その日ボクは仕事帰りにコインランドリイに寄った。

それは使用中というより洗濯機が停止しているにも関らず衣類がそのまま放置されているのだ。
勝手に中の衣類を取り除いて洗濯機を使用するわけにもいかないのでブックストアで少し時間を潰す事にした。
40分ほどしてコインランドリイに戻ったがまだ二台とも衣類が放置されたままだった。
「なんてマナーの悪いヤツらなんだ!」
そこのランドリイで以前にも同じ事があったのを想い出す。
その時は日中だったのでボクは少し意地になって何度も覗き込んで見たが、なんと5時間も経過しているのに停止した洗濯機の衣類は放置されたままだった。

そのランドリイの奥に小さな洋服の仕立て直し屋が半日ほど管理を兼ねて開店している。

ボクはちょっと腹を立てた。
だったら他所のランドリイに行けば良いのだけれどそこの店にこだわる理由があった。

まずそのランドリイは大通りに面していて店内が非常に明るいのである。
つまり安全性がより高いと思えるからだ。
そして店の入口には自動販売機が設置され、店内にテレビも置いてあるので洗濯しているあいだ時間が潰せるのである。

そのせいもあり利用客も比較的多いようである。
だからなおさらボクはムカつくのだ。
「もっとみんなが気持ちよく利用出来るようにきちんと管理しろよ!」
知らずに声を出してボクは怒ってみせた。

仕方なくそこから比較的近い距離にあるランドリイを利用する事にした。
そこは24時間営業しているディスカント・ショップの駐車場の奥にあった。


壁に設置されているFMラジオからパーソナリティの声がやかましいほどに無人の店内に響き渡っていた。
数十台の洗濯機と乾燥機は全部空いているようだった。

ボクは誰に気を掛けることもなく「初めから素直にここに来ていれば良かったよ」などと言葉をこぼしながら「断然に此処の方が機械は新しいしキレイだし、もう、あんなところに二度と行くものかよ」と一人偉そうなセリフを吐き捨てた。

洗濯を終えた衣類を乾燥機に放り込んで、ボクは正面入口の長椅子の端に腰掛けた。
そして店に置いてあった雑誌を手に取りぼんやりとページをめくったとき、年恰好30歳半ばの女性がいきなり入ってきた。


数分後、またその女性は大きなバックを担いでランドリイに入ってきた。
ボクはこれからそのバックに入っているであろう衣類を洗濯するのだなと思った。

しかし女はボクの目の前でブルゾンのポケットから柏餅を一個取り出すと突然それを食い出した。
まるで取り憑いたように丁寧に柏の葉の部分を剥がしながらグチャグチャ食い出したのだ。

女はボクがそこにいたのを気付かなかったのだろうか?
いやそうではない。ときおりギッと唸りはしなかったがボクを確かに見た。

そして女は柏餅を食べ終わると指を丁寧に舐めたあと、ボクのすぐ右側にある手洗い場で簡単に手を洗い、また大きなバックを担いで出て行った。

女はそれっきり入っては来なかった。
女はいったいランドリイに何をしに来たのだろう…。
何故にいま柏餅なのだ…。
世の中いろんな人がいるんだなあと呑気に思ってはみたがやっぱり怖かった。






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最終更新日  2005年11月14日 22時56分57秒
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