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港町食堂 奥田英朗の本を読み終える。抱腹絶倒の旅行紀だ。その旅行記で気にいった文章があった。『だいたい「生きがい」だの「自分探し」だと言うのは、現代病の一種である。「みんなが主役」などとマスコミが甘言をささやいた時点で、人は新手の悩みを抱えるようになった』その後「学徒出陣の記録」を読む。色川大吉の記述にこんな文章があった。「死を前にしても自由が無いという事が、飢餓感をいっそう望みのないものにしている」「飢えの前では性欲なんて贅沢な本能だ」「人間をギリギリに追いつめるもの、徴兵検査で人間を四つん這いにさせ人間の尊厳を失わせる」「飢えに追い詰められたとき人間がどんなに下劣にあさましくなるのか。それを見た人間は人間の尊厳をどう信じたらいいのか」 改めて感じた。生きがい」だの「自分探し」だと言うのは、飢えの前では考える余裕すらないんだと。贅沢な現代病の一種なんだと。 港町食堂はとにかくたべまくる紀行文である。飢餓と飽食は相いれないものである。ゆえに人間の尊厳を奪いつくす飢餓に対して底知れぬおそろしさを感じた。
2015.03.20
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桜のつぼみがひっそりと付き始めるころいつもこの歌を聞いてしまう。「春の木漏れ日の中で~」森田童子のこの歌って、学生運動で死んだ友人の事を思って作った詞だそうだ。チャーリーパーカーって言うジャズサックス奏者の詩の部分が出るたび、地下の薄暗いジャズ喫茶に迷い込んでしまった錯角に囚われる。きっと今読んでいる「学徒出陣の記録」のせいもあるんだろう。学徒出陣の生き残った人達の手記を読む度、いつも思う。「戦争の無い時代に生まれて良かった」熊谷陸軍飛行学校で訓練した土田直慎の手記の冒頭はこんな文章から始まる。「数多くの若者が死に、生き残ったのは、少なくとも、事戦争に関してはおおむね屑ばかりと言うのが、この戦争であった。その屑どもが今になって戦争について云々しても始まるまいが、一つの史料として残したい趣旨だそうだから出来るだけ率直に当時の私を振り返ってみよう」「お前たちは消耗品である」「死ぬことだけが生きがいであった」「隊での写真は無い。どうせ死ぬと決まっている者が何で人に姿を見せる必要があるのか。黙って死ね」「卑怯者と言われるのが一番嫌だった」「凍傷で快く眠って死ぬのだから、あんな気持ちのよい死に方は出来ないだろうと思うと惜しい事をしたという気持ちはいまだに消えていない」死を望んだわけではない。無理やり黙って死ねと言われた。未来に希望なんか何もない。マッサンのドラマの中でもロシア、シベリアの虜囚から帰国した甥っ子が言うセリフがある。「飢えで○○の中から出てきたものを食べた」飢えに対してこんな極限の話が出るとは思っていなかったので襲撃的だった。「映像の世紀」で、終戦間際ロシアで塩漬けの「人肉」が売られていたと言う話も出てきた。飢えは人間の尊厳を奪ってしまう。その極限に至るまでの生活が出来ている日本。森田童子の歌を聞いても実際死ぬわけじゃない。歌を聞ける自由がある生活。なんだかほっとした。
2015.03.19
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高速参勤交代題材の掴みが良いので、最後まで笑えながらのんびりと見ることが出来た。時代劇の作品としては、ノリはとても軽いけど、喜劇としてみればとっても、とーてもおもしろい。なんせ猿が真剣白刃取りやっちゃうんだからね。最後の切り合いのシーンなんか絶対死んだと思わせる秋山って藩士が助かって姫に包帯を巻かれてる。あ、あれは反則だ。ああやっぱ物語って殺すばっかりが能じゃないなって、思わずほっほっほっとほころんでしまった。悪役も最後まで引かずに終わる。うーん、物足りなさも、完全懲悪のお仕置きも半端じゃねぇーく軽いぞ。ま、映画だから、架空の事だし、ま、いいんかいな。ところで今日も「ヘークショイ」花粉がきつくって、この時期いつも思う。日本の春って住みにくくなったなあ。でも花粉で誰も死なねえ。この、活かさず殺さずの中途半端なパターンも半端じゃねえとまあ、書きながらAUのCMで有村架純の可愛さも半端じゃねーなぞと全然最初の話とは関係ねぇところで、半端じゃねえーなさを楽しむか。
2015.03.12
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吉田調書を読み解く 門田隆将福島原発の未曾有の危機を命がけで守ろうとしている人達の事を朝日新聞が誤報報道したことによるジャーナリストの驕りについて、露わにした本。所長命令に違反して9割撤退した人達に対して朝日新聞社のジャーナリストはちゃんと裏付けは取っていたのか?吉田氏の取った行動を我が身に置き換えて考えてみるがいい。「死」を覚悟して仕事をするという事は、どういうことなのか。この記事を書いた本人、そして朝日新聞社としての姿勢について猛反省するのは当然の事だ。戦う人間を安全な場所から見物し、したり顔で論評する。そして最後には冷笑する。そんなジャーナリストであってはならない。明日は3月11日、もう4年経つのか。実際に現場を目で見て、体感した風景は忘れることができない。ご冥福をお祈り申し上げけます。
2015.03.10
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女性漫画で一番売れた漫画本だそうである。これが結構面白い。今32巻目に突入。この漫画は壮絶ないじめがテーマにもなっている。この辺のところが愛読者を増やした理由でもないかな。
2015.03.03
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