益子焼陶芸人エイジ♪◆職業的陶芸生活◆

弟子にして下さいっ!


僕はもうすっかり、陶芸以外の仕事に興味が無くなっていた。
盆休みの間に「退職」を心に決め、下世話だが、年末のボーナスを貰ったら「会社を辞めよう」と考えていた。

その週の日曜日にいつも通り先生の元を訪れた。ガラスの引き戸を軽く開けると、目の前の大木のテーブルでコーヒーを啜っている先生がいた。
「こんにちは」の次に言葉が出ていた。
「会社を辞めて、バイトをしながらでも陶芸をヤル決心が着きました。弟子にして下さいっ!」
先生は持っていた白いマグカップを静かにテーブルに置き、キャスターマイルドを少し燻らせながら言った。
「頑張るんだよ・・・。」
煙草の煙はゆっくり、2mほど往くと小さな渦を巻き始め、白い龍が絡みつくように薄暗く、微かに黒光りする梁の間を摺り抜けて行った。




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