09. Dingle Golf Club





ディングルのコースがあるのはディングル半島の突端の北側にあるバリーフェリターという寒村で、何もない村だがカントリーライフに憧れる人にはうってつけの場所で旅先としてとても人気があるらしい。また、この地域の美しく雄大な自然も魅力の一つだ。ちなみに、アイルランドのドライブに関するエントリーの景色の写真のほとんどはこの地域で撮影したものだ


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このゴルフ場はヨーロッパで、最もアメリカに近いゴルフ場だと言う。アイルランドの最西端、つまりヨーロッパの西の端にあり、その西には大西洋が広がっている

B&Bの朝食時、そんな話をアメリカ・ウィスコンシン州からやってきた、60代半ばのトレッカーに話ををすると身を乗り出してきた。「ゴルファーはそんな風にそこでゴルフをするために様々な理由を見つけるのよね」とは、彼の奥さんの弁。友人女性と二人は、また男たちのゴルフ話が始まったという顔をしながらも、童心に帰ったかのように談笑する二人を見守る優しさに満ちていた

彼女に「男たちで盛り上がってごめんね」と告げると「人それぞれ盛り上がるスィートスポットを持っているのよね。私と彼女は自然の草花が大好きで、その話になると何時間でも盛り上がれるけれど、そんな時、彼はつまらなさそうなのよ。だからお互い様ね」と笑った



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ディングルでのラウンドは残念ながら組み合わせのプレーとはならなかった。この日はメンバーによる競技の日で、そのためのスタート枠が押さえられているのだそうだ。月例のようなものかと聞いたら、毎週日曜日は会員がステーブルフォードで競技を行っているとの事だった

本当は競技の組が全てスタートした後にラウンドをするはずだったのだが、スターターが3人組の後では待ち待ちになってしまうので、先に出ていいよとのこと。なんともイイ加減だ。素振りもそこそこにティオフし、1番、2番とサクサクとホールアウトして行く


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アイルランドに来てから、組の前後で渋滞が発生することはあまりなかったのだが、さすがに3ホール目くらいから渋滞に突入してしまった。どうやら、前の3人組のその前で老齢の二人がラウンドしていて、ペースが遅いようだ。すると、前の3人は4番ホールで彼らと一緒にティショットを打ち、すぐに前方の二人に追いつくと、先にホールアウトしてしまった。こうやって遅い組は早い組をパスさせ、お互いのペースで気持ちよくラウンドをしていくんだなぁ

junhiroもほどなく追いつくと、二人はどうやら年老いた夫婦らしい事に気がついた。さっさとホールを終え、ティショットを打ち終えた二人にすかさず、声をかけてパスさせて欲しい旨をお願いした。もちろん快くOKしてくれた。2打目地点までの短い会話だったが、当たり障りのないどこから来たのかという質問が思いがけない展開を見せた

「日本のなんと言ったかしら、Hから始まるところに今年のクリスマスにスキーに行くのだけれど、雪は降るかしら」と。「北海道ですね」と答えると、「そうそう、そこよ! 息子が香港で働いていて、去年のクリスマスも北海道にスキーに行き、とても素晴らしかったので今年も予約を入れてもらったのよ」とは奥様の弁。奥さんはかなりしっかりしていたが、旦那さんは歩くスピードも相当に遅く、球の行方も自分ではわからないようで、彼女が面倒を見ていた

「もしペースが合うようならこのまま一緒にラウンドしても良いわよ」と言ってくれたが、ラウンド後の移動が長いのと、たまたま2打目がきっちり乗ったので、そのままパットを沈めて先に進んだ

こうして偶然に知り合う人たちが、みな良い人で、かつその半分ほどは日本と何らかの絡みがあるのだからビックリだ。日記のネタに困らないので助かる



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junhiroより先に老夫婦をパスした3人組は、10番ホールでティショットを終えると、junhiroが追いつくのを待っていてくれた。慌ててティショットを打とうとすると、時間をかけて良いから慌てるなと優しい言葉をかけてくれる。 3人のうちの一人は左打ちだったが、面白い事にパッティングは右というゴルファーだった




ディングルはコースの面白さや手入れの感じは、過去3日間に回った他のコースと比較すれば、格下かもしれない。しかし、広々としたフェアウェイにおらが村の牧歌的なゴルフがそこにあった。ある意味ノーザンに近いような雰囲気を持っている。ここでは、ビジターよりも圧倒的に村のプレイヤーが多いようだ。他のリンクスコースはいわゆるリンクスマニアを多く見受けるがここはそのリストには入っていないタイプのゴルフ場だからだろう

数ホールの間、また一人旅が続いたが、18番ホールで先行の二人に追いついた。ここでも当然のように3人目としてティショットを打たせてもらう。競技に参加している二人だが、一人はティショットをチョロしてすぐ手前のラフに打ち込んだ。チョロと言っても100Yほどは飛びそうな当たりだったが、ラフにかかるとあっという間に勢いをそがれ、20Yほどしか進まなかった。そこから5回を要してようやくフェアウェイにボールが届いた。そんな彼を見て、このゴルフ場では上手い下手は関係なくオラが村のゴルフ場で、みんなのゴルフ競技を楽しんでいるのだと感じた


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実はここでプレーしながら、「ゴルフってスコアをつける事が本当に必要なのだろうか」と思ってしまった

もちろんマッチプレーで各ホールでの勝ち負け、あるいはポイントターニーのポイントを決定するためにホールごとのストローク数をカウントする必要はあるかもしれないが、競技でないのならトータルのストロークの意味とは何だろうと考えてしまった

いや、自分がいつも70台で上がれるなら、そんな事は思わなかったもしれない。しかし、こんな雄大な眺めの中でボールの軌跡を追っていくほど素晴らしいことはないし、思い通りに打てたショットだったり、カップの周りをクルリンとして憎々しげにそこに鎮座するボールだって愛おしく思えたりする。それだけで十分じゃないかと



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ラウンドを終えるとプロショップでお土産を物色。バリーバニオンに続いてディングルのショップでLyle&Scotのセーターを買ってしまった。日本では20Kくらいするのに、こちらでは6Kで買える。胸にメーカーのロゴは入っていないが、ゴルフ場のロゴが入っており、上腕部にメーカーの刺繍がついている。実は、去年の冬はコートを着ないことにこだわって、スーツの下にセーターを着ていたがこれが殊の外気に入り、今年もセーターとスーツで過ごそうと思っている。そこで、セーターをもう1-2枚買っても良いなと思ってはいたが、まさかこの旅で2着も買ってしまうとは

スーツケースにこれ以上はモノが入らないので、各ゴルフ場でマーカーとロゴボールを買うだけにしないと、、、



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ディングルの周遊路の西端のあたりに突如としてキリスト像がある。ここで、60過ぎくらいのご夫婦と出会った。オランダから来た二人は、この地を42年振りに訪れたのだという。3週間ほどかけてアイルランドの南西部をのんびりと回っているのだとか。いつかカミさんとそんな旅をしてみたいなと思った


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ふらりと立ち寄った石造り風のしゃれたカフェレストラン、The Stonehouse Restaurantでは海が見える席でBaily’s Coffeeをいただいた。Bailey’sはjunhiroが若かった頃に好んで飲んでいリキュールをクリームで割った食後酒だ。カルーアミルクを想像してもらえれば、近い感覚かもしれない。コーヒーにそれを入れた飲み物がBailey’s Coffeeだ。コーヒーはいまだに苦手だが、こういうモノで割ってあれば飲める

この店のオーナーはjunhiroが一人で不憫に思ったのか、席の近くを通るたび何くれとなく話をしてくれる。junhiroの旅にもとても興味を持ったようで、どこそこのゴルフ場にも行った方が良いとアドバイスをくれた。店を出て、建物の写真を撮っていると彼が出てきて、写真を撮ってやろうと申し出てきた。そこでまたこの建物についてしばし談笑。「とてもこのお店を気に入ったよ」と伝えると「ありがとう。もし良かったらTrip Advisorにコメントを書いてくれないか」

Trip Advisorは今回の宿泊先を決めるためにも利用した、旅先のホテル、レストラン、観光地や、移動手段などに関する口コミサイトだ。このレストランだけでなく、バリーバニオンで泊まったB&BのオーナーもTrip Advisorにコメントしてくれたら嬉しいと言っていたので、旅行者のホテルやレストランの選択に与える影響が大きいのだろう



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この日は長い距離をドライブしたが、その中でjunhiroと同じ車を多く見かけて嬉しかった。ここでも自分と同じ車が頑張っているなぁと。気づいたのは同じ車でも日本ではあまり人気がない、灰色が混じったくすんだ感じのブルーやグリーンの車が多いという事。自分が車を買う時にこれらの色は全く頭になかったが、こちらの空や風景の色には殊のほか似合うようだ




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この日の宿泊予定のロッジにチェックインすると、そこから歩いてすぐの、別のホテルに併設されたパブでギネスではなく好物のサイダーを注文。サイダーといってもちゃんとアルコールが入っていて、こちらのパブではどこでも置いてあるし、スーパーでも売っている人気の飲み物の一つが


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そして、カウンターに座ったままアイリッシュシチューを注文。31アイスの3スクープ分はあろうかという山盛りになったマッシュポテトが二つに、ラム肉がゴロゴロ、そして人参がとろみのあるソースに浮いているといった感じのシチューをいただきお腹を満たした


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明日は1880年代の後半に開場と歴史のあるDooks Golf Clubでのラウンドだ。Dooksは難しいと会う人々が口々に言うので、楽しみでもあり、ちょっと不安もあるがどんな一日になるのだろうか

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