04. Old Macdonald

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オールドマクドナルド、このコースを語るために必要なのは
アンジュレーションと素材だろうか、、、

そしてバンドンデューンズの4つのコースの中で本当の意味での
リンクスコースと言えるのはこのコースに違いない




今日は残りの2コース、オールドマクドナルドと初日に
9ホールだけ回ったバンドンデューンズを旅する日だ

オールドマクドナルドは今年の6月にオープンしたばかりだが
アメリカあるいは世界のゴルフの多くのメディアに取り上げ
られていて、すこぶる評価が高い

もしかしたら将来はバンドンデューンズやパシフィック
デューンズをしのぐ存在になるかもしれない、そんな話を
バーでする人もいたくらいだ

それを裏付けるように2010年9月号のゴルフマガジンでは、
アメリカ国内のパブリックコースで、開場から2か月しか経って
いないオールドマクドナルドが10位にランクされている


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3番ホールはブラインドホール
枯れ木を目がけてティショットを打って行く

木の右側を狙えば丘を超えるのに必要なキャリーは少なくて
済むが、セカンドショットは遠くなる




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この丘を反対側から見ればとてつもない下り傾斜に
なっている

ブラインドホールをフェアでないと言う向きもあろうが、その
土地が持つポテンシャル、そしてゴルファーのスピリットに
訴えかける方法としては悪くないとjunhiroは思う




この日は、50代半ばくらいのブライアンとマリアン夫妻と、
カートの3人に混ぜてもらってのラウンドだ 

3人ともバンドンデューンズには何度も来ていてすっかり
お気に入りのゴルフ場だという。 夫妻は遠くフロリダから、
カートははシアトルからやって来たという。 自己紹介の時に
マリアンが何やら話したのだが早口で聞き取れなず、適当に
相槌を打った

後にブライアンが自分たちは3日前に結婚したんだと教えて
くれたのを聞き、彼女もそれを言っていたとすぐに理解して、
あわてて彼女の元に侘びと、そして、おめでとうを伝えた

二人は以前から付き合っていて、昨年ここを訪れた際に
パシフィックデューンズの17番ホールで彼がプロポーズ
したのだとか。 そして、今回はこのリゾートで結婚をし、
友人のカートとゴルフを楽しんでいるのだそうだ

やっぱりここは多くのゴルファーにとって特別な土地なのだと
改めて感じた


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残念ながら羊が掘ったバンカーではないが
盛り上がったこぶを削れば、こんなバンカーがあちこちに
できてしまう




さて肝心のコースだが、まだラウンドしたことはないが
スコットランドのセントアンドリューズはきっとこんなコース
なのだろうと想像した

フェアウェイ、グリーン共にアンジュレーションが想像を超える
ほど大きく、ボールどころか人の姿を簡単に隠してしまう。 

セントアンドリューズには18番のグリーンの前にValley of
Sinと呼ばれるくぼ地があるが、あんなイメージのくぼ地が
あちこちにあり、時にはグリーンの中にもそれが横たわっている


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自分の腕のせいだという事は十二分に認識して
いるが、写真で立体感を表現するのは本当に難しい

ひとたびこのデコボコ感を体験したならば、他のコースの
凹凸がかわいく見えるに違いない




フェアウェイは他のコースと比較すると砂の上にやっと
フェスキューが根付いた感じで、クッションはなくボールが
転がるのでこの傾斜を注意深く読んでボールを運ばな
ければならない。 その状況ではボールを上げても、自分が
狙ったまさにそのスポットに落とさない限りはどこに跳ねて
しまうかわからないので、ともかくボールを転がすことが要求
される



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7番はショートと呼ばれる350Y足らずのパー4だ
ただし、グリーンへのショットは急激な打ち上げが待っている




なるほど、これこそ真のリンクスゴルフだろう。 バンドン
デューンズやパシフィックデューンズは、海沿い、打ち上げや
打ちおろし、ポットバンカー、にもしゃもしゃのフェスキュー、
砂地でランが出る波打つフェアウェイに、うねったグリーンと
一通りのリンクスの要素は満たしているが、オールドマック
ほどボールを転がさないとゴルフにならないと思わされた
コースはない

このコースはオープンしたばかりなので、ところどころに生えて
いるゴースはまだまだ若木だが、芝が厚みを増し、ゴースが
成長する5年後にはとんでもないコースに化けているに
違いないと直感的に感じた

そしてその思いは日本に帰ってからますます大きくなった




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そして7番のグリーンに乗せた瞬間に待っている光景は
太平洋を一望する素晴らしいものだ

が、、、実はjunhro、ここでグリーンのあっちとこっちで
往復ビンタを喰らい、この景色を楽しむ余裕が全くなかった




ところでオールドマックの名前の由来だがアメリカのゴルフ
設計家の始祖であるマクドナルドに敬意を表して名づけ
られている。 アメリカにゴルフが入ってきた当初のコース
設計はスコットランドから渡ってきた人が手掛けていた

そんな中で設計家として名を残した最初のアメリカ人が
マクドナルドなのだそうだ。 とはいえ、ここバンドンで
作られたこのコースはの意匠にもとづいてコピーをする
わけではなく、偉大なゴルフと言うゲームの精神を活かし、
彼の時代にゲームの主流だったグリーンとウェアウェイの
切れ間がなく、50メートルからでもパットができるような
そんなゴルフ場を作ったのだそうだ




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カートがつかまったポットバンカー

幸いなことにポットバンカーにつかまった事は4.5ラウンドを
通じて一度もなかったが、逆につかまってみたかった、それを
経験してみたかったと思う気持ちがあることも事実だ




しかし、それにしてもものすごいアンジュレーションに打ち
上げだ。 いくつかのホールでは砂山の向こうにグリーンが
あったりしてキャディやガイドがないとどこにいるのかさえ
わからないようなところもある。 アイルランドでラウンドを
したバリーバニオンやラヒンチでも同様のホールがあった
ことを思い出した




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コース設計家はコース予定地を丹念に歩き回り、コースを
特徴づけるシンボルを探す。 トムはこの枯れた木をシンボルの
一つとしたわけだ




ALPSと名前が付けられた16番ホールでは、スコット
ランドのプレストウィックのそれと同じくDune、つまり
砂丘を超えるショットが要求される。 砂丘を超えた向こう
側にグリーンがあるのだがピンの位置はおろか、グリーン
すら見えないのだ。  そして、パッティングを済ませると
グリーン脇の鐘を鳴らして後続にグリーンが空いた事を
知らせる仕掛けになっている



ALPSの他にもEden, Sahara,Biarritz, Redanなどなど
古のリンクスのホールをミニマリズムの原則に則り現在に
再現したホールが続いている


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アルプスと呼ばれるホールはロングヒッター以外は
2打目がブラインドとなる。 写真右奥の丘の向こうから見えない
グリーンに向かってセカンドショットを強いられる

運良くパーオンしたが20m近いパットが残った。 気合いを
入れたパットが30センチほどに寄り、ブライアンのキャディが
ボールを蹴って返してくれたのは嬉しかった

写真の左手前に見えている柱が後続にグリーンが空いた事を
知らせる鐘だ




18ホールを旅して思ったことは、しつこいようだが
このコースはおそらく今後数百年に渡って人々の心を
魅了するコースになるだろうという事

セントアンドリューズが多くのゴルファーに愛された
ように、、、

ただし、スルメのようなコース故、一度の旅では足りない

2度、3度と足を運びこのコースの奥深さを知った時には
このコースに虜になっているだろう。 そしてそう遠くない
将来、バンドンデューンズを代表するコースと言えば
バンドンデューンズでもパシフィックデューンズでもなく
このオールドマクドナルドになっているのではないかと思う


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オールドマックのフェアウェイは相当に広く常識的に
考えればフェアウェイを外すことは中々に難しい

が、このポジションから写真を撮っているという事は
その難しい作業を成し遂げた証拠だ




USGA(アメリカのゴルフ協会)の重鎮たちがこのコースの
視察ラウンドをした時の評価は必ずしも高くなかったそうだ

曰く、このコースには戦略が存在しない。 設計家の意図が
感じられないという事だ。 それに対して若手のメンバー
達は別の考えを持ったという。 確かに広大なフェアウェイと
グリーンを持つこのコースには、コース自らが指定する戦略、
ポイントがないように感じられるかもしれない

しかし、戦略はコース設計家が決めるものではなく、プレイヤー
自らが決めるものであり、この広大なフェアウェイもグリーンも
プレイヤーの意図で攻めようがいくつも存在するのだと

つまり算数のように一つの答えを追及するコースなのか
あるいは国語や道徳のようにどのように解釈をするかを
問われるコースなのかと言う事だ



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時間をかけてこのコースが熟成されれば、その評価はますます
上がるだろう。 そして21世紀のセントアンドリューズという
称号をもらえるかもしれない

その称号をオールドマックが喜ぶかどうかは別問題だが、、、




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