授業研究のあしあと

授業研究のあしあと

ヘロンの噴水


2004年7月の実践です。月刊初等理科教育2006.1月号に紹介されました。

ヘロンの噴水

☆☆☆授業の様子から☆☆☆

(1)「ヘロンの噴水」を作る

 導入では,教師が作製した「ヘロンの噴水」を子どもたちに提示した。すると,子どもたちからは,「すごい」「おもしろい」「どうして水が噴き出すのだろう」という声があがった。そこで,提示した「ヘロンの噴水」を参考にして,それぞれの班で「ヘロンの噴水」を作ることを知らせた。

 子どもたちは,必要な材料と道具を受け取ると,勢いよく製作を始めた。はじめは,びんと管をつなげば完成すると思ったのであろう。しかし,簡単には水は噴き出さない。子どもたちは,提示した「ヘロンの噴水」をじっと見つめながら,ゴム管やガラス管の位置やつなぎ方,そして,びんの中の水の量などを観察し,何度もくり返し試す姿が見られた。

 しばらくすると,「水が噴き出した」という歓声があがった。そして,次々とどの班も「ヘロンの噴水」を完成させていった。しかしながら,勢いよく水が噴き出す班と,そうでない班もあり,その後も,いろいろな工夫を続けていった。その中に,「びんの中の水の量を多くすると,勢いよく水が噴き出すのではないか」という考えがだされる。しかし,どの班もびんの中の水の量を増やしてみるが,反対にまったく水が噴き出さなくなってしまった。

 授業の終わりには,どの班も「ヘロンの噴水」を作り上げることができたが,どうして水が噴き出すのか説明することはできなかった。今後,「ヘロンの噴水」のひみつを探っていくことを子どもたちに伝えると,「えー?」とどよめきが起こるとともに,「やってみたい」「調べてみたい」という声が次々に聞かれた。

 これまで,意識していなかった「水」と「空気」により「ヘロンの噴水」という不思議な現象が起こったことで,「分かりたい」という挑戦意欲をすべての子どもにもたせることができた。このことは,その後の追究の中で「友達の発見に耳を傾ける」「分かったことを友達に伝える」「分からないことを友達に質問する」という他者とのかかわりを生むことにつながっていく。

(2) 水の噴き出し方の違いに着目する

 しかし,「ヘロンの噴水」のひみつを探るという共通の目標ができたものの,ほとんどの子どもが追究の手がかりさえもつことができていない。そこで,びんに水を入れ,管をさし空気を吹き込み,その管から水が噴き出す現象を子どもたちに提示した。

 実際に,子どもたちもやってみると,たしかに水が噴き出す。何度か繰り返しやっていくうちに,子どもたちは,水の噴き出し方に違いがあることに気付き,次のような疑問をもつようになる。

 どうすれば,勢いよく水を噴き出させることができるのだろう。

 そこで,これまで気付いたことや疑問に思ったことを話し合わせた。「息を強く吹き込めばよい」という気付きが発表されるが,同じように息を吹き込んでも,水の噴き出し方に違いが出るという気付きもだされる。そして,このように気付きや疑問を話し合い,もう一度試してみることにより,びんの中の水の量によって水の噴き出し方に違いが出ることが明らかになっていった。

 どうして,びんの中の水の量の違いによって,水の噴き出し方が違うのだろうか。

 このとき,「ヘロンの噴水」でも,びんの中の水を多くしたときは水が噴き上がらなかったことが,子どもたちに思い出された。その後,この疑問に対し,予想を話し合う中で,「水の量が多いときには,なかなか息を吹き込むことができなかった」などの気付きも発表され,子どもたちは,次のような課題を設定していった。

 閉じこめた空気と水の性質に,どのような違いがあるか調べてみよう。

(3) 空気と水の性質を調べ,「ヘロンの噴水」の仕組みを追究する

 子どもたちは,「ヘロンの噴水」のひみつを探るために,透明の筒を使って閉じこめた空気と水の性質を調べていった。まず,透明の筒に空気を閉じこめ,棒で圧して力を加えた。すると,空気は縮み,棒を圧し返した。
 「この空気の圧し返す力が,水を噴き出している。」

 空気に圧し返す力があるということは,子どもたちにとって驚きであり,「ヘロンの噴水」のひみつの解明につながる発見でもあった。また,同じように筒の中に水を入れて実験してみるが,全く縮まない。このことも,子どもたちは,「びんの中の水の量を多くすると,水が噴き上がらない」ことと結びつけて考えることができた。

 この後,子どもたち一人一人が「ヘロンの噴水」を作り,それぞれの家庭へ持ち帰り,そのひみつについて説明することができた。

 このように,子どもたちは,「ヘロンの噴水」のひみつに挑戦し,友達とかかわり合いながら空気と水の性質を調べ,空気と水に対する見方や考え方を身に付け,そのおもしろさや不思議さを実感することができた。

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