
| 体験談 |
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| 怖~い話 -その1- |
| 黒猫の怨念 |
私はよく、ヒマになると深夜のドライブに出かけます。
どこへ行くという目的地があるわけではなく、ただ好きな音楽を聴きながらその時の気分しだいで気ままにドライブしているのが好きなのです。
深夜にもかかわらず、近郊の山や峠などにも出掛けます。幽霊話のある所などへでも平気で出掛けちゃいます。
友達は、一人でそんなところを走っていて怖くないのかと聞きますがヘッチャラです。
幽霊話なんて信じてませんから。
ただし、幽霊話は別としても、執念や怨念というものには怖さを感じます。
あんなことがあってからは…。
あれは、丁度、去年の夏の出来事でした。
私はいつも走りなれている深夜の国道バイパスをいつものようにアクセルを思う存分にふかして疾走していました。
昼間は混雑するこのバイパスも、深夜ともなると行き交う車がほとんど見当たりません。
「また今夜も貸切状態だぜぃ。カイチョ~、カイチョ~。ケ~ッケケケケ~!」
快調なだけに怪鳥のような笑い声を上げて疾走していました。
ちょうど笑い疲れた頃です。私の進行方向のはるか前方の闇の中でナニかがキラリと光りました。
私の車のヘッドライトの光が何かに反射したのでしょう。
「ナヌッ?」
私は調子付いて赤キップゾ~ンをはるかに超えてしまっていた車の速度をグ~ンッと一気に下げて、先程、ナニかが光った辺りに目を凝らしながら近付いていきました。
「あれかぁ。轢かれたんだなぁ…。」
私は路上に横たわる子猫の姿を見つけました。
さっき光ったのはこの子猫の眼に私の車のヘッドライトの光が反射したのでしょう。
私はゆっくりと車を近づけると、子猫の手前で車を止め、シートに腰を掛けたまましばらくその子猫を見つめていました。
よく見てみると、まだかすかに息があるのでしょう、その眼は薄くも開かれ、胸躯も小刻みに動いているのがわかりました。
私はまだその子猫が死んではいないとわかると、その場を立ち去りがたく、車から降りてその子猫の傍らに立ちました。
その子猫は生まれてまだ何日もたっていない赤ちゃんでした。
シッポの先から、足の先から、どこからどこまでも真っ黒な見事なまでの黒猫でした。
「かわいそうにな…。」
この世に生を受けて、まだ間もないであろう子猫の、その横たわる姿は哀れでした。
行き交う車が一台もない中、いつになくセンチになった私はその場から離れるきっかけを失いつつしばらく佇んでその子猫を見つめていました。
どれくらい、その場でそうしていたでしょうか、さっきまで苦しそうに小さく荒く喘ぐ様に繰り返されていた子猫の呼吸もいつの間にか途絶えがちになり、力なくも薄く開かれていたその眼も今は閉じられようとしていました。
「臨終か…。」
その時です、私は何か異様な気配を感じました。
私は辺りを見回しました。
深夜の、しかも町外れの広い田園地帯を貫くバイパスです。遠く遠くの方に寝静まった民家の影が一つ、二つと認められるだけです。
それにしても、異様な気配です。
私は道路の周り、畑の中と、その異様な気配の正体を突き止めようと暗闇の中を目を凝らして探しました。
「エッ!」
思わず私は声をあげてしまいました。
道路から少し離れ暗闇に包まれた草むらの中に黄金色に光る二つの丸いモノが見えたのです。
私を不安にしている異様な気配はその草むらの辺りから伝わって来ていたのです。
「ナンだ?あれは…。」
私はその二つの光るモノの正体を見極めるべくそちらの方向に身構えました。
暗闇に目が慣れてきたのでしょう。やがてその二つの光るモノの正体がわかってきました。
大きな黒猫が草むらの中から、今にも飛び掛らんばかりの物凄い形相で眼をクヮッと見開いて私を睨み付けていたのです。
その姿に気圧されて驚いた私は慌てて車に飛び乗りました。
「オレが轢いたんじゃないよ!オレが轢いたんじゃないよ!」
黒猫に向かって何度も何度も叫びながら私はその場から一刻でも早く立ち去ろうと、思い切り車を急発進させました。
迷信など信じたことのない私でも、もしや祟られやしないだろうかなどと不安に怯えながらルームミラーで子猫のいた辺りを何度も何度も確認しながらアクセルペダルを思い切り踏み込みました。
私がその場を去るのと同時に草むらから飛び出してきたのでしょうか、子猫の母親と思われる大きな黒猫が冷たいアスファルトの上に力なく横たわる子猫の傍らで慈しむ様にその、もう死骸となってしまったであろう子猫に寄り添おうとする姿が見えました。
私は恐怖と不安の中、一刻も早く人がいる町の中へ辿り着こうと無我夢中で車を飛ばしました。
どれ程経ったでしょうか、やがて町の灯りが目前にせまり、もう一息で町に着くといった頃です。
もうここまでくれば安心だろうと、ふとルームミラーで車の後方を確認した途端…。
私の心と体は凍りつきました…。
そこには、いつの間に追いついたのでしょうか、私の車のすぐ真後ろで、子猫を咥え、二つの大きな光る眼を煌々と輝かせて必死の形相で私の車に追いすがろうとする黒猫の走る姿が写し出されていたのです。
コレ がその時の画像です → Click