2011年02月10日
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森田実『戦後左翼の秘密』潮文社、1980年、pp.281-284より
 六○年安保から一、二年後のことです。唐牛健太郎が当時の右翼の大物といわれていた田中清玄の世話になり、安保闘争で資金援助を受けたことを、TBSがセンセーショナルに放送したのです。この放送の中で、私の談話が有力な資料として使われました。この原因の一つは私の軽率さにありました。迷惑をかけた人たちには申し訳ないことをしました。この経過を話しましょう。
 六○年安保から一、二年後のある日、古くからの知人の共同通信社の記者から電話があり「同僚の村岡記者に会ってくれ」というのです。電話してきた記者は東大の一年先輩で大学時代からの知り合いでした。こんな関係でしたから、私はまさかワナが仕掛けられているとは思わなかったのです。
 しばらくして村岡記者が訪ねてきました。季節は冬でした。家族がお客をコタツのある居間に招き入れました。この時私は別の部屋にいて、村岡記者が部屋に入った頃を見計らって居間に行きますと、もう一人女性記者がいます。村岡記者は「仲間です。一緒にきました」というだけで、ちゃんと紹介しません。女性記者も軽く会釈するだけで名乗りません。
 こんな時、普通なら警戒するのですが、その時、生まれて間もない長男を抱いていましたので、あまり気にもとめなかったのです。あとで、この記者が吉永記者だと知りました。
 私は村岡記者の質問に答えて、かなり気楽に答えていました。一時間ほどのインタビューが終わって、二人の記者が帰るとき、コタツの中からテープレコーダーが出されました。うかつなことに、私はこの時まで自分の談話が録音されていることに気付かなかったのです。それでも、私は相手がTBSの放送記者であることを知りません。念のため一言、「記事にする時は、もう一度私の承認を得てほしい」といいました。相手はうなずきました。
 しばらくして「ゆがんだ青春」がTBSラジオで放送され、大反響が起きました。新聞や雑誌が、これを次々に記事にし、六○年安保闘争の裏側でひどい腐敗が起きていたというイメージづくりが行われました。共産党は鬼の首でもとったように「森田は腐敗分子だ」と書いていました。いつのまにか、私が田中清玄から金をもらったように書く新聞・雑誌まででてきました。私のところには、あらゆる方面から抗議の電話や手紙が来ました。
 その中でとくに印象に残っているのは、執拗な脅迫電話です。関西弁で「オレは関西のヤクザだが、オマエは許しておけない。必ずヤッツケてやるから、身辺を気をつけろ」と繰り返し電話をかけてくるのです。(中略)

 私には脅迫の主が、ほぼわかっていました。いくら関西弁でごまかしても声の質はかくせません。私の村岡記者への談話によって最も傷ついた人間--唐牛健太郎と彼の仲間--であることは、ほぼわかっていました。(中略)
 その日、脅迫者が来るのを私は待っていました。だが、午前一時になってもきません。二時になってもきません。もう来ないのかと思った時です。門につけたベルがけたたましく鳴り出しました。十分、二十分と鳴りつづけます。(中略)
 私は一度は結着をつけなければならないと考え、門をあけようとすると、女房がヤクザはドスをもっていると大変だからといって、警察に電話しようとしています。やっとのことでこれを止め、その代わりに防御用にゴルフクラブをもって出ることにし、門の内側で、何回か振り下ろす練習をしてから門のカギをあけました。その時です。脅迫者が逃げ出す足音がきこえました。私が門の内側でゴルフクラブを振り下ろす練習を見ていたのでしょう。足音は二、三人のものでした。
 脅迫者は、近くの道の角から私の方をうかがっていたようでした。私は門の前に立って、二十分ほど、ゴルフクラブでデモンストレーションをしつづけました。
 脅迫電話はこれを契機になくなりましたが、ここには、新左翼の頽廃した姿が示されていると思います。つまり暴力主義です。尚、最近、酒の席で島自身からきいたことですが、この中には島成郎もいたということでした。

http://hanako61.at.webry.info/201004/article_10.html
村岡記者というのが この本に出てくる 村岡博人記者のこと
彼が 全学連が かなり荒っぽく動くので 疑問に思っていたところ
警察筋が あいつらがどこから金を引いていたか 調べると面白いぜと指摘を受けて 当時 はぶられていた面もある 森田実に聞き込みに言ったというのが この背景にあります
前回のエントリーで 西部が 知らない知らないを連発していますが
嘘つけということでしょうな






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最終更新日  2011年02月10日 16時59分30秒
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