不良中年・天国と地獄

不良中年・天国と地獄

2007年01月11日
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カテゴリ: 映画

1月8日(月)新宿ジョイシネマ1にて

藤沢周平原作、山田洋次監督というコンビによるシリーズ3作目。主演にテレビドラマの視聴率男、木村拓哉を迎えた超話題作です。

制作=2006年 松竹映画 121分。出演=木村拓哉、檀れい、坂東三津五郎、笹野高史、小林稔侍、緒形拳、桃井かおり、大地康雄ほか

いまなぜ藤沢周平なのか、を論じたいですが、スペースがありません。小生はこの作家をあまり評価していないのです。それを書くと映画評とかけ離れてしまうので、別の機会に譲りましょう。

本作は、公開前にはキムタクの演技力に最大の疑問が投げかけられていました。キムタクは何をやってもキムタクで、 一本調子なセリフ が時代劇に合うかどうか、多くの人が危惧を抱いたのです。

前半、その 心配は適中 しました。セリフ回しが、まさにキムタクそのものだったのです。お毒味役ですが、30石の平侍ですから、藩主にお目見えすることはありません。希望のない単調な日々と、武士としての体面。その 落差と陰影が表現できていない のです。

スクリーンに向かいながら、これが 真田広之 (たそがれ清兵衛)や 永瀬正俊 (隠し剣 鬼の爪)だったら、もう少しサマになっていただろうに、という思いが脳裡から離れませんでした。が、後半になると、慣れたせいでしょう、抵抗感なく鑑賞できるようになったのです。にわか盲目というハンデを背負った役柄に、見るほうが 寛容 になったのかもしれません。

たそがれ清兵衛より禄高が少ない三村新之丞( 木村拓哉 )ですが、きれいな家に住み、3度の食事も煮物などが出てきて、清兵衛よりいい暮らしをしています。 つがいの小鳥を飼う 余裕もありました。子供がいないせいもありますが、妻の加世( 壇レイ )の才覚による部分が多いのです。

この妻女、 女房の鑑(かがみ) です。3歩下がって夫の影を踏まず、とはいいませんが、出しゃばらず、かといってへりくだらず、夫との 距離が絶妙 なのです。封建社会の中での夫婦愛。主と従の関係ですが、愛の深さは民主主義の現在と変わらないでしょう。いや現代より深いかもしれません。この女優、宝塚出身のようですが、自然体の演技は、特筆ものでした。

妻と下男( 笹野高史 )に支えられた平侍の生活。映画もこの2人がいなければ、凡作になっていたでしょう。 武士の一分 を守るために、死を賭して闘う新之丞。ここではじめて、木村拓也に精神的凛々しさを感じました。

全体の出来としては、「たそがれ清兵衛」に匹敵する秀作です。ラストも山田洋次らしいものでした。これを山田監督の限界と評する人もいるようですが、小生は 素直に感動 しました。いい映画です。見て損はしないでしょう。






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最終更新日  2007年01月11日 21時49分16秒
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こんばんは  
ノラネコ さん
TBどうもでした。
このコンパクトな凝縮された世界に、山田洋次の可能性を見ました。
凄い作品を立て続けにみせられると、この人は「寅さん」から解放されて本当によかったなと思います。
もちろん「寅さん」は素晴しい作品群なのですけどね。
http://noraneko22.blog29.fc2.com/ (2007年01月17日 23時38分20秒)

Re:こんばんは(01/11)  
ノラネコさん

>このコンパクトな凝縮された世界に、山田洋次の可能性を見ました。
>凄い作品を立て続けにみせられると、この人は「寅さん」から解放されて本当によかったなと思います。
>もちろん「寅さん」は素晴しい作品群なのですけどね。
>http://noraneko22.blog29.fc2.com/

3部作のうち「隠し剣……」は平凡でしたが、他の2本は傑作でした。
現代にも通じるテーマを扱っていますから、多くの人の共感を得るでしょうね。

「寅さん」、テレビドラマのときから注目していました。
映画のほうは、後半はマンネリでしたね。
あれだけ作れば、仕方がないでしょう。
(2007年01月18日 09時35分35秒)

Re:「武士の一分」(01/11)  
川波泰之 さん
山田監督の作品は、心が温まるので好きです。「学校」シリーズも商業映画のしばりがあるとは思いながら、人間をよく描いていたと思いました。「武士の~」は、アイドルが主演と聞き、半分たいしたことはないだろうと思いながら、映画館に脚を運びました。画が良いですね。時代劇でありながら、山田監督の空気を感じ、それがとても心地よい。ストーリーは、ま、良いでしょ。映画館を出るとき、気持ち良かったことは、壇れいさん。惚れちゃいましたよ。 (2007年01月28日 18時15分21秒)

Re[1]:「武士の一分」(01/11)  
川波泰之さん

>山田監督の作品は、心が温まるので好きです。「学校」シリーズも商業映画のしばりがあるとは思いながら、人間をよく描いていたと思いました。

「下町の太陽」以来、弱者への暖かい視線が、いいですね。
浦山桐郎がいない現在、山田洋次は貴重な存在です。

「武士の~」は、アイドルが主演と聞き、半分たいしたことはないだろうと思いながら、映画館に脚を運びました。画が良いですね。時代劇でありながら、山田監督の空気を感じ、それがとても心地よい。ストーリーは、ま、良いでしょ。映画館を出るとき、気持ち良かったことは、壇れいさん。惚れちゃいましたよ。

キムタクはよく頑張ったと思いました。
いろいろ不満はありますが。

壇れいは最高でした。
日本アカデミー新人賞は当確でしょう。
(2007年01月28日 21時12分08秒)

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