ISOLA 13番目の人格



ISOLA 多重人格少女
評価:★
出演:木村佳乃、黒沢優、石黒賢、手塚理美ほか

他人の感情が読める女が多重人格少女に出会う話。貴志祐介「ISOLA13番目の人格」の映画版である。ひどい映画である。

原作はおもしろい。貴志祐介の本はどれもこれもおもしろい。彼は頭がいいのだろうと思う。筋が通っているし、細かいことがよく調べられていていわゆる役人言葉では「詰まっている」小説となっている。

描写も細かい。彼の本は他に映画化された「黒い家」や、オーストラリアの砂漠でサバイバルを繰り広げるクリムゾンなんちゃらや、青い炎などがあるが、どれもすごい小説である。荒俣ひろしや鈴木光司に近い作家であるが、これほどすごい小説家はあまりないと私は思っている。他の女流ホラー作家などと一緒に取り扱うのは、太宰治と島崎藤村を並び称するようなものである。

実は黒い家が映画化されたとき、映画館までわざわざ見に行ったのだが、女役が大竹しのぶではじめから男と女のどちらが悪役か一目でわかってしまう配役になっていた。原作でははじめは男が悪役のように思わせておいて途中で女が悪役であることに気づき、読者はあっと驚くという仕掛けになっていた。しかし、映画ではそんなものははじめから無かった。それが大変がっかりさせた。

したがって、どうせ映画版ISOLAもつまらんだろうとは思っていた。

やっぱりつまらんかった。
ちょっと腰を据えて見ていたのだが、木村佳乃はくだらない役者だ。全然しゃべらない。顔色も全然変わらない。なんであんな役者を使ったのだろう。カネがなかったのだと理解しよう。または一部の人には彼女は人気があってその人気にあやかろうとおいうことだったのだと理解しよう。

ISOLAはisolationの最初の文字であると言うところが原作では大きな驚きである。また、最後に憧子という新たな人格が生まれるが、憧れるというのはたましいがあくがる、魂が抜け出すという意味が漢和辞典で明らかになり、問題は全く解決していないという含蓄を残して終わる。しかし、映画ではその辺はカットされている。

どんでん返しをことごとくカットし、表情の全くない役者を使ったらおもしろくない映画ができるのは当然である。原作が好きなだけに、この映画は超駄作であるということにしておきたい。

映画をみておもしろいと思った人は原作を読むといい。もっとおもしろい。


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