2004年06月18日
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カテゴリ: 小説『Atomic City』

            第1章

            第2節



「校内放送です 地学の生徒は 第3エアゾーンに 12時55分 までに 
集合して下さい 生物学の生徒は 物質転換教室に。。」
放送の内容は 前日に来るメールと殆ど同じようだがうっかり見忘れた時には
結構よかったりするのだ。

「しゃあないな~行くか~。」食堂の椅子から勢いよく立ち上がった

コウタとは 2時間目の工学から合流するため 昼食をよく一緒に食べている。
とくに今日は 水中での潜水調査予定と言うこともあり 2人ともサンドセット
だけで済まし おかわり自由のドリンクも1杯でやめておいた。
初めて会ったときは 彼のハイテンションに飲まれっぱなしだったが今は良き話し
相手でもあり カイ.βにとって数少ない大学の男友達でもあったのだ。

「お~い おばちゃ~ん B.B2本もらってくで~!」
食べ終えたサンドセットの皿をカウンターに置いたコウタがKIDカードをひらつ
かせながらジュースケースを振り回してみせた。

「吹き出しても知らないよ!あんたは いいけど連れのお兄ちゃんは どうだかね?」
学食のおばさんが にやけながらコウタに悪態をついて楽しんでいるようだ。 

B.Bは ビタミン補給用のバナナ味飲料で 90%が天然の果物.野菜から注出


学食での購入品は 全てKIDカードに記録され 月末に親の口座から一括で引き落
とされる仕組みになっている。

        ≪コウタ.シバザキ≫
      KID N.1055376692

      (B.B飲料・2)110$×2




出口会計カウンターに設置してあるホログラフィックに学生スーツをまとった
コウタの全身が映し出され 購入内容が表示された。
「どうやら 本物みたいだねぇ。今度来たときは もっといい男になってから来な!」
学食のおばさんの激しい突っ込みが入ったが 当人は。。
「なんてぇこと言うの こんなええ男おらんて おばちゃんもファンクラブ入るか~?」
こう言っては何だが まあ確かに 背も180以上あるし顔もいけてる。。
趣味は スカイダイビングとサーフィン 女の子には 人気があるようだし。。
あとは 性格とか好みの問題かな?
カイ.βは 心のなかでそう思った。    

「お兄ちゃんは どうするのかい? このアンポンタンが持ってるのは 開けたら吹き出すよ!」
「じゃあB.Pを一本下さい。」カイ.βは答えた。
すかさず横からコウタが言った。
「ん~だ! 冷やせば出んって いいっていいって。」

学食のおばさんは アンポンタンを無視しながらB.Pジュースを手渡した。


        ≪カイ.β.クライン≫
      KID ...................

      (B.P飲料・1)110$×1

         合計金額110$  

彼の場合 KIDの登録がなく 確認番号自体が機密になっている。
ホログラフィックに関しては 本人であるが周囲と見比べると少し幼さが感じら
れカイ.βにとって恥ずかしい瞬間でもあったがこればっかりはどうにもならない。

2人は 飲み物をショルダーにしまい 急いで第3エアーゾーンに向かった。 


      12:52 第3エアーゾーン

Dブロックのエアーゾーンでは 大型輸送エアーヘリJ3が
オノ教授製作の作業水上船の積み込みを終えていた。

このDブロックには 第2 第3 第4のエアーゾーンが有り生徒や講師.教授
の通学 移動に使われている。
なんでも来月はここのエアーゾーンから海外修学旅行に行くとか。

ヘリには 大きな文字で
”国際新東京大学”と書かれていた。これが大学の名称である。
なぜ国際なのか なぜ新東京なのか色々事情があるそうだ。


オノ教授は 笑顔で電子名簿をチェックしているようで 見慣れた顔ぶれも
集まって来ているようだ。

なぜかそのなかに女性5人の姿はなかった。もちろんリオナ.ビートの姿も。。
いつもは時間前から集まってにぎやかにしているのに。。どうしたんだろう?
いつも当たり前と思っていた風景がないと妙にしっくり来ないものである。 

         12:55分

乗り込みのOKの赤色灯が回り インターフォンがゾーンに流れた。
「乗機準備完了 地学生徒は 乗り込んで下さい」

放送が終わった瞬間 エアーカーのけたたましいブレーキ音が鳴り響いた。

「まって まって!乗りまーす 」「遅れてすいませーん!!!」 

リオナとパルが少し離れた駐車スペースで手を振っている。
他の3人も乗っているようだ。
カイ.βとコウタも気が付いたらリオナ達に手を振っていた。
「お嬢さん方あと4分だ~!忘れ物は無いかね?」
教授が 電子名簿にチェックを入れたようだ。


このエアーヘリJ3には 約100tまでの積載が可能だったが実際のところは
80tで警告ランプが鳴るように設定してあった。

パイロット2人 オノ教授と生徒38人で2937kg。
装備が全部で5786kg。
水上船が30590kg。
合計39313kg。
約40t かなり余裕のようである。

”重量制限確認終了 飛行ルート確認終了 パイロット.乗員確認終了”
新東京中央管制塔 離陸を許可します。

いよいよ 離陸
現地まで7分
3時間目 90分の実習授業が始まる。


  小説『Atomic City』より。

  著作権は Kaizuに属します。







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最終更新日  2004年12月12日 14時56分18秒
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