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北丹沢12時間耐久山岳レース


KitatanzawaMap


夏場の長期日本出張が決定したオイラは、出張期間中に首都圏で開催される唯一の大規模な大会であるこの山岳レースにカナダから申し込んだ。

神奈川と山梨の県境あたりにある北丹沢を舞台に、標高差1000メートル以上、距離はフルマラソン以上、標高1400M級の峠を2つも3つも越えるという趣向の本格山岳レースである。
参加してみて感じたのは、この手の大会はマラソンの類というよりは、むしろサバイバル・レースといった感じ。自分でもよくぞケガもせずに完走できたものだと思う。

ほとんどロッククライミング状態にならないと上れない難所もあれば、実際にコンクリートの壁を取っ手だけを頼りによじ登る場面まで出現して、初めての参加者たちはコース上幾度となく唖然とさせられたに違いない。
危うい足場に慎重に足を運びながら、「今ここで気を失ったら、谷底までまっしぐらだろうな…」とか、「ここで足を踏み外したら、生きて帰れないだろうな…」とか走りながら何度も思った。また、まるでただの獣道ではないかと思うような、藪や雑草が生い茂り幅が50センチ程度の足場の悪そうな道を通過するたび「コースを外れて間違った道に入っちゃったのでは…」と思った。
なんだか、本来オトナになったら許されないようなアブナいことを堂々とできるという意味で、一瞬コドモ時代に還れたような気がした。

今年は、前の晩の雨のせいでコース上に落石事故だのがあったらしく、コースは2箇所で迂回ルートを通らねばならなかった。お陰で登らねばならない山が1つ増えたし、ロープを伝わないと上り下りできないような崖をも通過するはめになった。
まさに全身を使って踏破する地獄のコースである。疲労困憊のために、真っ青な顔で足場の悪いどろどろの急坂の途中にへたり込んでいたり、中にはひざを抱えて眠っている人までいた。走り始めて2-3時間で、もうみんなドロドロ。 完走率は40%だったとか。

オイラはこのレースのために、日本出張中に何度か高尾山-陣場山の数十キロのコースを走って備えていたが、その時のタイムから、フルマラソンの1.5-2倍の所要時間でゴールできると見込み、7時間台でのゴールを目標として設定していた。「もしかしたら7時間を切れるかな…」とさえ思っていた。ところがどっこい、藪をかき分けて突き進み岩を掴んでよじ登るような標高1400m級の峠を2回も越え、ロープ伝いに崖を降りるようなコースを、マラソンの1.5倍の所要時間で踏破できるはずがなかった。所要時間8時間20分(うち途中休憩5-10分)、その間に消費したカロリーは実に6500Kcal(心拍計の自動計算による)、消費した水分約4リットル!我ながらよくまあスタミナが持ったものだと感心する。多めに用意していた携行食のパウチ類(ウィダーのゼリーとか)計5個とカロリーメイト類(+バナナ)をすべて食したにもかかわらず、最後の10キロでは腹が減って力が入らなかった。

バンクーバー・マラソンでの経験のおかげで、雨自体はさほど気にならなかった。
ただ、晴れであれば舗装路で履こうと予定していたアシックスのターサーを断念し、それを余分な荷物としてゴールまで背負わざるを得なかった上、本来なら颯爽と走れたはずの舗装路上を、サロモンのトレッキング用のシューズで不恰好にノロノロと走らざるを得なかった。そして、サロモンでも捉えきれないようなズブズブのぬかるみには何度も足を挫きそうになった。
一番残念なのは、本来であれば富士山だの太平洋だのを遠望できたはずの数々のポイントで、厚い雲とガスのために何も見えなかったことだな。

スポーツダイアリーの参加者とは全員と会って話すことができた。スタート前にはまるこふさんをすぐに見つけてゆっくり話が出来た上、ゴール直前までのコース上でも幾度となく遭遇した。スタート地点に並ぶ前にはわがライバルのJunさんを発見し、まるこふさんと3人で記念撮影。Kitatanzawa3スタートして間もなくの上り坂では偶然にもまつさんと並走状態になり、向こうがこちらに声を掛けてくれた。ちなみにJunさんのゼッケン番号は私(222)の次の223。おまけにまるこふさんのゴールは私のほんの2つ前。スポーツダイアリーのようなバーチャルの世界でのふとした出会いにも、偶然では済まされないような巡り会いを感じた大会であった。

ちなみに、この大会ではゴール後に無料で地元の温泉までバスで運んでくれるのだが、ドロドロのヘトヘトになった後のこの風呂の心地よさったら、病みつきになりそう。

…しかし、翌日目を覚ますと脚のあらゆる筋肉がガタガタになっていて、特に太ももの筋肉痛の激しさのために階段をまっすぐに降りることができず、数日のあいだ地下鉄の階段を手すりにつかまって後ろ向きで降りるという、ブザマな姿をさらさねばならないのであった。

(↓優勝者のカブラギさんの写真)
Kaburagi


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