すると、10mくらい後方から「I speak Japanese! コンニチワ!アリガト!」と叫ぶ声が聞こえてきた。もちろん日本語を話す者の流暢さではない。オイラはこれに対し 「Hello my Japanese-speaking friend! モシモシ!ゲンキデスカ!バンザイ!ハラキリ!I am all alone!」と叫んで返したところ、夜間行軍の列は多少ウケているようであった。
その抽象的な美しさはインターネット画像でも測り知ることができたが、実際にそこに行って見てみないと分からないのは、そのスケールである。氷河、クレーター、雲海、いずれもがすごいスケールで、このスペクタクルには単純に畏怖してしまう。 オイラは酸欠の頭でとにかく感動し、またしても1人で感極まって”It’s so BEAUTIFUL!”と誰にともなく叫んで回っていた。
下山路では、まだ頂上の興奮が冷めやらず、これからウフル・ピークを目指そうとする登山者とすれ違うたび「You are almost there!(もう少しだ!)」とか「It’s the most beautiful thing I’ve ever seen! (あんな美しいものは今まで見たことない!)」とか言って励ますような煽るような言葉を投げ掛けていた。しかし、傾斜が急になり足元が砂礫に変わる地点になると、すれ違う登山者もいなくなり、緊張と興奮の糸が切れて腑抜けの状態になった。