仮面ライダーτ

仮面ライダーτ

episode 1



 「日常が非日常に変わる瞬間ってのは意外と気づかないものだ。」
と私立流星学院に通う中久保 宏は寮への帰路で携帯電話で良く分からない詩を書いていた。
一応、日課らしい。
「ただいま~。・・・とその前に。」
玄関の前には3つのダンボールが放置されている。
中にはいつも決まって親が運んでくる食料が入っている。
これで1ヶ月は生きていける。
「というか、良く盗まれないよな。」
宏は早速、家の中に運んで開封を始めた。
1つめ。
大量のもやし。
「もやしはどんなものと炒めてもおいしいって母さんが言ってたかな?」
2つめ。
米、たくさん。
「今月は・・・あきたこまち。先月もだった気が。」
3つめ。
いろんなお肉と保冷材。
「今月はソーセージが・・・無い!?」
4つめ。
「4つめ!?」
毎月毎月決まって送られてくる3つのダンボールに混じって1つのダンボール。
「何も書いてないけど。俺んだよな。」
中に入っていたのは”SMART BRAIN”のロゴが入ったジェラルミンケースだった。
ちなみに”SMART BRAIN”と言うのは宏の父が勤める巨大企業である。
「?」
さらにその中を除いてみる。
「携帯にベルトに望遠鏡にポインター。これで俺に何しろと!?」
”ピーンポーン”
ベルが鳴る。
「はい。どちらさまで・・・」
玄関先には見るからにサラリーな男が立っていて、良く見れば胸に”SMART BRAIN”のバッジを付けている。
「あ、すみません。あのダンボールですよね。」
「ベルト・・・」
不意に男が口を開く。
「へ?」
「ベルトをよこせ!」
男の目が白く濁り、顔の表面には何かの模様が浮かび上がる。
と思ったら、なにかゴツゴツした物に囲まれて灰色の怪人になる。
「うわ!?」
そうしている内に怪人は土足のまま家に上がり込んでくる。
「分かりました!!渡します!!ハイ!!」
と言って素直にジェラルミンケースを差し出す宏。
当然ながら受け取る怪人。
「フンッ!!」
怪人はあっけなく帰って行った。
5分ほど腰が抜けて動けなかったがようやく立ち上がることに成功した宏。
「た、助かった。ってえぇぇぇぇぇ!!!」
リビングには携帯電話、ベルト、望遠鏡、ポインター。
「もしかして・・・入れ忘れたぁ!!」
しばらく試行錯誤してみる。
「まぁいるもんだったらまた取りにくるか。」
我ながらのんきな思考回路だと宏は思った。

               公園

ここは私立流星学園の寮からそう遠くない場所にある公園だった。
もう日もくれて子供の声がなくなった公園に人影があった。
先ほどのサラリーマンである。
「これで、任務完了か。」
少年から奪い取ったジェラルミンケースを開けてみる。
「あいつ。やはり殺しておくべきか!!」
サラリーマンの姿が怪人意変わる。
「誰を殺すって!?」
真後ろの木陰から声がする。
と同時に”ピロッ ピロッ ピロッ stand by”と電子音がする。
「変身!!」
"complete"
人影の表面をオレンジ色に光るのラインが這い、アーマーが覆う。
「何!?」
怪人も驚く。
頭と背中に大きな円盤がついている。
「はぁぁぁ!!」
人影が怪人を殴る。
「ぐあ!!ふん!!!」
怪人も殴り返すが人影はびくともしなかった。
「はぁ!はぁ!はぁ!」
人影の一方的な殴る蹴るの暴行。
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
怪人が力を振り絞って衝撃波を放つ。
「ぐわ!!」
人影が吹き飛ばされる。
「ふぅ。そろそろ。お終いにするか。」
人影は額の円盤を外し、ベルトにあるチップをそれに差し込む。
”ready”
「うわぁぁぁ!!」
怪人はとどめを誘うと猛然と走る。
”ピッ exceed charge”
エネルギーがベルトからオレンジ色のラインをたどって右手に持った円盤にチャージされる。
「はぁ!!」
人影が円盤を怪人に向けて振ると、先ほどのエネルギーが発射されて怪人の動きが止まる。
「ぬぐぐぅ!!」
何とか身動きを取ろうとするが動けない怪人。
「はぁぁぁぁぁ!!!」
人影は怪人に今度は振るのではなく、投げつけ貫通する。
「ぐわぁぁぁぁ!!」
怪人にπの文字が浮かび、青い炎を上げて燃え、消滅する。
「ふん。」
人影は投げたディスクをキャッチして変身を解除する。
そこには宏の幼なじみである竹ノ内 健の姿があった。

                  つづく

この物語はフィクションです。
実在する人物、団体、組織とは一切関係ありません。


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