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『竜馬は往った』連載その5
ジャケ買い、まだCDが出る前、輸入レコード店でレコードを買う場合
音楽を包んでいるジャケットデザインが音を見分けるポイントであった。
では本題に
そして、出た答えが、トランプであった。
トランプというゲームは万人に知られている。
トランプゲームに興味がなくとも、占いや手品として視る物としても、広く普及している。
例えば、マジシャンがこの幕末トランプで手品をして「手品がうまく出来ない人には教養カードにも使えますよ」みたいなことをいえば、それだけで欲しくなるし、朝の情報番組の「今日の占い」のコーナーで、「天秤座生まれの方の運勢は、吉田松陰です」となれば「吉田松陰ってどんな人やねん」となり知りたくなる。
そのような発想で、最初はトランプと云う物を選択したが、調べると、マークや絵柄にデザイン的な意味があり、その意味は時代とともに風化してしまっていることを知る。
例えば、ダイヤのキングは他のキングとは別の方を見ているのは何故か、それは、ダイヤのキングはシーザーをデザインしたもので、シーザーは金銀貨幣に執着していたので、常にダイヤから目を離せなかったためである。という解説を知る。
ハートは僧職を表し
クラブは棍棒で職人を表し
スペードは軍閥を
ダイヤは貨幣を表す。
それを日本の歴史上の人物に当てはめて表現できないか、そしてジョーカーを入れて五十三人を司馬史観で選択する。
司馬史観とは、未来への提言である。現代を知る上において、幕末という変革期といわれる時代を見つめ直すこと(学校教育でも教えづらい)が面白いと判断し、幕末の代名詞「竜馬がゆく」を中心に世間の観念とは異なる人選をする。
なぜこの人物なのか、なぜこの名前も教科書に記載されていない人物の評価(トランプでの順位)が高いのか、それが一つのコミュニケーションのきっかけにもなる。
幕末というと、とかく、志士中心のイメージをもたれるが、その観念も極力抑え、いわゆるヒーロー選びもせず、生き方に的を絞ってセレクトした。
例えば、今回のトランプには登場しないが、土佐藩の藩士に佐々木高行という、維新後、藩閥政府に名をつらねた人物がいる。これぞ正しく司馬史観という表現が「竜馬がゆく」の中にあるので書き出してみる。
「筆者は、書きながら、佐々木三四郎(高行)の人柄について、悪意を感じている。書きながらそのように思う。実はこの男、他人から悪意をもたれるような人物ではない、おおよそそうでないところに、佐々木三四郎という立身出世型の官僚の特質がある。ただこの長い物語は、無数の傾斜した性格を持つ人物を描くことによってここまで進んできた。圭角のある、傾いた、どこかに致命的な破綻のある人物が無数に登場してきた。すべての登場人物がそうであったといってもよい。
それらの男どもは、圭角と傾斜と破綻があるゆえに、いつも自分の真実をむき出してきたのか、それとも自分の真実をむき出してしまっているがために圭角ができ、傾斜ができ、破綻ができたのか、その相関関係よくわからない。ただ、安政以来、日本史上最大の混乱のなかで奔走してきたこれらの型の男どもは、その圭角と傾斜と破綻と、そして露にむき出した真実のために、非業のなかで死んだ。それらの型からみると、およそこの佐々木三四郎という人物は違う。すべて手頃なものを持っている。〈中略〉身を殺して仁をなす、といった型ではなく、何とかわが身を殺さずに仁をなす工夫はないか考える型であり、しかもその仁をなすことで我が身の立身になりはしまいかと終始考える型である。要するに有能な官僚とはこのような型を指すのであろう」
歴史は現実であり、一般論の寄せ集めではない。人が人として存在したがゆえに、喜怒哀楽がある。つまり歴史のリアリティーが感じられなければ、人は考えないし、動かない。
司馬遼太郎の「リアリティー」は、教育の現場や社会、職場で失われてしまった
「リアリティー」を読む者に淡々と且つ平易に伝えてくれる。
司馬はかつて新聞記者であった、彼の小説での発明は、新聞を小説にしたことであろう
この発明こそが、彼を国民作家にしたと言える。
その発明から約半世紀、本がトランプになる
インターネットが無い時代に、既に検索機能をもった人物がいた、それが司馬遼太郎である。
洋の東西を問わず、はたまた、数千年の時を飛び越え、自分の身体をふるに使って取材を繰り返し、記録を調べ、記述を読み、批評を読み、評価を調べ、彼は、あらゆるキーワード検索に対し「リアリティー』のある答えを用意するだけの「脳=サーバー」を作り上げた。
一人新聞社と言っても過言ではない。
余談だが、司馬はちょうどネットサーフィンを言う言葉が流行りだす頃、今から10年前に
亡くなった。司馬遼太郎は正しくポータルサイトであった。
今日はここまで
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