鴎座俳句会&松田ひろむの広場

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ひろむ千日千句抄2007


千日千句抄―生茶純茶
愛のかたち水草紅葉に傷多き
縦笛を吹く末枯れの明るさに
指切りも針千本も黄葉にて
山茶花のすっかり散って社会党
芒野に声投げ出して太穂門
おんこの実忍野一つの海が噴く
忍(しぼ)草(くさ)の婆らが清ら冬の鯉
小春日や生茶純茶という時代
しあわせなときの洋髪実花の忌
雪吊りのきれいな気持ち弓恵さーん

鴎座2007年2月号

千日千句抄―ヒマラヤ桜

翁忌のしんがりの猫そして亀

谷紅葉生きるかぎりは声上げて

薄情という情あらば一茶の忌

撫で牛の人恋しけれ三の酉

万両が好きママチャリという言葉

千里ほど旅してきたる朴落葉

十二月八日墨たっぷりと御名御璽

レノンの忌声がいささか甘すぎて

底抜けの冬空ヒマラヤ桜咲く


鴎座2007年5月号
雀とて  

俳人がくるスクーター春の鳶

パンジーの黄色ナース服みずいろ

土恋しフランス装という女

春風のどすんと龍太の訃報くる

ピーターパン現象春は手をつなぎ

将軍標(ちゃんすん)も男女ならではうぐいす菜

白木蓮の立体マスクなる時代

鷹化して鳩となるなら雀とて

下品下生の極楽ですか著莪の花

ちからみつとは楸邨の句碑笹鳴きに


鴎座2008年2月号

千日千句抄―谷中銀座 松田ひろむ

人生の疲れはじめに七五三

天高し朝青龍といる時代

石榴売るここの「銀座」のペルシャ人

大綿や夕やけだんだん二段跳び

いつの世の弾痕寺の石蕗の花

沙羅紅葉胸ひらくように一茶の碑

孔子より荘子が太く衣被

君が代がだんだん眠く雪催

風呂吹やわれらも虚子の玄孫弟子

この橋を渡れば寒き昭和の忌



鴎座2008年1月号

千日千句抄―ご利益 松田ひろむ

松蔭忌凡々ならば古稀近き

いわし雲とうとう父も母もなき

ご利益の空気旨くて猪食って

朝酒や山系ここの隼人瓜

秋の波手燭のついに晶子の碑

末枯やご利益そばは工事中

一枚のガラスを秋の空という

「老童」は兜太と僕と冬鴎

イエスには復活彼は雪虫に

けものより人匂いつつ雪催



鴎座2007年12月号

千日千句抄―糸瓜たわし 松田ひろむ

その息の熱さ釧(くしろ)を秋の風

ビー玉のパプリカのいろいろいろ

文芸や糸瓜束子の軽くとも

長須鯨優先席に座ろうか

水澄むやそのなまぐさき手を入れて

葡萄食ぶ以下同文の虚子一家

JPの次はJJ曼珠沙華

もうだれも地球といわず十三夜

紫式部そろそろミラノ行きの便




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