Just The Way You Are

Just The Way You Are

2006.11.01
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のび太とドラえもんに別れの時が来ます。
それは、なんともあっさりと。
のび太はいつものように、宿題をせずに学校で叱られたり
またはジャイアンにいじめられたり
時にはスネ夫の自慢話を聞かされたり
未来のお嫁さんであるはずのしずかちゃんが
出来杉との約束を優先してしまう
などなど、まあ小学生にとってはそれはすべての世界であり
一番パターン化されていますが、ママに叱られたのかもしれません。


天気のいい日であることは、間違いないでしょう。
そんないつもの風景で、ドラえもんが動かなくなっていた・・・。
当然、のび太にはその理由がわかりません。
喋りかけたり、叩いたり、蹴ったり
しっぽを引っ張ってみたりもしたでしょう。
なんの反応も示さないドラえもんを見て
のび太はだんだん不安になってしまいます。
付き合いも長く、そして固い友情で結ばれている彼ら
そしてのび太には動かなくなったドラえもんがどういう状態にあるのか
小学生ながらに理解するのです。

その晩、のび太は枕を濡らします。

のび太は眠りにつくことができません。
泣き疲れて、ただぼんやりしています。
無駄とわかりつつ、いろんなことをしました。
できうることのすべてをやったのでしょう。
それでも何の反応も示さないドラえもん

ただただ、黙って見つめるのび太。
当然ですが、ポケットに手を入れてみたり
スペアポケットなんてのもありましたが動作しないのです。
そして、なんで今まで気づかなかったのか
のび太の引出し、そう、タイムマシンの存在に気が付くのです。
ろくすっぽ着替えず
のび太はパジャマのまま22世紀へとタイムマシンに乗り込みます。

これですべてが解決するはずが・・・

のび太は、なんとかドラミちゃんに連絡を取り付けました。
しかし、のび太はドラミちゃんでもどうにもならない問題が発生していることに
この時点では気が付いていませんでした。
いいえ、ドラミちゃんでさえも思いもしなかったことでしょう。
「ドラえもんが治る!」のび太はうれしかったでしょう。
せかすのび太と情況を完全には把握できないドラミちゃんは
とにもかくにも20世紀へ。

しかし、この後に人生最大の落胆をすることになってしまうのです。
動かないお兄ちゃんを見て
ドラミちゃんはすぐにお兄ちゃんの故障の原因がわかりました。
正確には、故障ではなく電池切れでした。
そして、電池を交換する
その時、ドラミちゃんはその問題に気が付きました。
予備電池がない・・・
のび太には何のことかわかりません。
早く早くとせがむのび太に、ドラミちゃんは静かにのび太に伝えます。
『のび太さん、お兄ちゃんとの思い出が消えちゃってもいい?』
当然、のび太は理解できません。
なんと、旧式ネコ型ロボットの耳の中には電池交換時の予備電池が内蔵されており
電池交換時にデータを保持しておく役割があったのです。
そして、そうです、ドラえもんには耳がない・・・・・
のび太もやっと理解しました。
そして、ドラえもんとの思い出が甦ってきました。
初めてドラえもんに会った日、数々の未来道具、
過去へ行ったり、未来へ行ったり、
恐竜を育てたり、海底で遊んだり。
宇宙で戦争もしました。鏡の世界にも行きました。
どれも映画になりそうなくらいの思い出です。
ある決断をせまられます・・・。
ドラミちゃんはいろいろ説明しました。
ややっこしい規約でのび太は理解に苦しみましたが
電池を交換することでドラえもん自信はのび太との思い出が消えてしまうこと
今までの状態ではデータは消えないこと
ドラえもんの設計者は
設計者の意向で明かされていない(超重要極秘事項)の一つで
連絡して直しに来てもらう事は不可能であるという
これはとっても不思議で得意な規約でありました。
ただ利用者による修理及び改造は自由であることも
この規約に記されていました。
のび太、人生最大の決断をします。
のび太はドラミちゃんにお礼を言います。
そして「ドラえもんはこのままでよい」と一言告げるのです。
ドラミちゃんは後ろ髪引かれる思いですが
何も言わずにタイムマシンに乗り、去っていきました。
のび太、小学6年生の秋のことでした。

あれから数年後・・・。
のび太の何か大きく謎めいた魅力、そしてとても強い意志、
どこか淋しげな目、眼鏡をさわるしぐさ、黄色のシャツと紺色の短パン、
しずかちゃんが惚れるのに時間は要りませんでした。
外国留学から帰国したのび太は、最先端の技術を持つ企業に就職し
また、めでたくしずかちゃんと結婚しました。
そして、それはそれはとても穏やかな家庭を築いていきました。
ドラミちゃんが去ってから、のび太はドラえもんは未来へ帰ったと
みんなに告げていました。
そしていつか、誰もドラえもんのことは口にしなくなっていました。

しかし、のび太の家の押し入れにはドラえもんが眠っています。
あの時のまま・・・。

のび太は技術者として、今、ドラえもんの前にいるのです。
小学生の頃、成績の悪かったのび太ですが彼なりに必死に勉強しました。
そして、中学、高校、大学と進学し、かつ確実に力をつけていきました。
企業でも順調に、ある程度の成功もしました。
そして、もっと権威のある大学に招かれるチャンスがあり
のび太はそれをみごとにパスしていきます。
そうです。
ドラえもんを直したい、その一心でした。
人間とはある時、突然変わるものなのです。
それがのび太にとっては「ドラえもんの電池切れ」だったのです。
修理が可能であるならば・・・。
それが小学6年生ののび太の原動力となったようでした。
自室の修理室にて・・・。
あれからそれくらいの時間が経ったのでしょう。
しずかちゃんが研究室に呼ばれました。
絶対に入ることを禁じられていた研究室でした。
中に入ると夫であるのび太は微笑んでいました。
そして机にあるそれをみて、しずかちゃんは言いました。
『ドラちゃん・・・?』
のび太は言いました。
『しずか、こっちに来てごらん。今、ドラえもんのスイッチを入れるから』
頬をつたうひとすじの涙・・・。
しずかちゃんはだまって、のび太の顔を見ています。
この瞬間のため、まさにこのためにのび太は技術者になったのでした。
なぜだか失敗の不安はありませんでした。

こんなに落ちついているのが変だと思うくらい
のび太は、静かに、筋かに、そして丁寧に、
何かを確認するかのようにスイッチを入れました。
ほんの少しの静寂の後、長い長い時が甦りました。
『のび太くん、宿題は済んだのかい?』
ドラえもんの設計者が謎であった理由が明らかになった瞬間でもありました。

あの時と同じように、空には白い雲が浮かんでいました。






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Last updated  2006.11.28 17:02:30
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