kaname

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好きな話♪



日記♪
その日の日記にジャンプ♪


     「家族の犬。」


あると所に 仲の良い夫婦がいました。

子供は大きくなり 家を離れ 家の中には2人しかいません。

プラス ネコが1匹 犬が1匹。


平凡だった毎日だったのですが

ある時 夫が「癌」だと発覚し 闘病生活が続いていました。

そんな生活にも一段落がつき 無事落ち着いたので自宅療法になりました。

動物愛護な夫婦なので 犬の「コーちゃん」 ネコの「チャコちゃん」との時間が

夫の癌(気持ち)を癒してくれる 唯一の時間だったのです。


ある日 夫はいつもの日課になっている コーちゃんの散歩で堤防まで出かけました。

妻には「絶対離すんじゃないよ。」と言われていたのですが

無邪気に走る愛らしいコーちゃんを見ていると コノ紐にしばられた生活がフッと可哀想に思いました。

まるで自分に似たモノを感じ取るように。。


それ以来 コーちゃんは姿を消してしまいました。。


妻もコーちゃんの事が大好きだったので 本当は夫に怒りたい気持ちでいっぱいだったのですが

癌の上 あまりにもしょげている夫に とてもそんな事はできませんでした。

しばらくコーちゃんのいない生活が続き 夫は食欲を無くし 

その上 深夜に二度も三度も家を出て コーちゃんが帰って来ていないか 確認する生活が続きました。


妻は 元気を無くしてしまった夫と愛するコーちゃんの為

警察や保健所に連絡をして 届けが出ていないか確認し

広告などには「探し犬」の知らせを載せました。

毎日自転車で 街の端から端まで駆け回り 情報を集めるものの何の収穫も無く。。

しばらくそんな日々が続きました。。


夫には癌の事もあったので なるべく心配はかけたくない。

きっと夫も「自分のせいだ。」と攻めていた事だろう。。。


家には すっかり肩を落としてしまった夫婦が2人にネコ1匹。。

電気をつけても どこか暗い家の中…。

夫婦は 連絡の電話が鳴らないかを待っていた。 と言うより「願って」いた。

夫の「生きがい」「楽しみ」だったコーちゃんとの散歩の時間。

それまでの夫は どんな雨の日も嵐の日でも コーちゃんとの散歩をかかした事は無かった。

それだけ好きだったコーちゃんがいなくなって 夫はどんどん元気を失っていきました。

妻はただそんな夫を見ている事しかできませんでした。。


ある日の事 「ピンポーン」とチャイムが鳴る音。

妻が慌てて玄関のドアを開けると そこには小さな男の子。 小学校低学年ぐらいだろうか・・・

妻「どうしたの?」

妻はその質問の後 我の目を疑った。

男の子「この犬・・・ おばさんちの犬じゃない?」

そぅ!男の子がさす指の先にいたのは まさにコーちゃんだった。

妻「コーちゃん!!」

まっさきにコーちゃんに抱き付く妻。

どうやら コーちゃんを見つけた男の子は「おいで!おいで!」と言ってココまで連れて来たらしい。

感謝の気持ちでいっぱいだった妻は とりあえずお礼がしたかったので

袋にたくさんのお菓子をつめて ティッシュに千円をくるんで持たせた。


その日の夕方 コーちゃんを見つけてくれた男の子と母親が家に訪れた。

母親「こんなお礼・・・ 受け取れませんよぉ。お返しします。」

そう言って ティッシュにくるんだ千円をさし出した。

妻「そんな良いんですよ!本当に気持ちなんで!
  コーちゃんが戻ってきたお陰で 家の中がまた明るくなりました。
  なのでこのお金はもらって下さい。お子さんにノートやえんぴつでも買ってあげて下さい!」

妻は本当は まだ足りないぐらいだと思っていた。

母親は「それじゃ遠慮なく・・・」と言ってティッシュの包みをかばんに入れ 語り出した。

母親「この子… 学校に友達いないんですよぉ。 だからいつも1人で町中ウロチョロしてて
    あの家にはどんな犬がいる あの家にはどんなネコがいるって事 ほとんど把握してるみたいで。。
    だから お宅の犬を見かけた時 すぐココだ!って分かったみたいですよ。」

妻は軽くショックを受けていた。

こんな良い子に友達がいないなんて。。

妻は男の子に「いつでもコーちゃんの所 遊びに来てやってね!」と言って 母親に一礼をした。


その晩 夫はコーちゃんの顔を見るなり 飛びつくように抱き付いた。

目には涙がにじんでいた。

そんな夫をよそに コーちゃんはいつもと変わらずいる。。

どれだけ自分が心配されていたかなど 考えてもいないだろう。


夫婦2人には 共に生活する動物のかけがえのない存在感を 痛い程に感じた日々だった。

「ペット」は「家族」の一員。。

共に生きる意味。

いなくなれば必死になって探すし 見つかったら心の奥底から喜べる。

家族の絆で 共に結ばれている存在。

コーちゃんには 改めて そんな事を感じさせられた。


そんな事を考えながら コーちゃんをぐちゃぐちゃにして可愛がっている夫を見ると

妻は嬉しさのあまり 笑みをこぼした。


なぜだろぅ・・・・

本当なら嬉しいはずなのに 気持ちがどこか晴れない。。

あの男の子に「友達がいない」という事が気にかかる。・・・・・

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※実話なので 話はここまでしかありません。

 期待して下さった方 大変申し訳ありません。。


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