HAPPYLIFE@我が家。

14.返事。




言ってしまった。

顔が熱くなる。

身体中から汗が出てくる。

夜だから、わからないけど、

この時のあたしは、真っ赤だっただろう。

思わず下を向く。

『・・・。』

ケンチチは黙っている。

気まずい・・・。

チラ。

顔を少し上げて、ケンチチのことを見る。

『・・・。』

気まずいってば。

何か言ってほしいな。

でも、ケンチチ困った顔してるよ。

あかん、振られるわ・・・。

「急にゴメン。」

あたしは謝っていた。

『いや!謝らんでいいけど!』

ケンチチが口を開く。

『返事、ちょっと待ってもらっていい?』

「・・・うん。」

『今日一緒におって楽しかったし、また遊びたいと思ってん。

いい子やと思ったし、断る理由はハッキリ言ってないねん。

でも、まだカナネンさんのこと、あんまり知らんし、

長い時間話したのも、遊んだのも、今日が始めてやし、

だから今、言われて、驚いてるねん。

今、この場でOKすることは簡単かもしれんけど、

もう少し、仲良くなれる時間がもらえたらって思うし、

もう少し、話しとかして、カナネンさんのこと

今より知ってから、ちゃんとOKしたいねん。』


??

なんだか難しい答えや。

キライじゃないから、断れない。

だけど、あたしのこと、あんまり知らんから

そんな気持ちのまま、OKはできない。

うん、なんとなくわかる。

振られたわけでは、ないな。

これから、ちょっぴり意識して見てくれるってことかな。

あたしは、頭がポーッとしてきて

これ以上、考えることができなくなった。

○とは言われなかったけど、×でもない。

ならば、これから、○やと思ってもらえるように

したらいいんや。

○と×で考えることが、精一杯。

でも、ケンチチがちゃんと自分の言葉で

返事をしてくれたから、

言い方が優しかったから、

あたしは、前向きに考えることができた。


彼女にはなれなかったけど

とりあえず、1歩前進。


「明日からまたヨロシク。」

『こちらこそ』

なんとなく、あいさつをかわした。

気持ちはスッキリしていた。

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