CARA  SONRIENTE

CARA SONRIENTE

OC~赤西仁~



たった一人。



信念を貫いてやってきた街。

オトナの反対を押し切って、大事な仲間を置いてまでやってきた街。

きっとあのままじゃ、『大事』だとも思えなくなってたと思う。

だから、俺は一人でここまでやってきた。







OC~オレンジカウンティ~












L.Aに近く、割とセレブが集まる街。
『OC』と呼ばれるオレンジカウンティ。




何もかも気にしなくていい、開放的な場所。
やっと見つけた落ち着ける場所。
ホームステイ先の家の前に、いつものように車を停める。

助手席にはさっき学校帰りに寄ったスーパーのビニール袋。
中にはお惣菜。
ふと浮かんだ親友の顔。
こんな俺を見たら、なんて言うかな。

自嘲気味に鼻で笑って、右手にビニール袋とリュック、左手でリュックを持って愛車を降りた。




「・・・仁」




ここに来て、久々に日本語の響きで呼ばれた俺の名前。











懐かしい声に振り向くと。



懐かしい瞳。

懐かしい香り。

懐かしい・・・温もり。




「・・・元気そうで安心した」


「ったりめーだよ」


「ちゃんとやってんだね」


「おう」


「・・・・・・」





次の言葉を探そうとしたその時。

彼女の唇が、俺の唇に触れた。


こっちに来て、そろそろ慣れた文化だけど、これにはちょっと違う意味がある。
それくらい、俺にも分かる。

彼女の想いが、流れ込んでくる。
そんな気がした。
何か月分もの、想い。






二人の唇が離れると、

彼女はじっと俺の目を見つめて。
まるで記憶の中に俺を焼きつけるように。




そして背を向けて歩き出した。




「おい・・・」


「あたし、もう行くから」


震える声。



「こんなとこまで来ちゃってかっこ悪すぎるんだから、最後くらいかっこよく帰らせて」








ドラマみたいな台詞を吐いて立ち去ろうとする彼女を、背中から抱き締めて、耳元で囁いた。
話せる言語が増えたって、口下手には変わりないけれど。






「・・・やるだけの事やったら、ちゃんと帰るから。だから、待ってて」


ファンには言えなかった言葉。
今なら言える。
彼女を抱いた腕に力をこめると、腕に雫が乗っかった。






俺に残された猶予はあと2ヶ月。

胸張って、俺らしく帰るから、日本で待ってろ。
















2007.09.03

Written By Kanna

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