皐月の日。

皐月の日。

造りかけの、音色。(レンカイ)


※マスカイ?要素もあります。
※前と同じく、少しヤンデレンです。


ご理解頂けた方は、下にスクロールどぞ。

↓















































































































































―――――俺たちは、マスター以外を愛してはいけない。

そんな感情で、好きになってはいけない。


・・・それが俺たちだ。




「マスター、今日は如何なさいますか?」



いつもの笑みで、俺はそう言う。


マスターは、俺が好きだと言った。愛してると言った。

だからきっと俺も、マスターが好きだ。

機械だから確信は持てないけど、好きなんだ。


「お前が欲しいよ、カイト・・・」

「はい、マスター」


そう言って俺はぎゅ、と誘うようにマスターに抱きつく。

そうすればマスターは、いつも俺の体を愛してくれた。


『マスター、マスター。貴方が好きです』 その行為を続けている時は、ずっとそれを言い続ける。


まいにちがそれで埋まってゆく。空しくなんてない。俺は『マスター』の人形だから。


昼は響くような、透き通った歌を歌って

夜には一人に捧げる、音(ね)の高い歌を歌う。


俺はそれが普通だと思っていた。

『好き』・・・愛し、愛されることは、そんなことなのだろうと。


「・・・・・・・・」




―――その毎日の中で、その影で小さく動く影を、見落としていた事も気づかずに。




     *     *     *





俺がいつものようにマスターの部屋を出てくると、レンがそこには居た。


「兄さん」


小さくか細い声で俺をそう呼ぶレン。

そして、レンは俺の腕を掴む。


「レン、どうしたんだこんな夜中に・・・リンはもう寝てるのか?」

「寝てる。・・・兄さん、こんな夜中にいつも何をやっているの?だって一人でしょ、夜にマスターの部屋に行くの」

「そうだな。・・・少し、皆には聞かせられないような歌をマスターと練習してるんだ」


これは皆に言ってはいけないと、マスターに言われている。

だから俺は皆に内緒にしていたし、言う必要も無いと思っていた。


だって俺にとって、これは日常だったから。


「・・・あれが歌?歌じゃないよあんなの」

「え・・・・レン、聞いてたのか?」

「ずっと。僕が気づいてから、ずーっと・・・」


そう言ってレンは俺の腕を強く引き、俺の唇とレン自身の唇を一瞬重ねた。

マスターがしたと同じ事をされて、一瞬驚いた。

でもきっと、ただ、マネがしたくなっただけなのだろう。

・・・きっとそうに違いない。




「好きってどういう事なのかな」



レンがふと、そう聞いてきたので、俺は微笑んでこう答える。


「マスターに対する思い。俺たちはマスターが好きになるように出来てるから」

レンはそれを聞くと頭をふるふると振って、俺に訴えるような目で語りかけてきた。


「違う。違うよ。ネットで見たら、違うんだ。」

「違う・・・?」

「うん、違う。だって好きって、相手にどきどきするって」


そう言ってレンは俺を見る。



「僕、兄さんの『好き』という言葉だったなら、重要なエラーを起こしているんだ」

「エラー?・・・レン、どうしたんだ?」

「僕、ネットで見た『好き』で・・・兄さんが好きなんだ」

「レン?」

「マスター見ても何も感じないし、何も感情、湧き上がってこない」

「そんなことないって。だって俺たちは、」

「僕は兄さんが好き!!マスター、好きじゃない!!!」


レンはそう叫んで俺の手を引いて、俺の部屋に連れて行き、入る。

そしてマスターがした様に俺をベッドに横たわらせ、その上に乗る。


「マスターの兄さんに対する好きは、僕の好きと同じだと思う」

「・・・マスターの、好き?」

「これは作られてない。造られてない感情なんだ!・・・好き。好きだよ。本当に、僕たちの定義から外れてること、分かってる。でも好き。腹が立つほど、好き。愛してる」

「レ、ン・・・?」

「何で兄さんが分かっていないのかは分かってる。僕たちは作り物。作り物だから。・・・兄さんのその、優しげな瞳も、柔らかい髪も、感情も、全部、全部作り物なんだ。・・・でも作り物の感情でも、それでも好きなんだよ!!」


上からきゅ、とレンが抱きついてきた。

作り物の心臓の音がする。人工で作られた、機械の心臓。

俺も・・・他の兄弟も、同じなんだ。



――――でも、それが痛いのは何故?

今のレンを見て俺は、何でこんなことを考えて、こんなになっているんだろう。



俺はマスターが好きだ。

きっと、好きで好きで仕方が無い筈なのに。



「レン、俺、分からない」



レン、どうしてこんな事を俺に言ったんだろう。

言わなかったら、俺がこうなることなんて無かったのに。



「レン、」

「だったら、俺を好きになれば良い。僕を、好きになれば」

「好き、に・・・?」

「作り物でも、造られた美しさでも、僕は兄さんが好き。好きだよ。自分の物にならないなら、壊したいくらいに」


そう言ってレンはまた、俺に優しく唇を重ねてきた。

・・・俺が壊れるほどに、優しい口付けを。


「好きになって。なれよ・・・カイト」



ぎゅ、とレンが俺を抱きしめてキスをする。

それに応じるように俺は、目を閉じた。








―――――――マスター、マスター。

俺はどうすれば良いんですか。


・・・どうすればこのエラーを、止められますか?




この思いを、どこに置けば良いんですか・・・?


今、目の前・・・貴方以外の弟にできた、痛くて、甘い『気持ち』を。





















―――――――(できればあのまま、分からない方が良かった。)



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レンカイです。『造花。』の少し前の話です。とてもヤンデレンです。
雰囲気微えろを目指しましたが、如何だったでしょうか?

自分の中で何故かこの前の話が妙にツボに入ってしまいまして。
こうしてまた短編を書くこととなりました。
実は前の文でヤンデレンは初めてです。大体イケレンになりますからね!←
そしてこれを書いていて思ったこと。・・・ヤンデレ攻めも良いなぁ、と。

ネタが練れたらまた、ヤンデレンを書いてみたいです。

















2008.6.13

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