皐月の日。

皐月の日。

聖・ばれんたいん。(がくカイ)



部屋に、カイトの嬉しそうな声が響く。
彼がそう大声を上げると、「あんたはやっぱり女々しいわね」、やら「兄ぃにのチョコー!」やらの声が聞こえる。どの声も嬉しそうだ。

「はい、じゃあチョコを配るからね」

にこにこと笑いながらカイトは、皆にチョコを配ってゆく。
まずはレン、次にミク、リン、メイコ、ルカ…。

「じゃあ皆、味わって食べてね!」

そう言ってにこ、と笑うカイトに、皆が笑う。

……が。
恋人の筈の、彼は。

「あ、あの、カイト殿…?我には…」
「さぁ、散った散った!俺が作ったチョコを自分で食べるの、見られたくないからねー!」

ぱんぱん、とカイトが手を叩き、はーい、と言うリンの声と共に、チョコを貰えなかったがくぽを残した、それ以外が散らばってゆく。

そしてカイトと二人きりになり、ぽかん、とするがくぽに、カイトは彼の耳元に寄り。

「…ちょっと、俺の部屋に来てくれる?」

彼はそう言って、がくぽの目の前でにっこりと微笑んだ。
ぽかん、としているがくぽがそれを見てはっ、となる。

「わ、わかった!!」

こくこく、とがくぽがうなづくと、カイトはその笑顔を崩さずに、その部屋から出ていった。


* * *


がくぽがカイトの部屋の前に立ち、ノックをする。

「…カイトどのー?」

そう叩きながら言うと、「ちょっと待ってて」、と言うカイトの声が聞こえた。
そわそわしながら待っていると、どうぞ、と言われたので、どきどきしながらがくぽは部屋のドアノブを回した。

「いらっしゃい、がくぽ」

そこには、正座をしながらにこにこと微笑むカイトがいた。
その膝の上に置かれた手の中、彼は小さい箱が入っている事を、目で確認した。

「カイト殿、それは…?」
「…うん、チョコ。皆の前で渡すのは恥ずかしいし、ちょっと皆のより…箱が大きいし」

困ったような笑顔で少し顔を赤らめ、首を仄かに傾けながらそんな事を言うカイト。
そんなカイトに、がくぽはふるふると肩を震わせながら、我慢しきれんとばかりに、豪快に抱きつく。

「かいとどのーーっ!!」
「わ…ちょ、がくぽ、っ?!」
「我は世界一しあわせでござるー!」
「や、やだ…恥ずかしいじゃないか……」
「その照れる姿もたまらぬ…!」

にこにこと微笑み、がくぽはカイトを抱擁し続ける。
カイトはそんながくぽに少し苦笑いを溢しながら、いとおしいなぁ、と心の中で呟き、彼に抱きつき返す。

「…がくぽ」
「何でござる、カイト殿…?」
「……したい」
「っ、な……?!」

そう言ってきゅ、と甘える様に抱きつき方を変えたカイトに、がくぽの体か一瞬硬直する。

「かいと、どの?」
「バレンタインだから、とことんがくぽに甘えてやろうと思って。…駄目?」

少し体を離され、上目使いで見られると、がくぽの理性が少しずつ崩壊してゆくのが、彼自身でも分かったらしく。

「本当に、溶かすぞ…?」
「…喜んで」

そんな事を言ってにこ、と笑うカイトを見て更に余裕が無くなったがくぽは、カイトをふわりと姫抱きし、ベッドに運ぶ。
その間、カイトはがくぽの首にきゅ、と抱きついた。

「大好き、だよ。これからも…ずっと、一緒だ」
「……勿論。」

そんな会話をくすり、と二人は笑いながら話し、カイトをゆっくりと下ろしたベッドで、優しいキスを交わし合った。



――――ずっと、いっしょ。






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バレンタイン仕様で、とことん甘くなっております。
書いてて砂糖吐きそうになりましたw

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