皐月の日。

皐月の日。

犬に騙された猫さんのお話。(イチゼロ)



猫さんは、犬の皮を被った狼に食べられちゃったんだって。



     *     *     *



「ゼロってなんだか、美味しそうだよねぇ」

「・・・は?」


ぎしり、と動揺したキミが、僕らの腰掛けているベッドを揺らす。

その際に持っていたアイスを落としそうになったゼロは、必死にそれを口に持って行って咥えていた。


目をまん丸に見開くキミの姿は、とっても可愛い。

クールぶった君の姿が狂う瞬間が、楽しい。


「そして、かわいい」

「違う。イチのが・・・可愛いに決まってる」



くすくすと笑う僕からぷい、と棒アイスを齧りながら顔を逸らせるキミの顔は、まっかっか。

分かってるのに、何で逸らすんだろうね。

まぁそこが、とーっても、可愛いんだけどね。


「うそでしょ」

「うそじゃない。イチのが、笑顔だってかわいいし、・・・愛想、良いし」

「・・・ふーん、そっか。じゃあ、試してみる?どっちが、かわいいか」


ちょうどここはベッド。・・・ちょうど良い。僕らを邪魔するものも今居ないしね。

かわいいかわいい猫さんに、確かめさせてあげよう。


・・・・・・どっちが本当に可愛いかって、ね。



「ねぇ、知ってる?・・・猫さんは、犬の皮を被った狼に食べられちゃったんだって」

「・・・っ、?!」


くすりと笑って押し倒した、真白いシーツの上。

ぼとりとベッドに落ち、シーツを濡らす・・・蒼い、ソーダアイス。


覆いかぶさる僕は、『狼』。

キミは猫さん。


ね、この意味・・・分かってるよね?



「・・・・いただきます」










―――――さぁ、どう調理してあげようか?

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