皐月の日。

皐月の日。

壱万HITお礼「ぶちこわし。」(極ヴィル






「はぁ・・・久々に落ち着ける・・・」

―――――久々に、ジャックとクレイスが俺の休日に一緒に出かけた。

しかも、一日帰ってこない。


・・・こんなにのんびりした休日。久々だ・・・。



「あとは奴が来ないのを祈るだけだな」

「くぅい」


そう言ったとたんに、後ろに黒い影が。

―――あの、憎らしい黒い影が。



「・・・っぎゅあぁぁああぁぁ?! って、極卒か!しかも人じゃない方の!」

「きょひょひょひょひょ」

「はぁ・・・折角の休日、しかも、あの二人が居ないときに・・・帰ってくれないか?」


はぁ、と俺は大きなため息をついて軽い、小さいサイズの極卒を摘み上げ、外に捨てようとした・・・のだが。

・・・何故か、重い。持ち上げたはずの極卒が落ちるほどに。



「・・・?まさか」


「酷いじゃないかヴィル。放り投げようとするなんて・・・」



・・・嫌な予感する。まさか、やっぱり。



「僕がいきなりヒトの姿になれる事は知っていたはずだろう?それを知っていてお前の力で放り投げようなど、一億年早い」


「・・・・・・」




すっかり、忘れていた。

こいつ、そういえばすぐに擬人化できるんだっけ・・・。


・・・「チカラ」が強いお陰で。



「ところで、今日は何の用なんだ?今日はゆっくり休む予定だったんだぞ、俺は」


「あぁ、今日は特に用事はない」


「・・・なら、何で来た?」


「お前を徹底的にいたぶるためだ」


「却下」



やっぱりそういう理由か。

真顔でそんなことを言うか、こいつ。

・・・まぁ、極卒だしな。納得しておこう。


――――というか、こんな風に納得できるように、ある意味柔軟になってしまったのはこいつのお陰だな・・・感謝はできないが。



「じゃあ今日はどんな拷問器具が良いか・・・あぁ、爪を剥がす器具があるが、これで良」

「却下」

「じゃあ何が良い?こう、もっと、グロが良いか?死なない程度なのが」

「それはもっと却下だ」


あぁ、こいつはどうして、こう。

俺にずっと構ってくる。


「・・・俺は早く紅茶の残りが飲みたいんだが」


残量はあと半分ほど。大分温くなってきてしまった。

だから、早く飲みたい。

飲ませてくれ、本気で。

冷めた紅茶はあまり好きじゃないからな・・・。


「じゃあ尚それを承諾するわけにはいかないな」

「心を読むな。黙れ」


話をやはり、全然聞いてくれない極卒。

仕方なく俺はため息をつき、あまり使いたくない『チカラ』を使って紅茶を俺の手元へと瞬間移動させた。

そして勢いよくその紅茶をずずずずずずず、と全部飲み干す。


「・・・っぷは・・・ぬる・・・」


また冷たくはなっていなかったが、やはり・・・温い。

それもこれも全部、極卒のせいだ・・・。

それより何故こいつは俺ばっかり構うんだ。

構いがいのある奴は、他にも沢山居るだろうに。


「それはお前が一番苛めがいがあるからだと言っているだろう?」

「・・・納得できない」

「納得できなくてもできなくても、お前を苛めるのは今の僕の楽しみだからな・・・あぁ、考えれば奴隷にできたらもっと素晴らしい拷問器具で苛めることができたのに・・・やはりもったいないことをした」

嬉々としてその発言をするお前が俺にはやはり信じられない。


・・・まぁ、そういう種族だとは聞いているし、仕方ないといえば仕方ないのだがな。

でも俺がその対象になることは勿論、不満であるのだけれども。

いや、考えてみればそもそも不満どころか・・・俺は別にこんなことを言われる立場ではないはず。

俺はこいつの玩具じゃないんだからな。


「・・・まぁとにかく、帰ってくれ。俺はのんびりっ・・・?!」


がたん!どさっ・・・という音と共に、椅子と俺が一緒に押し倒される。

・・・なんの冗談だ、これは・・・。


「のんびりなどさせないぞ、ヴィル・・・」


そういう極卒の顔が俺に近づいてくる。

ちょっと、待て・・・?!


「やめろ、極卒っ!俺は腹が痛くなるのは」

「では散々痛くしてやろうか」

「やーめーろーっ!!!」


――――あんなことをされるのは、ごめんだっ・・・!

そう思い俺が必死に抵抗していた、そのときだった。

がちゃり、とドアの開く音が。



「ただいまヴィルー!!・・・お?」

「ただいま・・・どうしたんだヴィル?極卒も・・・そんな格好をして」


・・・最低のタイミング、でも。

ある意味、最高のタイミングだっ・・・!


「ジャック!クレイス!!俺を助けてく・・・」

「あー、お楽しみみたいだから、俺ら去っとくわ」

「そうだね。じゃあまたね、ヴィル。お腹、痛くならないように頑張ってね」


ひらひらと手を振って出て行くクレイスと。

おずおずと出て行くジャック・・・って、



ちょっと待てお前ら?!

俺を見捨てたな・・・・?!




「待てジャック!クレイスうぅぅ!!極卒がぁ!!!」

「はははは、まぁ良いじゃないか。僕には誰もかなうわけがないからな」

「爽やかに笑うなあぁ!」


・・・くそっ!

脱出する手立てはないのか・・・?!

あったら誰かっ・・・!


「無いな」

「心を読んできっぱり言うなぁぁぁ!!!」




あぁ、もう終わりなのか。

俺は攻められるしか、ないのか・・・。



「そうに決まっているだろう?お前は僕に攻められる以外、ありえない」


「・・・っくそ、本気でだれか助け・・・?!」



そのとき。

がしゃーん!! と豪快な音を立てて、窓がぶち破られた。

その、窓を突き破った張本人は。



「兄様!何やってるんですか!!人様の迷惑になるようなことを・・・!」




・・・某・ここにいる鬼畜兄の、弟だった。




「あぁ、刻卒か。何故ここにいる?」

「どうも何も無いですよ!コルターが心配だと言ったから・・・!!」

「はははは、やはりコルターとやらは判っていたのか」

「はははは・・・じゃないですよ! 今すぐ、その椅子ごと倒れて、ものすごく痛そうなヴィルヘルムさんを離して下さい!」



・・・聞けば聞くほど突っ込みどころ満載の二人だな・・・。


だが、今はそれよりも。


――――・・・あぁ、修理費が・・・。

ただでさえ、こっちに来てから金が少ないのに。


・・・本気であの時が懐かしくなってしまうな・・・。

思わず俺は、遠くの方を見てしまう。



「とにかく、帰りますよ兄様」

刻卒が極卒をずーるずると引きずって玄関へと向かってゆく。


「まぁ待て刻卒。分け前はお前にも」

「分け前って何なのですか。というかいりません」

「そんなことは言わずに・・・では、お前の大好きなコルターを」


ばこん、と勢いの良い音が玄関の方から響く。

それから、極卒の声はぽっくりと聞こえなくなり。



ばたん。




そのドアを閉める音と共に、玄関の方角からは全く音が聞こえなくなった。



「・・・はぁ・・・・」



奴らの来た後には、散乱する家具と硝子。

どう掃除をしようかと考え、俺はまた、ため息をついた。



















―――――――――――もう、どうにかしてくれ・・・!!!












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ようやく完成です^^ 製作時間が長すぎです すみませ・・・!;

途中、話がマンネリ化してしまいまして・・・どうやって切り抜けようかと考えているときに、刻卒くんの存在がとても役にたってくれました!^^

でも、これだと刻卒最強伝説が生まれそうな予感がするようなしないような。(どっちだ)


ちなみにこれは壱万ヒットお礼なので、フリー配布ですー。

「極ヴィルのギャグ」、というリクを承っていたのでそれを書かせていただいたのですが・・・ご期待には沿えましたでしょうか?

そうなのでしたら、光栄です^^


壱万ヒット・・・ここまで「皐月の日。」がやってこられたのも、ここに来てくれている皆さまのお陰です。

本当にありがとうございます。

そして、これからもスローペースな甘味、そして「皐月の日。」を宜しくお願いいたします^^

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