皐月の日。

皐月の日。

「過去」への決別(ジャク21+色々)



極卒から、ジャックを取り戻す。


俺達が、進みはじめる日―――――――





     *     *     *



――――今日は、あの・・・約束の朝。

支度を終えた俺とクレイスは、玄関の前で話す。


「・・・クレイス、今日は・・・頼む」

「あぁ。・・・勿論だ。ジャックは、俺とお前で取り戻す」


手をぱんっ、と顔の前で交わし、玄関から出る。

そして、素早く階段を1回まで降りた、目の前に。

奴とそっくりの顔をした奴が立っていた。


「・・・始めまして、刻卒です」


――――そうか、こいつが・・・極卒の、弟。

金髪の七三分けに、赤い目、赤い軍服。


・・・まぁ、ゆったりとした物腰と言い方は、奴には全然似てはいなかったが。



「兄に案内するように、と。ついてきていただけますか?」

「あぁ・・・判った」


広い道路から少し外れた、細い道。

あの、極卒がちょうど、ジャックをさらった・・・切れ掛かった電灯のある場所。

そこで刻卒は、前に手を出し、下へと少しずつ傾けてゆく。

すると、目の前に、無いはずの空間が現れる。


「どうぞ、この中に」


――――この空間の原理は、きっと、俺の作った空間と同じ物だろう。

コルを、守る・・・俺が壊してしまったはずの建物を作って置いた・・・あの、空間と。


「行こう、クレイス」

「・・・頑張ろうな、ヴィル」

「あぁ」


クレイスと俺は、また目を合わせて・・・その空間の中へと入っていった。



     *     *     *




「・・・ん・・・?」



―――――うすぐらい、空間。

俺は、その中で・・・ぼやっとする頭を起こした。


「俺は一体、何で、こんなところに・・・」


どうみてもここは、牢獄だ。

俺の手だって縛られて、起きることが出来ない状態。

それに辺りには・・・腐った臭い・・・多分これは死臭で。

それが充満している・・・嫌なところ。



「目が覚めたか? まさか、ここまで長く眠るとは思ってもいなかったぞ」



はっ と前を見ると、あの、極卒が立っていた。

・・・俺の事を見下ろして。


「ここは、どこだ?」

「僕の軍基地。今は、本当は存在しない空間・・・空間の狭間に在るがな」


そう言って極卒は、かつかつとブーツの音を立てて俺に近づいてくる。

・・・俺は、身を強張らせた。


「・・・何かしようという事ではない。そんなに警戒するな」

ひょひょ、と極卒が笑って俺を、近くで見下ろす。


――――本当に、そうなのか。

俺は、信じられなかった。


「・・・俺は、どうしてここに?」

「僕がヴィルを手に入れるためにさらってきた。・・・おかげで今、ヴィルを僕専属の『ドレイ』に出来そうだ」

「・・・ど、れい・・・?」

今、こいつはとんでもない事を言ったんじゃ、ないのか・・・?



――――ヴィルを、『奴隷』に。


大切な、友達である、ヴィルを。・・・ヴィルを。

何で、何で、そんな事をしようと・・・?!

しかも、俺を、人質にとってなんて、



――――――卑怯、すぎるっ!!




思わず怒りで、顔が歪んだ。


そんな俺を見ても、目の前の奴は顔色一つ変えなくて。

ただ俺を、見下ろし続ける。


その硬直状態で、長い数分がすぎ。

目の前の極卒から先に、にやりと笑み、また喋り始めた。


「・・・お前、『キオク』を失っているな」

「だから、どうした・・・!」

「お前に、奴らが嘘をついているとしたら?」

「・・・・・・え?」


俺の息が、止まる。

・・・息が、出来ない。

こいつの言う事なんて、きっと嘘に違いないのに。

こんな、最低の奴なんて。


「教えてやろうか?・・・本当のことを」



ひゅう、と喉が鳴る。

まるで、窒息しそうであるかのように。

いきが、できないよ。

なんで、なんで。


「さぁ、どうする? 嘘吐きの奴らと僕、真実はどちらか?」

――――知りたくないか?


極卒の目は、そう言っていた。



「俺は―――――」





――――選択は、一つだった。







     *     *     *





かつかつ、と広い空間に歩く音が響く。

驚くほどこの空間は静かで。

何も、居ないかのようだった。



――――ここに入ってから歩き始めて、十数分がたった。

俺も、クレイスも・・・黙ったまま。

勿論・・・目の前に居る、刻卒も。



そして、その、沈黙を破ったのは・・・意外な人物。


「・・・ちょっと、良いですか?」


案内人の、刻卒だった。


「僕の・・・兄のことについてです」

「何だ? 極卒のことって・・・」


クレイスがそう聞くと、歩くのを止め、刻卒は静かに話し始めた。

寂しそうな声で。・・・かつ、強い声で。



「兄は・・・10歳から12歳程のとき、小さい頃に・・・父親を殺しました」

「・・・っ?!」


いきなりそんな話を聞かされて、クレイスと俺の間に、緊張が走る。

・・・なんとなく、そんな感じはしていたのかもしれない。

だって、あんな奴。

父親を殺しても、可笑しくないから。


「・・・僕を、守るために・・・話した結果が其れでした。兄様は、そんなつもりではなかったはずなのに」





『・・・そうか。始めから、こうしておけば良かったんだ』





「あの時から、兄様は変わってしまった。・・・いや、変わらされてしまったんですね・・・あの人のせいで」


父親、裏切り。

母親が・・・無理矢理に此処に戻された事。

それを一気に喋られ、頭の中が混乱してゆく。


「僕は、あの人とツバキ母様との、純粋な種族の子です。・・・しかし、兄様ツバキ母様と、地球の人との・・・ハーフなんです」


さらに刻卒は、喋り続ける。

話が、永遠に尽きないかのように。


「僕は最近、兄の方針、やり方に反対で・・・全然兄の事を見ていなくて・・・その、そんな事を思い出させてくれたのは、とある『狭間の空間』の、緑の髪の、小さい方でした。・・・彼は、『罪を背負う事の、辛さ』そして、『罪を背負う事は・・・人を壊れやすくする』、そう、僕に伝えてくれました」

「緑の髪の・・・小さい、子」


聞いた見た目はまるで、俺の弟のようだ。

でも、あの子が、そんな重いことを・・・


「どうか、兄を・・・救ってください」

そんな事を思っているときに、へこり、と大きく頭を下げられ、俺は動揺する。


・・・まだ、あいつを許すわけにはいかないのに。

ジャックをさらった、あいつを。


「・・・今は、俺は、あいつの事が許せない。でも・・・」

「・・・・・・でも?」

「あいつがジャックを返してくれれば・・・考えない事も、無い」


こいつがこんなに願って。

あいつがもし、ジャックを返してくれたら・・・俺は、こいつの言うように、あいつと―――――



「・・・すみません、ヴィルさん。そして・・・ありがとう、ございます」

「・・・あぁ。約束する」



俺は差し出された手と、目の前に居る刻卒を見て。

柔らかにその手を、きゅ、と握り返した。




     *     *     *









―――――牢屋の中の、沈黙が破られる。




「俺は、クレイスとヴィルを信じてる」

沈黙を破ったのは、俺だった。

はっきりと、しっかりと・・・自分の意思を。



「嘘だとわかっていてもか?」

「嘘でも・・・クレイスが、俺を壊したくないって。まだ、早いって」






『俺はこいつを、壊したくないんだ・・・!』





「何があったのかは、わからない」

きっと、嘘は沢山あったんだろう。

でもそれは・・・『俺』という存在を守ってくれるためだって。


「少なくとも、前はどうしても知りたかった。・・・でも、今は違う」

「・・・ほう」

「俺は、クレイスとヴィルが話してくれるまで・・・待とうと思うんだ。きっと信じてればいつかきっと、話してくれるから」


そう、俺は二人を信じる。

きっと、彼らは俺を裏切らないと思うから。

・・・だから。


「俺は、お前なんかの言葉は・・・聴かない。大切な、大切な人の言葉を信じる」


自分の意思で、しっかりと。

本当に、大切な人から・・・大切な事を聴きたい。


「無理矢理聴かせると言っても、か?」

「あぁ・・・絶対に」


俺がそう言うと、極卒は、顔を隠して肩を震わせ。

・・・笑い始める。何か、可笑しい事を聴いたかのように。


「・・・クク、あ、ははははッ・・・!! ・・・面白い・・・お前らは、どうしてこんなに面白い答えを出してくれる・・・!」


そう言って極卒は、牢屋のドアを開け、俺の前髪を掴んで、俺を起こす。


「・・・耳元で言ってやろう。それで聴こえないと言えるか?」

「・・・・・・言う。聞こえないと、ずっと」


俺は、お前を否定し続ける。

たとえ、耳元でも・・・心には届かないから。


抵抗の目をすると、奴の顔がさらに笑顔になり。

耳元に顔を寄せられる。


「では、地獄の始まりだ、な・・・ん?」



そう言ったのに、ずっと始まらない言葉。

どうしたものかと、横目で極卒を見てみると。

視線が、牢屋の入り口の方向に・・・嬉しそうに向けられていた。


「・・・惜しいが、この話は終わりだ。ヴィルとクレイスが来たようだからな」

「え・・・?」

「では・・・交渉の、始まりだ」



にやり、と極卒が笑い。

近づいてくる足音に、俺はぎゅっと目を瞑った。





     *     *     *



――――血も腐り、腐敗した臭いしかしない、牢屋。

そこに、奴と・・・ジャックは居た。



「ジャックっ!!!・・・だいじょう、ぶ・・・ッ?!」


俺はジャックを見て・・・絶句した。

手首を痛々しく縛られ、前髪を鷲づかみにされている、ジャックを見て。



「極、卒・・・貴様・・・!!」

「ようやく来たな。決心はできたのか?」


俺が答えようとした時、隣に居たクレイスが、いつもとは違う、どす黒い声で俺より先に答えた。


「・・・お前のモノになんかなるかよ、ヴィルが。お前なんかに、大切な・・・大切なこいつらを。ヴィルを・・・ジャックを!!」


・・・いつもの、クレイスの顔じゃなかった。

もう、怒りで顔が、クレイスじゃないかのような表情で。



「お前なんかに、ヴィルは渡さねぇ・・・いや、絶対渡さない!!」




そのクレイスの怒った顔に、俺は仄かに嬉しさを感じる。

・・・クレイスは俺のために、怒っているんだ。

ジャックが囚われているのにも関わらず、そう。


・・・何を考えてるんだ俺はっ!!

今はジャックのことだけに集中していれば良い。



「さて、ジャックを返してもらおうか」

「お前になど、答えは聞いていない。・・・ヴィル、お前次第だ」

「・・・俺は・・・」


――――大切な人を守りたい。

仲間も、友達も今、近くに居る。

何も、怖いことなんて無い。・・・そう、庇ってくれたんだから。


これが俺の、決断だ。

一応、前向きにはなったつもりだから。







―――――許してくれ、二人とも。







「・・・ごめん、クレイス。やっぱり俺、お前達を守りたい」


ここまで連れてきてなんだけど、危険な目にあわせたくないんだ。



・・・ここまで来てもらったのは、最後まで、俺の近くに居てくれる人が欲しかったからだ。

だって、光は俺にとって、必要だったから。


あ、これはちゃんと俺の意思で選んだ事だからな。

・・・ちゃんと、俺は生きるよ。

罪も償って・・・ちゃんと。

ここから出られたら、まずお前達のところに向かうから―――





「ヴィルっ・・・この・・・わからずやが・・・!!」

「お前には判らなくても良い。・・・さぁ、ジャックを返してもらおうか」


俺がそう言うと何故だか、極卒は面白くなさそうにジャックの前髪を離し、ジャックがどさ、と牢屋の、赤い地面に落ちる。

そして、ジャックの頭ががくりとなって焦ったが。

・・・どうやら、気絶をしたらしい。無事だ。

・・・・・・良かった・・・。

そう、安心をした俺を見て・・・極卒が、さらに面白くない、と思わせるような声を出す。


「・・・面白くないな、その答えは」

「・・・? 面白くないって・・・」

「僕は、お前のその反応が気に入らん」


まるで、我侭を言っているかのような話し方だ。

俺の反応が、面白くないだなんて。


「つまらん・・・やはり、此れは自分の力でお前を盗れ、ということだな・・・ははっ、その方が良いな。人質という選択は、お前にとって・・・最善かと思ったが、そうではないみたいだ」


・・・意味がわからない。こいつの考えている事は。

だって、俺はお前の『ドレイ』になるって言っているのに。



「こんなお前を奴隷にしても面白くない、と言っているんだ。従順な奴隷など、僕は欲しくも何とも無い」


―――ただ、あの時のお前のことを、『ドレイ』にしたかっただけだ。


そう、極卒は目で言っていた。




「・・・また、僕はお前の事を奴隷にするために追いかけるだろう。その時までには・・・またあの時のように戻っておけ」

そう言って獄卒は、かつかつとブーツの音を立て、この、牢屋から出て行った。



――――・・・俺達と、ジャックを残して。






     *     *     *





――――――遠い、遠い・・・夢だ。

その中で俺は、見知らぬ場所で・・・黒い髪の彼と一緒に居た。




『ジャック・・・』




愛おしそうに俺のことを見ている、馴染みのある顔。

俺の事を、『好き』だと言ってくれた、彼。


・・・こんな『キオク』、無いはずなのに。

何故か・・・とても、懐かしい。

懐かしくて・・・悲しい。



そんな感情が渦巻いたまま、彼は喋り続ける。



『俺は、何があってもお前を、絶対―――――』





――――たとえ、お前が俺の事を忘れていても。

ずっと、俺は、お前を―――――



























『・・・・・・絶対、守り続けるよ。』


























―――――其れは、絶対の言葉。

破られることの無い・・・決して。











その約束は、ずっと、お前が死ぬまで・・・ずっと――――――




































・・・永い夢が、覚める。



永遠に、続けば良かった筈の・・・夢が。













     *     *     *






聞き覚えのある声が二つ、俺の耳元で響く。

俺の好きな、二つの声が。



「・・・・ぶ・・・・・ジャッ・・・」




―――――ん・・・? 此処は、どこ、なんだっけ・・・。

確か、俺は・・・極卒に前髪を掴まれて・・・。


それで・・・どうしたっ、け・・・?




「・・・・ック・・・・・・ジャック!! 大丈夫か?!」

「ジャック、目を覚ましたか!」




・・・あぁ、クレイスとヴィルだ。

俺の事を、助けにきてくれたんだよな・・・本当に。


俺が目覚めて、嬉しそうにしてくれるヴィルと。

俺の事を、笑いながら嬉しそうに見つめてくれるクレイス。


・・・そうだ、ここは牢屋で。

俺は今、クレイスの腕の中に居るんだ・・・。



「二人、とも・・・俺のために・・・」

「勿論だ。お前達は・・・俺の守りたい、大切な存在だから」

「俺だって・・・お前の事をずっと守るって、心に誓ったからな」


・・・クレイス、ヴィル・・・。

嬉しくて・・・そんな二人に、自然と顔が緩む。



「ありがとう、二人と、もッ?!」


お礼を言おうと思ったら、クレイスがぎゅ、と俺を強く抱きしめてくる。

俺を、離すまいとしているかのように。

・・・強く、強く。



「本当に、良かった・・・お前が、無事で・・・」

「クレ、イス・・・? どうしたんだ・・・?」

「・・・俺は、・・・・」


・・・何か、クレイスが言おうとしているのに、言葉に詰まっている。

何故、なんだろう・・・?


何を、言おうとして。

何を、伝えようとしてくれているんだろう。

俺は気になって、また尋ねようとする。



「クレイス、本当にどうし・・・」

「・・・俺は、お前が好きだ」

「っ?!え・・・」


いきなりの、『すき』という言葉。

まるで、あの、さっき見た夢の中であるかのように。


でも、クレイスは・・・クレイスが、そんなこと。


頭がぐるぐるして、意味がわからなくなってしまう。

・・・嬉しい、はずなのに。

何故か俺は笑って、ごまかそうとしてしまう。



「えっ、と・・・意味が、」

「本当の、友情のことじゃなくて・・・『すき』なんだよ・・・好きだ、ジャック」

「―――――っ!!!」



声にならない叫び。

顔が、どんどん熱くなってくる。


「クレイス、・・・」

「俺の押し付けかもしれないけどさ、本当なんだ」

「・・・・・・」

「俺は、お前が好きなんだよ」


まるで、懇願するような・・・言葉。

俺が、クレイスを好きで居る事を望んでいる、声。


・・・でも、大丈夫だよ。クレイス。

だって俺は。

俺は――――――























『・・・俺は、クレイスだ。お前を、拾った張本人。・・・これから、宜しくな』




『あ!・・・ジャック、それはお金だ。きちんと覚えろよ?』


















『・・・ジャック、好きだぜ。ずっと、ずっと守ってやる――――』

























―――――俺には真新しい、『キオク』。

それが、俺の頭の中をよぎって、消えて。


・・・どんどん、思いが膨らんでゆく。

俺は、・・・俺も、クレイスのことが。


今なら、きっと・・・笑顔で。





「俺も、・・・クレイスのこと、好きだから」

「・・・っ?!」



クレイスが一瞬、びっくりしたような声を出す。

・・・こんな答え、予想していなかったのかな?


「俺を、大事にしてくれて、好きだって、初めて言ってくれて」


どんな場所に行っても、ポップンパーティに行っても。

緊張してた俺を、支えてくれた。



「・・・本当に、俺は・・・好きなんだ」


自分で、確かめるように。

何回も、何回も。



――――・・・俺は、クレイスが『すき』だ。





そう言って俺が、嬉しそうに微笑むと・・・クレイスは尚、俺をぎゅっと抱きしめてくれた。


・・・嬉しい。嬉しいって、こういう事を言うんだ。

笑顔が自然と溢れてきて・・・幸せ。




――――でも、ヴィルが何故か・・・うつむいてしまっていた。


何故だろう。何故―――――





     *     *     *







―――――目の前で、告白を見た。


ジャックとクレイスの、両思いになるための。





・・・何故、だろう。

なんで、こんなに痛いんだろう・・・。


二人とも、幸せのはずなのに。

なんで、悲しいんだろう・・・。


思わず、二人の幸せそうに抱き合った所を見て・・・うつむいてしまった。












『守りたいから、って・・・俺たちも、お前を守りたいんだけどな』





『お前なんかに、ヴィルは渡さねぇ・・・いや、絶対渡さない!!』












・・・あの、言葉・・・一つ一つが嬉しかった。


俺は、こんなことを一回も言われた事が無かったんだ。

嬉しかった。・・・幸せ、だった。





・・・っ違う、違う・・・!


俺は、二人に幸せになって欲しいだけなんだ・・・!!





なのに・・・・・・なんで、かなしいんだ・・・!


この感情なんて、忘れよう。





きっと時間が、たてば―――――











―――――そう、俺はこんな思いを胸に抱えて、また、ジャック達の方を向いた。



胸に・・・すべてをしまって。








     *     *     *







あの時から、数ヶ月・・・時が流れた。




――――ある、晴れた日のこと。










「ぎゅああああぁぁ!!!貴様!!俺のティーカップをよくも・・・!」


「ひょひょひょひょひょ、ヴィルがあまりにも僕をそそる反応をするからだ!」




追いかけっこ・・・いや、そんなぬるい物ではないと俺は思う。

そんな事を俺は極卒としていた。



これは、刻卒との約束。

あの時、ジャックを返したから。


・・・だから、こんな風なこともしてやっている。


断じて、翻弄されているわけではない。うん、そうだ。






「あーあ、またやってるよ・・・な、ジャック?」

「そうだな・・・俺は面白くて良いと思うけど」




クレイスとジャックはいつもの反応。

・・・っあいつら、当事者じゃないからって・・・!







「おまえらも加われぇぇぇぇぇぇえええぇぇぇ!!!!!!」














俺の叫びと共に、二人の笑い声が響く。




俺は、これで・・・幸せ。


笑って、笑えることが・・・本当の。





・・・本当の―――――















**********************************
終わりです。えぇ、終わりですとも。
これで、今のギャグ極ヴィルに続きます。

それとヴィルのクレイスへの感情ですが、それはやはりまだ気になっている・・・続いているんですね。
それを自覚しないように、必死で過ごしています。
それで、気になった理由ですが・・・あんな風に接されれば普通は好きになりますって。
・・・というわけで、あんな感じにしてみました。流れも含め。

基本的に私のヴィルは優しい、真面目なA型タイプのようですので。
皆が幸せになってくれれば、それで良いという感情は強いと思われます。
そして、いつも自分を押し付けてしまう。

それは、今の私のヴィルです。
うーん、私からも説明がむつかしい子なのです。私はなんだか文を書いていると、勝手に話が進んでしまうタイプらしいので・・・(--;)

ヴィルは初期と大幅に変わった子だと思います。

極卒くんは、これからです。
これから、きっと精神面でも成長を見せてくれることでしょう。
・・・未定ですがorz

そして、ジャックとクレイス。

始めはこの二人メインでやるつもり、だったのに・・・いつの間にかヴィルが主役っぽくなってしまって申し訳ないような気が・・・(--;)
でも、かなり楽しかったです。二人を両思いにできて幸せでした^^


・・・こんな感じで、この話は終わりです。
今まで読んでくださっていた方、待っていてくださった方。

本当にどうもありがとうございました!

これからも更新がむばります!!><





2007.7.24

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