カンパーの里 ~私立竜苑学園~

カンパーの里 ~私立竜苑学園~

転校生:竜水


俺、寒波の前にいるイマジンは手を妙な動かし方をしながら話す。
「そう。今日見たんだ~!!」
イマジンが何を見たか知らないが、見間違いだろう。
こんな辺鄙な学園にくる獣人なんて。
「学園創業以来初めてじゃないか?」
俺が言うと、
「まだ造られて一ヶ月も経ってないだろう?」
あ、そうだった。
イマジンの言葉を真に受けた訳じゃないが、理事長の俺が知らないとは普通ありえない。職員は職務放棄してるわけじゃなさそうだし・・・。
とりあえず職員室へ。
「ライス~?」
「あ、寒波さん」
奥の椅子からペンギンことプリニーであるライスが顔を出す。
「転校生がくるって?」
「あ、みたいっスね。」
ホントの話かよ!?

1:どこに住むの?

「っつー訳で今日から転校してきた竜水くんだ。」
「よろしくお願いします。」
クラス担任のニドホグの隣。見慣れない顔。
「あれが転校生かぁ。」
刻神は興味深そうに見る。
「席は寒波の隣な。」
「え?俺なの?」
ニドホグはいやらしい笑みを浮かべ
「セクハラすんなよ~」
「しねぇ!!ってか男だろ!?」
ニドホグは高笑いしながら教室を出て行った。
「ったく。ごめんな。セクハラ教師なんだよ、あいつ。」
竜水は首を振る。
「ううん。面白い人は好きだよ~。」
その後、教室は竜水への質問所に変わった。
「どこ住んでたの~?」
「夢幻地方だよ。」
「彼女いる~!?」
「え?」
「どこに住むの~?」
「家遊びおいでぇ~」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
竜水はかなり疲労してる様子だった。
「大丈夫・・・そうじゃないね。」
竜水は顔を上げる。
「うん・・・。正直疲れたよ・・・。」
俺は苦笑した。
俺が理事長だとばれればこんな感じにもみくちゃにされそうだと。
「今日は家に帰ってゆっくり休みな。」
竜水からの返事は意外なものだった。
「実は・・・。家が無いんだ・・・。」
「・・・へ?」

2:結局こうなった

竜水はどうやらほとんど飛び出しでここに来たらしい。
そのためお金もほとんどなければ荷物もほとんど無かった。
「ごめんねー・・・。」
「いやいや。俺は来る者は拒まない性質なの。」
結局俺の家に同居することに。
しかしなぁ・・・。
「ただいまー。」
「おっかえりー!!」
家に入ると同時に由紀が飛びつく。
俺に抱きつく形になり、そのまま視線は竜水へ。
「あれー?竜水くん?」
「あれ?・・・この子って・・・。」
俺は由紀を引き剥がす。
「そう。同じクラスの由紀だよ。同居してる。」
「・・・え?二人きり?」
「まさか。あとフェルニゲシュとグレイムがいる。」
竜水は少しほっとしたように胸をなでおろした。
・・・なぜ?
「まぁ、騒がしい所だけど・・・。」
「ううん!楽しそうだよ、すごく!」
竜水はなにかスイッチが入ったらしく、目を輝かせた。
あぁ、人数いっぱいいればいいのね。
楽しいことがどうやら好きらしい。
さて、こうやって竜苑学園にもう一人新しい生徒が入ったとさ。

また騒がしくなりそうだ。


寒波の日記より。


END

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