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このエントリはお堅い話カテゴリなので、メインブログとクロスポストしている。
この時期の事だから憲法改正の話題が良いのかもしれないが、あれはあっさりしすぎているので、もうちょっと複雑化してから話題にしても良いかなって思う。それでも結局のところ96条は原則改正せず9条ほか問題のある部分だけを改正したほうが良いという結論に落ち着くとは思うが。
なぜなら、せっかく憲法を改正して独立国家として正常な状態を作り出したとしても、先ごろのように変な政党が政権を取ったりしたらあっさり元に戻されたりする可能性が高くなるからだ。強いて言えば96条については手を入れるにしても、現行憲法の規定があいまいな点だけをはっきりさせるだけで良いだろう。逆説的だが改正しなければならない案件が重要であるほど、改正手続きは難しい方がいいとも言える。
まぁ、【 96条を改正 → 9条ほかを改正 → 96条を元に戻す ] と言うアクロバットもアリだがな。(笑)
と言う事で今日も以前から何度か話題に出している原発の話だ。実は年度が変わってからこちら、共産党や社民党などの左翼政党の連中が選挙でもないのに原発に絡むネタでずいぶんにぎやかなのだ。京都は特に左巻きの強いお土地柄だからだろうが、どうも耳障りで仕方がない。
以前から話していることだが、俺自身は311ではっきりしたように今の人間に原発を管理する能力はないことが証明されてしまったので、基本的には原発をなくすことに賛成だ。ただ、共産党や社民党が、最も肝心なことを隠して耳当たりの良い言葉ばかりで原発廃止を訴えているのが気に入らないだけなのだ。
共産党は「直ちに原発ゼロ」、社民党は「2020年までに原発ゼロ」を宣伝している。まぁ、現状では事実上原発の運転はほぼ止まっているので原発ゼロ状態だが、あえてその上に言葉を重ねるのは「原発ゼロ=安全」⇒「それを推進する我が党は正義」と言うイメージ戦略で話しているからだろう。
しかし、原発は運転を止めていても安全ではない。それは福一の使用済み核燃料プールのトラブルを見ても良く判るよな。核燃料として「燃えて」いなくても、「余熱」に相当する崩壊熱とホットな放射線を出し続ける状態が続く。核燃料サイクルで原発を維持した場合ですら3年から5年はプールで冷やしてからでないと再処理に回せない。
念のため言っておくと、放射性物質の崩壊は水で冷やしたら止まると言うものではない。ただ、水で冷やしておかないと崩壊熱で施設をも破壊する現象さえもが発生しかねないから冷やしているだけなのだ。で、水自体が放射線を止める作用も持っている。特に中性子線には有効だ。
そうやってある程度崩壊が進んで放射線量が減ってから再処理に回すと言うわけだ。再処理するとプルトニウムや燃え残りのウランなどを集めることで再び燃料として使えるようになる。しかし原発をゼロにしてしまうということは再処理燃料の使い道がないから半減期24000年のプルトニウムはそのまま地面にでも埋めるしかなくなる。
また原子炉を廃炉にする際の手続きを見てもすぐにできないのは判るだろう。原子炉を廃炉にするには全工程で30~40年かかる。最初に燃料をすべて抜き取ってから10年ほどは放射能的に「熱い」炉体を冷ますために放置するのだ。つまり、今すぐ止まっている原発から燃料を抜き取りはじめても解体を開始できるのは2025年ごろ、解体が完了するのは2040年代から2050年代になってしまう。なお、この「熱い」状態とは、核分裂に伴う放射線を浴び続けた結果、本来放射能を持たない設備が放射化しているだけで、燃料のようにそれ自体が崩壊してエネルギーを出すことはないから、自然に冷めるのを待てばいい。
しかし、これだけでも安全の面から見た「直ちに原発ゼロ」とか「2020年までに原発ゼロ」ってことは物理的にあり得ないことがわかる。もちろん「直ちに原発をなくすことを決意する」だけなら簡単だろうが。
さらに一番問題になるのはコストの話だ。もちろん原子炉自体は40年と言う寿命があるのでいずれは順番に解体してゆくことになるのだが、それを一気にやった場合のコストはどうするつもりなのか。建設中のものを含めて、現在日本には50基以上の原子炉がある。その中には福一やそれ以前に運転を終了した炉体は含まれていない。でもって、概ね5000億円~6000億円/基の廃炉費用が必要になるわけだが、毎年2基ずつ廃炉していった場合の1兆円あまりは電力会社も予算に組み込み済みだろう。しかし全部を一斉に廃炉にした場合、当然30兆円ほどの費用が一気に発生する。
同時に代替発電所も一気に必要になるわけだ。現在でこそ旧式の発電所をやりくりして賄っているが、それにも限界がある。日本の原発の発電能力は4800万kWぐらいだが、原発と言う性質上いつも運転しているわけじゃないので、代替施設は半分くらいで間に合うとしよう。仮に火力発電でそれを賄った場合、必要な建設コストは発電機と建屋だけで約2.5兆円ぐらいだ。土地代は想像もつかない。まぁ、遠い未来に原発跡地で穴埋めをすることにして、金利負担の毎年数百億円程度でなんとかなると甘く見通してみよう。
単純に30年かけてってわけにはいかない。スタートダッシュで躓くと電気なしの生活が待っているから、お金は初年度に必要だろう。もちろん国からの補助がないと電力会社が持たない。でも、その金は税金なので最終的に国民に請求が来るわけだ。一人あたり30万円程度の負担ってことになるよな。もちろん昨日死んだ爺さんから明日生まれる赤ちゃんにまで公平に割り振られることになる。
もし国がバックアップして30年の均等割りにしたとしても、金利は発生する。住宅ローンにかんがみても年割にして毎年一人あたり2万円くらい。ちょっと痛いぞこれは。
ではどうすればいいのか。ぶっちゃけ現在の技術では妙手がないと言わざるを得ない。これは素人考えの想像に過ぎないが、一つ言ってみれば核燃料サイクルで生まれるMOX燃料の上手い使い方を考えるしかないのだろうと思う。
使用済み核燃料に含まれるプルトニウムは、最も多い質量数239の同位体の場合、半減期は24000年である。これは何万年と言う単位でそれを管理するか垂れ流して捨ててしまうかしかないと言う意味にもつながる。
一方、これを原子炉で燃やしてしまうと、出てくる放射性物質の半減期は30年ぐらいになる。このことは福一事故でずいぶん報道されたから記憶に新しいだろう。もちろん、MOX燃料の燃え残りにもプルトニウムが含まれ、それは再々処理が難しいと言う技術的なハードルがあるものの、それを超える方法も見つかりつつある。
そこで、だ。とりあえず可能な限り安全性を担保した上で、現行の原子炉はMOX燃料を最大限使用するプルサーマル方式で運転する。でもって、40年の寿命を迎えた炉から新たな原子炉と交代させる。そうすれば、40年後にはすべて新しい炉になると同時に、今年寿命を迎えた炉の置き換えは41年後に廃炉になる。そこから40年かけて解体すれば81年後には今最も古い原子炉の廃棄は完了する。一方、今年出来立ての原子炉は2回交代を行わせれば120年後にきれいになくなる勘定になる。平均で100年。
おそらくこの期間では日本に蓄えられたプルトニウムを燃やし尽くすことはできないだろうが、核兵器に転用できないMOX燃料なら輸出もできるだろうし、これから原発を輸出する際燃料もセットでお安く販売して減らしてゆくしかないのかもしれない。
最終的に22世紀の半ばから23世紀の初めごろには日本から原発を完全になくすことも不可能ではないだろう。そのぐらいのスパンで政治家は理想像を描いてほしい。目の前の美味しいところだけを振り回して国民の目を欺くのはもう勘弁だ。
原発ゼロは取るべき目標だが、実現は一世紀以上先。でもそれを実現するために今からレールを敷くのが仕事ってものだろう。今すぐ全部の原発を止めて云々は「危険性の政治利用」にすぎず、極めて無責任な発言と言わざるを得ない。
原発を安全になくしてゆくために、少なくともあと二世代は原発の新設を継続すると言うジレンマが発生するが、そうであっても廃棄物処理やさらなる安全性の確保、さらに安全な核技術の開発などに予算の面で保証を与え、一世紀後の日本に対しても責任を負うべきなのは論を待たない。政治家が実現すべき理想と方向性をはっきりと指し示し、官僚がそれに沿って無駄なく間違いなく実務を行うのが責務なのだ。
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