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信じたら損しそうなものへの懐疑
「信じるものは何ですか?」という調査を目にした(博報堂生活総研「生活定点」
2014
年調べ)。「愛」「お金」「運命」「宗教」等の
10
項目に対し、信じるか信じないか、アンケートをとったものだ。
特筆すべきは、「〇〇を信じる」という割合が、 20 年前の調査( 1994 年)と比べて軒並み下落している点だ(人の善意、愛、運命、霊魂、来世、宗教、超能力)。
「宗教を信じる」に関しては、 22.9% 。初回( 92 年)の調査と比べると、全体として 12.6 %も下がっている。特に 20 代女性の割合は最も低く、 13 %である。日本人の宗教に対する嫌悪感や偏見がうかがい知れる。
一方、「学歴」「お金」「占い・おみくじ」を信じる割合は上がっている。
この調査結果から、目に見えるもの、世間で役立つもの、都合のいいもの以外は信じないという傾向が見て取れる。また、宗教は信じないが、占いやおみくじは信じるという結果に、そもそも「信じる」という言葉のニュアンスが曖昧で言葉の軽重の違いが存在している面も指摘できる。
「宗教を信じる」ことは「重い」が、「占いを信じる」ことは、まるでファッションのような「気軽な」なのではないだろうか。だから“信じている”占いに裏切られたところで、大したダメージはないのだ。
不安定な世の中でもあり、「ミスをしたら終わり」のように思えてしまう社会(実際はそんなことはないのだが)にも、当然、問題の一端はある。それが、物事に対する慎重さを生み、“信じたら損しそうなもの”に対して、斜に構えてしまうことも理解できる。
大前提として、何でもかんでも信じることが良いことではないのも事実だ。人を利用し、陥れようとする悪人や宗教に騙されてはいけない。非科学的なものへの狂信も、理性と人格を失わせてしまう恐れがある。
ここで指摘したいのは、そうした一部の悪弊が、人間性を高めてくれるものへの「信」をも奪っている、という点である。
【論
RON
2016.10.5
(つづく)
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