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創価大学 鈎 治雄教授
“現実”から離れる時間も
私は、講演会などで多くのお母さま方と触れ合う機会があります。皆さん、子育てだけでなく、家事、パート、介護、地域活動などを、精いっぱい、頑張っておられる方ばかりです。日々のご苦労に本当に頭が下がる思いです。一生懸命ゆえに、ストレスを抱えながら頑張り続けている方もいらっしゃるでしょう。
ストレスは一般的に、生活環境などの外的な要因と、個人の性格、ものの考え方といった内的な要因から起きるものとが掛け合わさって、相乗的に生じるものと考えられています。
生活環境が大変でも、性格が非常に明るく、くよくよしない人の場合、強いストレスを感じずに生きられることも事実です。だからこそ、個人が外の環境とどう向き合うかということが、大事になってきます。
今回は、私なりに考えた子育てのストレス解消法について、 5 点、紹介します。
一つ目は「一人になる時間をうまくつくる」ことです。多くのお母さんは子育てや家事、地域活動等の全てに真面目に取り組んでおられます。とても素晴らしいことです。ただ、真面目というのは見方を変えると、「常に自分と向き合っている」「自分と対決している」状態です。極度に自分と対決している状態が続けば、強いストレスが生じます。
自分と対決するのをやめることを心理学では「閉鎖」と呼びます。一人になる時間をつくることです。一生懸命に課題に挑戦しようと励む一方で、適度に“現実”から離れて自分一人になることも、ストレスを上手にコントロールするためにはとても大事です。
長時間ではなく、ちょっとした時間でもいいから公園のベンチに座って景色を見る、好きな音楽を聴く、コーヒーを飲むといったことでもよいでしょう。自分の生活スタイルの中で、ごく自然にストレス解消につながることをするのがお勧めです。
頑張った自分にご褒美 !
二つ目は、頑張ったら「自分にご褒美をあげる」こと。子育てを頑張った後には、映画を見に行ったり、ほしいものを買ったりといったご褒美を与えることを意識してみてください。実際の生活の中では、自分が心から楽しめる、具体的なご褒美を目標に頑張ることが、ストレスの軽減につながります。
三つ目としては、現実の生活の中では不満やストレスが、たくさんたまるのが普通ですから、それを「吐き出せる場をもつ」ことです。同世代の方や同じ年齢の子どもがおられるお母さんと、日頃の悩み、つらさを語る。自分の思いの丈を聞いてもらう。つらかったことを吐き出す行為はカタルシス、心の浄化作用になります。
自分のことを語ると、気持ちが楽になるものです。
視点を少し先に向ける
四つ目は「助けられ上手、甘え上手になるお母さんになろう」ということ。家族や近くの親戚、知人にうまく甘えて子どもの面倒を見てもらったり、自分の時間をつくったりするのです。
「子育ては家族の問題だ」と意識し過ぎると、他人に相談できずに、問題を一人で抱え込んでしまうことがあります。それでストレスがたまり、問題がさらに悪化してしまうことも。一人で抱えすぎないことで心が軽くなります。つらいことは、少しでも誰かと共有できるように心がけましょう。
ただ助けを求めるといっても、こちらの全ての要求に応じてもらおうとするのは適切ではありません。 10 の要求のうち、 1 か 2 を聞いてくれたら、理解できる人だと捉えることも大事だと思います。
五つ目として「子育てに完璧を求めない」ことです。プロのアナウンサーも時には原稿を読み間違えます。超一流のフィギュアスケーターでもジャンプを失敗することが何回もあります。子育てでも失敗がたくさんあるのが当たり前です。ただ、失敗ばかりに目を向けないで、少し先を見ていただきたいのです。
近くのものばかり見ていると、目が疲れるでしょう。だから、ちょっと遠くを見るのです。目の前の問題ばかりに気を取られるのではなく、少し先を見据える視点があると、心は軽くなります。楽観主義は、未来志向から生まれます。ちょっと先を見つめる心がけです。そこから希望も生まれるのです。
【教育】聖教新聞 2017.1.8
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