PR
Keyword Search
Freepage List
鳥の生活に農業の影響
日本野鳥の会 自然保護室長 田尻 浩伸
本稿執筆時点では政府備蓄米の放出開始が新聞各紙をにぎわしているが、米不足についてお政府への批判を見ると日常生活に農政が与える影響の大きさをあらためて感じる。いま、今後5年間程度の創成の基本方針を占める食料・農業・農村基本計画の策定が大詰めを迎えている。
今回の基本計画は、昨年4月の基本法形成後初めての計画となる。基本法では、農業が環境に負荷を与えることが明記され、環境負荷低減を図るとされた。世界の絶滅危惧種、準絶滅危惧種の鳥類のうち 73 %が農業の影響を受けており、この数字は森林伐採、侵略的外来生物、狩猟などの影響よりも高い。農業がこんなにも多くの種に影響を与えているのかと驚いたが、逆に言えば、農業で多くの絶滅危惧種の保全に効果をあげられるということだ。
国内では年間約 230 種の鳥類が農耕地を利用するので、やはり農地は重要である。策定中の基本計画を見てみると、化学農薬や化学肥料、温室効果ガスの排出削減などにより環境負荷低減の記述が多く、生物多様性に関しては悪影響を避けることが中心で、積極的に生物多様性を向上させるための取り組みが少ない。農水省も独自の生物多様性戦略を策定しているのに、何とも心許ない。しかし、この状況は国だけの責任とは言い切れない。
国連環境計画が昨年発行した報告書によると、政府による生物多様性保全への積極的な取り組みに賛同する人の割合が日本では世界平均より 30 %ほども低く、また、「よくわからない」と回答した人は世界平均 1 %に対して 20 %にもなった。生物多様性への無関心が生物多様性第 5 の危機という人もいる。多くの人に生物多様性の重要背を知ってもらう取り組みも欠かせない。
【すなどけい】公明新聞 2025.3.28
蝦夷はどこにいたのか October 27, 2025
自分と向き合う October 18, 2025
束の間の邂逅 October 16, 2025
Calendar
Comments