かるまの愚痴吐き場

果たされぬ約束 1



ずっと…待ってたのに…

八重…こコは暗イヨ…
暗イ…サみしイ…

八重…私を見捨テたノ…?
ドウしテ…?

八重…ひトリは淋シいヨ…


紗重はずっと八重を待ち続けた。
最期の時まで八重が戻って来てくれると信じ続けた。
しかし彼女は来なかった。

八重と紗重は皆神村に生まれた双子の姉妹だった。
昔からその村では双子を巫女として用いた儀式が行なわれていた。
村に存在する禁断の地を鎮める為の儀式。

皆神村での言い伝えでは『先に生まれし後なる巫女を、後に生まれし先なる巫女が殺める』

簡単に言えば後から生まれる者…弟、妹が、先に生まれる者…兄、姉を殺す忌まわしい儀式。

その年の巫女に彼女達が選ばれたのだった。
前年に双子御子として儀式に挑んだ立花家の双子、樹月と睦月はお互いを思い合うあまり儀式に失敗した。
代理で楔を作るが、彼の地を長くは鎮められなかった。
その為、急遽儀式を行わなくてはならなくなったのだ。
失敗した儀式での生き残りの樹月は、自らが殺めた睦月との約束を果たすため、八重と紗重を村から逃がした。
彼女達は二人で逃げるはずだった。

『紗重!早く!』

『待って八重!置いていかないで!!』

彼女達が最後に交わした会話。
この直後紗重は足を滑らせ崖から転落してしまう。

村人達に捕まり、儀式に1人で挑むことになったが紗重はそれでも八重が戻ってくると信じていた。

宮司達に囲まれ深道を歩いてる時も、鳥居に掛けられた縄を見た時も、首に掛かった縄で死ぬ時も…

『きっと八重は来てくれる』

そう信じていた。


命の灯が消え、冷たくなった紗重を暗い闇の中へと投じられる。

深い闇の中を紗重は落ちていった。
そして同時に深い闇が溢れだした。

不完全な儀式。
双子が揃っていても失敗があるのに片割れだけで挑めばどうなるか火を見るよりも明らかだった。


闇に飲まれる寸前。
その場に居合わせた者はソレを見た。
溢れだす闇と共に2人の人影が浮かび上がるのを。

『あははははははっ!!きゃははははははっ!!』

耳をつんざくような狂笑。
そこにいたのは楔として捧げられた男と、たった今捧げられた紗重だった。

そしてその夜。
全ての村人が死に絶え、村は闇に閉ざされたのだった。

大償…恐れていた事が自らの手で引き起こされてしまったのだった。

-後書きという名の言い訳-
「零~紅い蝶~」の二組の双子の姉妹を書こうと思って書き始めた話。
今回は黒澤姉妹編。
なんか乱文だなぁ…
一応続きます。

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