ヘナヘナライター 生態日記

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加藤美保

加藤美保

2010.01.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類

今夜は、私両親について、忌憚のない意見を書き連ねてみようかと思う。

感情的になりすぎず、しかも冷淡にもならず、よい意味で冷静に自分の両親のことを語れる年代に、私もそろそろ差し掛かる時期になりつつあるということだろう。

私の父は、現在の文部科学省の下級官僚で、のちにとある女子大の大学教授となった。母は若い時分幼稚園の先生をしており、父と結婚して専業主婦となった。

――なんて書くと、それなりのイメージを抱かれるやもしれないが、2人とも北海道の炭鉱町の出身である。しかも母の場合は、カラフトからの引き揚げ者だ。

私の両親は幼馴染で、戸籍的には親戚にあたる。というのも父が養子に入った家というのが、母の母の妹の家だったからだ。

ワケがわからないに違いない(笑) つまり、私の父と母は戸籍上は従兄同士にあたるワケ。

父の父、つまり私の父方の祖父にあたる人だが、この人は私の祖母と4人の子を成しながら、家族を捨て、戦争中のドサクサに紛れて故郷・九州で他の女性と別に世帯を持った。その後、父の母は4人の子供たちを養うために働きづめで、結局結核を患って死んでしまった。父はいつものように朝起きて、隣に寝ていた自分の母親を起こそうとしたら死んでいたそうである。呼んでも揺さぶっても母親が起きない。冷たく微動だにしない母親を前にした時、その瞬間父は、どんな感情にとらわれたのだろうか? 私にはまったく想像がつかない。

その後、4人兄弟はそれぞれ別に家に引き取られていった。父が最終的に落ち着いたのが、母の母、つまり私の母方の祖母の妹の家だった。縁もゆかりもなかった祖母の妹の家に、なぜ私の父がもらわれることになったのか? その祖母の妹という人は、とてつもなく太っ腹で鷹揚な親分肌な人で、私の父が優秀だったこともあり、その将来性を見込んで、夫の反対を押し切って養子にしたそうだ。父だけでなく、この家にはもうひとり養子がいる。父の戸籍上の兄弟は4人、父が長男で、二男もまた養子、三男、四男が実子である。

対して母である。母の母の母、つまり私の曽祖母は、ある時、本土から娘をひとり連れて津軽海峡を越えて北海道にやって来た。この時連れていたのが私の祖母であった。その連絡船の中で生き倒れとなり、ある男性がこの曽祖母を助けたのである。 これが縁で2人は結婚することになった。2人の間に生まれた娘が、のちに私の父の義母になる人であった。祖母は連れ子だったので、新しい父親にうとまれ、いじめ抜かれたらしい。過酷な環境が災いして、この祖母は伸び伸びと育つことなく、ある意味精神が委縮したまま嫁に行った。そこで生まれたのが私の母だ。

こんな事情で、私の父と母は、幼い頃から親しくなかったものの、それなりに見聞きする仲ではあったらしい。こんな2人が結婚して、私と弟が生まれたと。

ある意味、この2人は欠陥の目立つ環境で育ってきた。私の父は言うに及ばず、母の母、つまり祖母も心に癒せない飢えと乾きを抱えていた人だった。本来、欠けた個所を補うような結婚は理想的だが、欠けた同士、相憐れむ結婚というのは多々問題が生じると思う。実際、私の両親もそうだった。

2人ともそう悪い人たちではないのだが、何か欠けたもの同士なのだ。

たとえば子供に対して、才能や財産なのど、自分の持っているものを子供に継承させるという思いが微塵もない夫婦なのである。これは、私も人の親になって改めて自分の両親に対して腑に落ちない点のひとつだ。


改めて、私の曽祖母や祖母たちの話を書いていると、なんか気が遠くなるような思いだ。妻子を捨てて九州に逃げて行った男や、身を粉にして働いて息絶えた女や、娘を連れて津軽海峡を渡った女や、縁もゆかりもない子供を自分との子として引き取った女、それらすべての人の血が私の中に流れ込み、そして私の娘の中で脈々と生き抜いているかとも思うと――。






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Last updated  2011.05.30 01:35:28
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