今の私の原点「ある新聞記事」
この新聞記事を見て「愕然とした」ところから、今の私は始まっている。
<沖縄タイムス 1998年5月5日> 朝刊 1版 社会23面(火曜日)
「大きな被害なく」ホッと 石垣、住民が高台に避難 県全域に津波警報
危機意識が薄く、今後に課題
大型連休さなかの四日早朝、不意な揺れが沖縄全域を襲った。石垣島沖でのマグニチュード(M)7・7の海底地震。津波警報が発令され、突然の地震に石垣市の住民らは高台に一時避難。不安げな様子で海を見つめていた。各地で観光客がホテルに足止め。ビーチに人の姿はなく、那覇ハーリー会場でも一時、入り口を閉鎖し、消防署員らが警戒に当たった。地震直後に出された津波警報も約二時間半後に解除され、関係者は「大きな被害が出なくて良かった」と胸をなで下ろした。一方、津波警報が出され、避難勧告が出たにもかかわらず、避難しないやじ馬や釣り人も多かった。中部の漁協では警報中にセリが開かれるなど、地震、津波に対する危機意識が薄く、今後に大きな課題を残した。
八重山 やじ馬などの対応策に苦慮
【八重山】津波警報が出された四日午前、八重山地域では行政や警察機関などの呼び掛けで大きな混乱はなかった。警報直後に自主的に高台に避難する住民も多く、防災訓練の成果が出たとする声がある一方で、注意喚起にもかかわらず、沿岸部にやじ馬が並んだ。「大事に至らなくて良かったが…」と防災意識の薄さに困惑する関係者も多かった。
石垣市役所では午前八時四十分、災害対策本部を設置し、職員が広報車で注意を呼び掛けた。石垣港は連休を利用して離島に渡る観光客が集中したが、フェリー会社は客船を避難、欠航させる対応を取った。だが、警報が解除される前に通常運航に戻したため、八重山警察署から注意される一幕も。会社の担当者は「旅行客の航空便の兼ね合いもあり、現場の船長と会社で判断した」と話している。
市内バンナ岳の中腹にある公園には、地震発生直後から百人近い市民が車で避難した。家族五人で来た女性は「揺れが長かったので、心配になった。何もなければいいが」と不安げだった。このほか、災害時の避難場所に指定されている小中学校グラウンドにも市民の姿があった。
一方で、石垣港や登野城漁港の護岸沿いには、警報発令中にもかかわらず、百人を超えるやじ馬が繰り出した。八重山署や石垣海上保安部はヘリやパトカーで護岸から離れるよう注意したが、やじ馬は耳を貸さず、警報解除まで海上の様子をうかがっていた。市の関係者は「台風のときもそうだが、地元の人には危機意識のない人がいる。何かあってからでは遅い」と怒りをあらわにした。
（一部略）
県庁 災害警戒本部設置して対応
津波警報の発令を受け、県は庁内に県災害警戒本部(本部長・大城貴代子文化環境部長)を設置、県内市町村や消防署を通し、厳重な警戒を呼び掛けた。県消防防災課の職員十人が急きょ出勤し対応した。
同本部は警報の解除に伴い設置が解かれた。地震や津波による被害の報告はなかった。
同本部では「沖縄では津波警報が出ると、(津波を見るため)海に行く人がいるなど、津波の怖さに対する認識が低い。今回は幸い大き被害は出なかったが、警報が出たら、速やかに海辺を離れ高い所に避難してほしい」と呼び掛けた。
<沖縄タイムス 1998年5月5日> 朝刊 1版 社会23面(火曜日)
警報中に漁港でセリ/広報で避難呼び掛けた/沖縄市消防本部も困惑
【沖縄】津波警報が出され警察や消防が避難を呼び掛けていたさなか、沖縄市の泡瀬漁港では普段通り魚のセリが開かれていた-。
沖縄市漁協では、午前九時前に港内に設置されているスピーカーを通じて釣り人などに対しては津波警報が出されていることを伝え避難を呼び掛けていた。セリはこの後、海辺から数メートルしか離れていない漁協の建物で午前九時から三十分近く行われた。
これについて同漁協の組合長は「津波の怖さは承知している」とした上で「沖合三キロの所に堤防がある。津波が来たとしても、そこに波しぶきがあがったのを確認した段階で屋上に避難すれば間に合うと思った。消防などからセリの中止を求める要請はなかった」と話している。
一方、沖縄市消防本部では「消防車の広報スピーカーを通じて漁港内でも避難の呼び掛けはしてある。一義的には自分の判断で避難するべきだ。津波は一刻も早く避難しないと取り返しのつかない災害につながる。認識が甘いとしか言いようがない」と困惑した様子だった。
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