乾いた心を癒す音

乾いた心を癒す音

福は内 2


「節分だって。
…呼んでも『福』は来ないと知ってたから…。」


そう悲しげに呟き言葉を切る乾の姿に、柳は彼を呼ぶために差し出したその手で彼の白い腕を捕らえると、その白い手に頬を寄せることで自分の存在と温もりを相手に伝える。


「今、こうして俺は側にいるだろう。」

「うん。」

「これからもおれの腕の中に居続けてくれるだろう?」

「うん。」


迷わず返された答えに同意する様に軽く頷いた柳はその手を引くことで相手との距離をさらに近付けた。
そして諭す様な口調で最愛の人へと対した。


「離れていた時間は、伸びることはない。
しかし、俺とお前の共に過ごす時間はこれから伸びていくばかりだ。
4年と2ヵ月と15日を越え、10年、20年と月日が積み重なったその時には、離れていた期間など些細な時でしかなくなる。」

「うん。ありがと、蓮二。」


嬉しげに微笑んだ乾は、自分の手にした升から一握りの豆を掴み、それを勢いよく真上に投げた。


「福はー内。」


それはさながらライスシャワーの様に寄り添う2人に降り注いだ。

腰掛けたベッドに降り注いだ豆を一粒拾い口に入れた柳は、豆を投げたまま中途に上げられた愛しい者の腕を引き、そのまま口付けを交わす。


-コクリ-


口付けによって、柳の咥えた豆を乾が飲み下した後、静かに口を放した彼は

「福は内。」

そう口にして滅多にない微笑みを浮かべた。


そのまま彼に引かれるままにベッドに倒れ込み、次は乾が、愛する者に福を与える番。

互いの幸せは誰より大事な互いによって…。

Fin

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