乾いた心を癒す音

乾いた心を癒す音

バレンタイン論争 2



「おはよう、不二。
すごいな、いつの間にそんなに体力つけたんだ。データ更新しないとな。」
「おはよう、乾。
そうかな。だとしたら乾のメニューと野菜汁のおかげかな。」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。」

乾と不二の周りには、いつの間にか近寄りがたい雰囲気が生まれている。
先ほど引き剥がされた英二も手塚と並び乾のほうを遠くから見つめるのみである。
…もちろんこれは不二の人外の力によるものなのだが。

犬猿の仲の後輩二人が肩を寄せ、遠くから見つめるほどに他者に恐怖を与えるそのオーラに、しかし、その中にいる乾は気づくべくもない。

「不二、何してるの?もう練習しないと。」

そんな二人に声をかけてきたのは唯一、いや、乾のほかにはただ1人、不二に近づくことができる…

「タカさん、おはよ。」
「おはよう。」

河村隆その人である。

「今日はダブルスの練習するって聞いてたんだけど。まだ話に時間掛かりそう?
なら、1人で大石たちと相手しておくけど。」
「いや、大丈夫だよ。ごめんな。練習の邪魔して。」
「そんなことないから。気にしないで、乾。」

勇者河村(大笑)の働きによって、鉄壁のバリアーは崩された(チャララーン♪)

それにより、それまで近づけなかった面々もある者は怯えながら、またある者は片腹を抑え辛そうに、三人のもとへと集まってくる。
その姿に首をかしげたのは本人は無自覚であるが渦中の人乾貞治。

「どうしたんだみんな。練習しないと。」
「…この騒ぎじゃ…集中できないよ。」

そう周りを見渡すのは、副部長。
フェンス越しには登校時間にはまだまだ早いというのにも拘らず、女生徒が獲物を狩る肉食獣のような目(笑)でレギュラーたちを見つめている。
一般生徒の登校時間が近づけばさらに多くの女生徒が集まってくるに違いない。
本当は、不二の恐ろしさに身動きも取れなかった…という原因もひとつには存在しているのだが、それはおそらくこのデータマニアには伝わらないだろう。

「仕方ない…。今日の朝練は休みにするか。」
「…このままだとここから出ることさえ難しくなりそうだしね。」
「放課後の部活はどうするんだ?」
「…いや、その辺は竜崎先生に確認してみないとな。後で伝える。」
「そうか…。……どうしようかな…。」

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: