乾いた心を癒す音

乾いた心を癒す音

名前-Child of the Sun-


少し沈黙が続いた後、楽俊が口を開く。
「陽子、こちらじゃ、親が名前を決めるとき、その名前に意味をもたせる。あちらじゃどうだ?」
陽子は何でこんなことを言うのだろうと思いながらも
「うん。あちらでも名前は親が考えてつけるよ。
 字画や、漢字の意味なんかを気にして悩みながらね。」
「陽子、陽子の名前は太陽の子供ってことだよな。」
「うん、多分。化学の電子・陽子の意味からとるわけないだろうし…。」
「なんだそりゃ?」
「うん、なんでもない。太陽って言うのは、あちらでは幸せの象徴なんだ。
 太陽は自分達を照らし、暖かい住処を提供してくれる。
 それに、あちらの世界自体がが、太陽によって生まれてるんだ。」
「へえ。そいつはすごい。」
そして少し笑って続ける。

「陽子、こちらの世界では、手が届くことのないほど遠くにある、
 自分達の生活を見守るもの、それが太陽なんだ。
 こちらの人はあちらのように神に願うということはしない。
 天候も蝕も、自分達の力ではどうしようもないと知ってるからだ。
 だから日々しっかり生きる。
 そんな生活を高みから眺めているのが太陽なんだ。」
「陽子、これは王にすごく近いと思わないか?
 決して手の届かないところにあって、自分達のおもう通りの人が玉座につくわけでもない。
 玉座が埋まってもその王が暴君であれば国は衰え、民は苦しめられる。
 名君に恵まれれば、長い間にその国は富み、民の生活は向上する。
 んで、きっとな、麒麟はきっと太陽が昇るまでの暗闇の中を照らす月のようなもんなんだろう。
 太陽が昇るまでその月が民の心を支えるんだ。
 太陽と月は正反対のものだ。でも両方もないと生活はできねえ。」


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