今日も他人事

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ガマ帝

・ガマ

『二度目は許さないといったはずだぜ!』

諡号は蛟龍帝。帝国武装商船団に所属する海の戦士である。

ガマは武装商船団の中でも群を抜いて活発で頭のいい若者だった。

若くして船長となったガマは水陸を問わず様々な困難や戦いに立ち向かい、武装商船団の発展に大きく貢献を果たし、当時の団長マゼランから後継者として推されていた。

その後、ブルーザー帝が伝承皇帝となり、マゼランが近衛騎士団の一員に抜擢されると、ガマは後任として武装商船団の全権を任されたのである。

だが、その二年後、マゼランの留守を任されていたガマの下へ思わぬ悲報が届くこととなる。

行方が不明となっていたブルーザー帝と近衛騎士団員達の遺体がサバンナにて発見されたというのである。

彼ら遺体は魔物の跋扈するステップ地帯に討ち捨てられていたが、放浪の民ノーマッドによって回収されていたのだ。

確認のため、帝都バレンヌを訪れたガマが既に腐敗し、原型を留めていない英雄達の遺体に怒りと悲しみの叫びを上げると、ガマの体を伝承法の光が包み込んだ。

彼はブルーザー帝がどのように命を落としたかを知り、ボクオーンを討ち果たし、先帝の無念を晴らすと高々に宣言した。

ガマにとってブルーザー帝は憧れの英雄であり、マゼランは二人目の父親というべき存在だったのだ。その仇を討つことを目指したのは当然といえるだろう。

ガマの依頼を受け、バレンヌ帝国の軍師コウキンは移動要塞に篭るボクオーンを討つ為の策を練り上げる。

コウキンは地上戦艦に対抗できる巨大な戦艦を建造し、ステップ地方へと設置した。

ボクオーンは完成間近の巨大戦艦に対して地上戦艦に格納されている陸戦部隊や魔物を向かわせたが、これはコウキンの戦略の範疇であった。

コウキンはボクオーンの攻撃を誘い、兵力が分散した隙を突いてガマと直属の近衛騎士団たちに密かに地上戦艦へと潜入させたのである。

手薄となった地上戦艦の警備を突破したガマが、最上階の玉座にたどり着いた時、ボクオーンは性懲りもなく自らの立場を偽り油断させようとした。

だが、ブルーザー帝の記憶を受け継いでいたガマは騙されたと見せかけて、即座に反撃に転じ、ボクオーンを討ち取ったのである。

また、この地上戦艦を巡る戦いではガマが考案した「ラピッド・ストリーム」という陣形が初めて実戦の中で威力を発揮した。

この陣形は先手必勝、一撃必殺を目的とした極めて攻撃的な陣形であり、以後の帝国騎士団の基本戦術となるほどの影響を示した。

こうして先帝の無念を晴らしたガマはファーファーからコムルーン島の航路を開拓し、コムルーン島の火山噴火を阻止するために尽力するなど大きな働きを示した。

以後、帝国領内の各地を渡り歩いたが、南ロンギットを航海中、突如として吹き荒れた大嵐に巻き込まれて消息を絶ってしまう。

この大嵐は以後、数百年に渡って南ロンギットに吹き荒れ続け、帝国の海運に大きな打撃を与え続けることとなった。

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