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糸山先生のこと


「絶対学力」-あとがき-
 ここ5年の間に、胃癌手術と脊髄内腫瘍摘出手術を受けました。特に脊髄内腫瘍では医者から「珍しいもんにかかったなぁ」などと言われました。人は大病をすると人生観が変わるといいます。ですが、私はこれっぽっちも変わりませんでした。病院のベッドの上でも、子ども達からのFAXやノートを添削し、より分かりやすい指導方法や新しい英文法を考えていました。
 私は子ども達に、鋭い観察力と深い洞察力を身につけてもらいたいと思っています。これらの力が身に付けば世界は限りなく素敵な様相を呈してくるからです。私は、これこそが子ども達への最高の贈りだと思っています。そして、そのためには「考える力」が必要なのです。
 今年も奈留島(五島列島)の千畳敷で、海水浴がてら石を集めてきました。誰一人として見向きもしない石ですが、実は素晴らしい石で、私には辺り一面が宝の山でした。子ども達も私の真似をして、たくさんの石を集めて「きれいだね」「アヒルさんみたい」「何で丸いのかなぁ」などと言いながら品評会をしていました。それぞれに集める基準が違うので、それぞれに面白かったようです。些細なことですが、ここでも子ども達はうっすらと自分で自分の基準(選択基準・判断基準)を作っています。多くの場面において、自分自身で判断基準を創り出すことができると人生は一気に素敵なもの・有意義なものになります。私は子ども達に自分の人生を楽しめる人間になってもらいたいと思っています。そして、その基礎力が考える力であることは言うまでもありません。教育とは、決して知識の切り売りなんかではありませんし、問題の処理方法を教えることでもありません。教育とは学力を育むことです。そして、親である以上、あるいは教育者である以上は、間違っても「知識=学力」あるいは「処理能力=学力」などと思ってはいけません。学力とは人生を有意義なものにする必要不可欠な考える力のことなのです。教育は子育ての一環です。保護者も教師も教育者です。ですから、子どもと接する機会のある人は誰もが「教育とは何か」を真に分かっていなくてはいけません。教育とは人生を楽しむことが出来る力を育てることです。一人一人が自分独自の判断基準を創り出すことが出来る力を育てることです。そして、学力とはこれらの様々なものの見方・考え方を理解できる力のことです。
 私は、3人の子どもに、ひらがなで、ゆう(小6男)・れい(小3女)・めい(小1女)と名付けました。それぞれに複数の素敵な意味を持っているからです。子ども達が大きくなって自分で自分の好きな意味を選択できるようにと思ったからです。3人の子どもは一度も夜泣きをしませんでした。そして一度も奇声を発したこともありません。良き母親に恵まれた証拠です。
※妻の多大なる協力に感謝します。(妻とこの本に Happy Birthday.)
[From どんぐり倶楽部:糸山泰造]

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