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精神も病んでいく日々

【精神も病んでいく日々】

それでもやっぱり、のぼせ感と寒気、だるさ、食欲不振、不眠、眠気、鬱症状は
大波小波と襲ってきていた。

子供達や旦那さんに八つあたりする事も何度もあった。

旦那さんのくだらない一言に切れて、家出まがいな事もしたこともある。

なんだか、精神にも副作用が出て来てる・・・と感じた。

エストロゲンというホルモンは、女性の身体ばかりか心の安定をもコントロールするホルモンなのだと、つくづく思った。

私は本屋に行ったり、ネットで更年期障害について色々調べた。
それにはやはり個人差が大きい。
更年期を難なく乗り越えている人もあれば、
更年期障害の不理解の中で、リストラをされたり
友達を失ったり、ひどい人は離婚にまで追いこまれた人もいた。
症状も色々で、つわりのように２４時間吐気があったり
頭痛と身体のあちこちが痛んだり
短気になったり、涙もろくなったり
被害妄想や脅迫障害に似た症状もある人がいるという。

それでも私は、そのひどい方の部類にあった。

身体の諸症状より、精神的な症状がひどかった。

もともと綺麗好きだったが、もっと神経質になり
少しのほこりも、髪の毛一本も許せなかった。
いつも家の中はピカピカじゃなくちゃダメだった。
だけど、身体のだるさとのぼせで
思うように掃除ができず、いつもいつもイライラしていた。
子供達が散らかしたり、汚したりするのがすごく気になって
イライラしていた。

でも、子供達は散らかすのが仕事だし、神経質に育てたくなかった私は
我慢するしかなかった。
でも、綺麗に保ちたいという衝動は、押さえきれなくなってきた。

３３歳でいきなり来た更年期障害。
薬で無理矢理排卵を止めるのだから、身体の方が驚いたのだろう。
自然に来た更年期とは訳が違うはずだ。
心も身体も副作用が蝕んでいくようで
私はいつも
「これなら子宮を失った方がましなのか・・・」
と繰り返し考えていた。

あと、2ヶ月！たった2ヶ月！
あと、1ヶ月！たった1ヶ月！

と自分を励まし、子供たちと旦那さんの協力のもと
一日一日をやっとの思いで過ごしていった。
一日がとても長かった。

眠れないから起きている時間が長いせいもある。
24時間を40時間くらいに感じた。

旦那さんは、洗濯も料理も、いる時は全てやってくれた。
とても感謝していたのに、口を開けば文句か愚痴か嫌味だった。

「あんたはいいねー！子宮がなくてねー！こんな病気になりたくてもなれないでしょ！ほんと羨ましいねぇ。のうのうとにやにやして頭に来る！」

「ちょっとー！食器を洗うのに恩着せがましくガチャガチャ音をたてないでよ！頭に響いて気が狂いそうだよ！もっと静かにやってよ！」

「まったく気が利かないねぇ。どうせ洗濯物をたたんだなら、ちゃんとクローゼットにしまっておいてよー！こういうのを中途半端って言うんだよ！」

などなど、感謝の言葉を言わなければいけないというのに
この頃の私にはこういうセリフしか言えなかったように思う。
自分で覚えているのはこれくらいだけど、
もっとひどい事を言っていたに違いないと思う。
まるで嫁をいびる姑のように・・・

何か嫌味を言っていないと、自分の心と身体が壊れていきそうな
変な感覚だったし、知らず知らずのうちに
子供たちには普通に接しなくちゃというストレスを
旦那さんにぶつけていたんだと思う。

よく、逆切れもせず、私の気が狂ったような生活に我慢してくれたと
今でもとても感謝している。
病気で苦しんだのは、私一人ではないと言う事を忘れてはいけないと思う。
家族みんなが、心身ともに変わっていく母、或いは妻を
戸惑い、迷いながらも支えてくれてたのである。

でも当時の私には、そんな感情を持つ余裕も体力もなかった。
毎日がただ地獄のようで、笑顔も減っていったし
ベットに一日中いたこともしょっちゅうだったし
痩せてやつれて、性格も悪くなって顔つきまで変わっていたと思う。

1人でいると、溜息と独り言。
精神病患者のようだったに違いない。

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