宇宙一暇人ブログ

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第一章 中編



作戦将校が叫び声に近い大声をだす。ザワザワとしたミーティングルーム内の視線が一斉に前に向けられた。

サイファーもホワイトボードに目を向ける。

「今回の作戦は国境付近で戦う陸軍を支援する対地攻撃作戦だ。F-4E隊とA-4隊は1000ポンド爆弾を積んで国境周りの部隊を掃射しろ。」

何人かが声を張り上げている。やはり正規の空軍とは違い、緊張感の度合が違う。

「F-5E隊とF-16隊は対地用のミサイルを積んで車両攻撃をしろ。間違って味方を撃つなよ。作戦開始時刻は1時間後の6時。では幸運を祈る!」

作戦将校が杖をつきながらミーティングルームを後にし、ぞろぞろと他の数人も出ていく。

「ようサイファー。あんたは落ち着いてるね」

後ろからウィリアムに声をかけられ、サイファーは振り向いた。

「まあね。今騒いでも意味はないからな。騒ぐのは生き残った後でいい」

「そりゃドライな考えだな。そんなんで息が詰まらないか?」

カイルに聞かれ、サイファーは「もう慣れてる」と返事をして兵舎から出た。

「じゃあな。お互い生き残ってたら会おう」

サイファーはハンガーへ向かう足を速めた。

「ああ。生き残れよ」

ウィリアムとカイルもそう言い返し、F-4Eが駐機するハンガーへ急いだ。

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「こちら偵察舞台!敵がすぐそこまで来てる、注意してくれ!

国境のクール山脈ではエストバキアの地上部隊とクライク共和国の国境警備隊が戦いを続けている。

「こちらチームA!了解した、榴弾で吹き飛ばしてやる」

隊長のエンフィールドが無線機に声をかけ、無線機を腰にさした。

「隊長、榴弾と迫撃砲の用意ができました。」

スリングで自衛用のウージーサブマシンガンを肩にかけた火器砲手が言った。まだ最近入ったばかりの新兵だ。

「御苦労。指示を待ってくれ」

エンフィールドはそう言い返し、双眼鏡をのぞいた。敵は岩にでも道をふさがれているのか、予想より来るのが遅い。

「空軍の支援が来るのは6時30頃だったな?」

横にいる護衛に声をかける。護衛は「そのはずです」と答えた。

「あと40分か・・・」

エンフィールドは双眼鏡を首にかけなおし、背中に背負っていたM4A1カービンを肩にかけなおした。

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日が沈みかけるのをキャノピーごしに見たカイルは時計に目をやった。時刻は5時50分となっている。

「よし、いくぞ!」

沈みかけた夕日に爆弾をどっさり積んだF-4Eが飛んでいき、そのあとにウィリアムとカイルのF-4Eも続いて滑走路に並んだ。

「こちら管制塔。離陸を許可する。」

少し硬めの声がヘルメットについた通信機に響き、ウィリアムは操縦桿を握った。

「行くぜ・・・!」

スロットルを全開にしたF-4Eが炎の尾を引きながら沈みかけた夕日に向かって飛んで行った。

「こちら管制塔。F-5E隊、発進せよ」

F-4EとA-4が全機発進し、F-5E隊の発進が始まった。F-4Eより若干小さめのバーナーノイズが響き、発進していく。

サイファーの機体もそれに並びスロットルを全開にして離陸した。

「この基地も久々に騒がしくなったなあ」

整備員がひとりごち、兵舎に向かった。

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「来たぞ!敵の装甲車だ!」

エンフィールドは双眼鏡を覗き、エストバキアのごつい装甲車を見た。

「迫撃砲を歩兵に撃ち込め!装甲車はひきつけて対戦車ライフルを使うぞ!」

大声でどなったエンフィールドの声を無線で聞いた砲手が一斉に迫撃砲を撃つ。高圧ガスでとんだグレネードが走る歩兵部隊に向かった。

「弾をさっさと込めろ!早くしないと敵が来るぞ!」

砲手の一人が叫び、弾を迫撃砲に込める。しかしエストバキアの部隊はもうすぐそこまで来ていた。

「クソ!」

エンフィールドの横に立っていた護衛の一人がM16を敵の歩兵に向け、引き金を引いた。

エストバキアの歩兵も負けじと岩にしゃがんで隠れながらAK-74を撃つ。

「こいつの威力を見せてやるぜ・・・!」

装甲車に向けてラティ対戦車ライフルを向け、引き金を引く。轟音とともに強力な対物弾が装甲車に向けて放たれた。

榴弾砲も大きな音をたてて弾を吐き出す。装甲車はすでに走行不能に陥っていた。

「やったぞ!」

岩に隠れながら砲手が言った。しかし相手のAKの乱射は収まらず、まだ逃げることはなかった。

「まずいぞ!」

エストバキアの兵士の一人が言いだし、できるだけ遮蔽物に隠れながら逃げていく。それに続き全員が退却していった。

「やったか?」

エンフィールドがM4を杖代わりにして立ちあがった。しかし敵兵が逃げて行った方向から装甲車とは違う音がするのをエンフィールドは聞き逃さなかった。

まずい、とエンフィールドは思い砲手に残りの弾を聞いた。

「もうほとんど残っていません!」

砲手から言われ、エンフィールドはがっくりと腰を落とした。

エンジン音はもうすぐそこまで来ていた。

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「あんまり飛ばすと燃料がもたねーぜ!」

先頭から少し後ろのグレーのF-4Gを駆るパイロットがヘルメットに内蔵された無線機に声をかける。F-4Gは本来ワイルドウィーゼル(防空レーダー攻撃)に使用する機体だが、ここでは基本的に空軍型のF-4Eも海兵隊のF-4Jも変わりはなかった。

「急がないとやられちまうかもしれんだろ!国境突破されたらどうなるかわかったもんじゃねえ」

F-4部隊の後ろに飛行するのはA-4に乗るイカツイ髭面のグレーンが応答する。

爆弾を積んでいるため、燃料の消費が激しいため不安にはなるものだった。

「見えてきたぞ!敵の車両部隊は結構進んでやがる!」

カイルがレーダーディスプレイを見ながらいう。ウィリアムも相槌を打ってからつばを飲み込んだ。

そして目視でも確認できる距離まで地上の部隊が見えてきた。エストバキアのT-72が砲撃を行う姿が見えてくる。

「いくぞ!アタック!」

先頭のF-4Eが急降下してエストバキアの部隊がいるところに飛び込むのを皮切りに他のF-4、A-4も飛び込んだ。

F-5部隊とF-16部隊はそれを越えてT-72の砲撃と味方の誘導灯を目印に低空飛行に移る。

「交戦!」

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エンフィールドはM4A1を構えながら確実に近づいてくるエンジン音を聞いていた。

この聞きなれたうるさいエンジン音はエストバキアのT-72。T-90に更新が始まっている中、こいつで大丈夫だろうと送られてきたものに違いなかった。

実際ここの戦いではまともな支援を受けていないため、敵のT-72は大きな脅威だった。実際弾薬の補給が追い付かずつぶされた部隊もあったくらいだ。

「空軍の増援はまだか?」

エンフィールドは通信兵に聞く。基地をとびだったと聞いた通信からもう20分は経っていた。

「もう少しのはずです!」

通信兵が大声でエンフィールドに答えた。エンフィールドは舌を打ち、晴天の空を見わたした。次の瞬間、後方に火が上がるのをエンフィールドは感じた。

「敵の砲撃が始まったぞ!」

一人の兵士が叫び、それを合図にしてM16を構えてゆく。残った榴弾の砲撃も始まったが、戦車の装甲にはあまり効果がなかったようだ。

進軍を続けるT-72の流線形のボディが周りを囲むエストバキアの兵士とともに全身を表わした。

「さがれ!全員さがれー!」

エンフィールドの声が響き、聞いた兵士が一斉に下がっていった。

T-72の機銃がタタタタ、と轟き襲い掛かってくる。兵士の数人が機銃の掃射を受けて倒ていった。

兵士たちが倒れた何人かの名前を叫んだ直後、耳をつんざく大音量の音が兵士たちの鼓膜を打った。

「空軍の増援です!」

通信兵がエンフィールドに耳元で伝える。兵士たちも歓喜の表情を浮かべている。

「バカ野郎!喜ぶのはまだだ!はやく誘導するぞ!」

兵士たち数人がM16のハンドガードについたレーザーポインターのスイッチを入れ、レーザーをT-72に向ける。

そしてそのレーザーを目印にした一機の翼端を青く塗ったF-5Eが低空飛行でこちらに近づいてくる。

「退却しろ!巻き込まれるぞ!」

兵士たちがT-72からにげたときよりも素早く走り去っていった。対車両用の広範囲に拡散しない爆弾だが、巻き込まれたらひとたまりもない。

後ろでT-72が眩い光に巻き込まれていた。エンフィールドは兵士たちとともに耳をふさいだが音は鼓膜を殴るように響いた。

エンフィールドはM4を振り上げ、兵士たちとともに叫んでいた。

旋回していったF-5Eが大きなバーナーノイズを轟かせていた。

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