緊急入室！

　もう３日前からターゲットの車が駐車場で動いていない！おかしい。
ここは●●ンド●●の物件。私のターゲットは９階である。
早速ポストを探ると請求書の山！先日もターゲットがよく行くレンタルビデオ店から毎週きちんと返却にくるのに来ていないという。
かなりの高齢者で先週も具合が悪そうだったとの事。
「んー、よし今日は緊急入室をしよう。」と管理部のSさんを呼び、いよいよ入室。

ドアを開けるとプーンと鼻をつく異臭。かすかに奥の部屋から電球のあかりがこぼれている。「●●さん」呼んでも返事がない。靴を脱ぎたくないほどの部屋中ゴミの山。一応靴を脱いで一歩踏み出すと小さい小蝿が顔をかすめドキリとするがさらに奥の部屋に進む。
あれ？Sさんも来てよと思いながら奥の襖に手をかけるが開かない
どうしよう！力を入れてもう一度。ガタガタと何か崩れ落ちる音がして一瞬ひるむが・・・・。開いた！　

そこには肌着姿の老人が、これまたゴミの山に囲まれた布団にポツリと座っている。彼の枕もとには殺虫剤のスプレーが。「●●さん、あなた一体何者ですかどこの誰なの？」そう彼は転貸による不法入居者！いまにも死にそうな体つき聞くともう１週間近く食欲がないという。携帯がころがっているので本当に苦しかったら自分で救急車ぐらい呼ぶだろうと思い、ひとまずこの異臭と小蝿の部屋から退散しよう。

４月２４日
　午後7時３０分ごろ退社して疲れた体をランクルのシートにうずめる。
今日は●●●のとある不動産屋をキッチリ囲んでやったが、入金はあるだろうと思う。この業務は約７割近くが期待を裏切られるが・・・・。
と思いつつ８時に我が家のパーキングへ。ふと頭をかすめる嫌な予感・・・・・・
　　　　「アレ、例の●●●●●の老人は？確か携帯もってたけどなぁ。でもお金、はらってなければつながらないかも？」急に心配になる。
「ンーくそー」ヤバイ。
やっぱり訪問してみよう。せっかく自宅まで着いたのに。繁華街あたりで管理部の裏番にTEL。つながった。まだ居るみたい。事情を説明し同行してもらうことに。
ラッキーなことに営繕部のHさんも一緒にいってくれる。心強いなー。

当然なんのためらいもなく今度は土足で一気に奥の部屋まで進むと「ゲっ！以前より酷そう」「●●さん、救急車呼ぶか？」と聞くと「呼んでくれ～」との返事。
「Hさん救急車呼んで。」「あー部屋の中で仏にあわないでよかった。」
成り行き上、一緒に救急車で●●病院へ。あ～ぁしんどい一日だった。

５月６日
　連休ボケで頭の回転が鈍いが、私のお客さんは多重債務者！もういくら借りてるか分からない人が多い。私も彼らの返済金額までもしっかりよめるくらいだ。

　幸運なことに朝一で●●貸家の●●さんが１０万円をもって来社。７～８万しかない年金なのに・・・・。でもありがたく回収。さらに追い討ちで退去を勧める。

　きょうは愛車のランクルでいろいろ回ろう。陸運局で第二●●●●●●の不明者の車をチェックしよう。
こいつは一回も入金がなく保証センター扱いだ。電気も止められ、車も置き去りのまま。いったいどこに行ったのか？緊急連絡先の叔父は関係ないとつっぱねるし、みよりもないし。今ごろマグロ船に乗っているのかな？それにしてもその置き去り車の後部座席の盛り上がりが気になる。
まさか？と思いつつガラス越しに匂いを嗅ぐがわからないよねー。

５月７日
　衝撃な一日の始まりだった。午前１０時かねてから懸案だった、●ティ●●●ン●へ行く、この入居者は繁華街の老舗喫茶店のもとオーナー、昔は私もよく通ったものだった。案の定お決まりの街金の督促状がポストに詰まっている。10●号室の前に立ちドアポストより中を覗こうとすると心なしかドアが浮いている感じ。ドアノブをゆっくりまわしてみると、開いた！中は綺麗にカラッポ状態。やられた！

まぁ、俗に言う綺麗な夜逃げ。さっそく電話のつながらない連帯保証人のマンションへ行くがやっぱり留守。ここのポストにも夜逃げした入居者の名前が書いてあるはがきがいっぱい。多分このマンションの連帯保証人は夜逃げ者の女であろう。契約書にも知人と書いてあったから。朝からついていない。

　夕方、そう時間は、４時過ぎもう一つの懸案のメ●ンド・●●●●へ調査の足を運ぶ。エレベーターで●階の部屋へ向かう。ウワーッ・・・・・。　　　つづく

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