黒の衝撃。



洗濯物を手洗いしようと風呂場へ入り、洗剤を入れて手で洗いながらふと隅を見ると壁のタイルに広がっている黒っぽいものがいつもと違って見えた。

普段風呂場を利用するのは頭を洗う時か風呂へ入る時のどちらかで、その場合はメガネをはずして入っていたので黒いものがぼんやりとしか見えず、私はただのカビだと思っていた。

メガネで遠近感がはっきりした今、カビにしか見えなかったものがやけに立体的である事に気付いたのである。



カビじゃないのか?



何の気なしに黒いものに近付いてよく見てみると、それはカビじゃなければシミでもなかった。















キノコだった。












キッ、キノコ!ウチの風呂場にキノコがぁーッ!



何を養分にしてこんなに育ちやがった菌糸類!!





自宅の風呂場でまさかキノコが自生していたとはお釈迦様でも思うまい。

キノコでこんな衝撃を受けたのは、朝顔を育てていたら自分の鉢にだけキノコが生えた小1の時以来だ。

洗濯を途中で放り出し、すぐさま台所にいる母に報告すると「そうそう、生えてんだよ」とのんびりした答えが返ってきた。
母が知ってるなら当然祖父母も知っているだろう。

知らなかったのもしかして私だけ?っつーか皆知ってて何の対処も今までしなかったのかい。


キノコが生えるような環境の中で私は頭や体を洗っていたのか・・・。なんて嫌な風呂場なんだ。
同じ生える物ならカビの方がまだマシだよ。

メガネさえかけていなければ、ずっと知らずにいれたのに・・・。






















見えない方が幸せな事もあるんだと悟った、ある夏の日だった。


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