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2018.10.05
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カテゴリ: 音楽






最大の見どころ聴きどころは、バイオリンのチョン・キョンファと指揮のチョン・ミョンフンの姉弟共演。曲はブラームスのバイオリン協奏曲。
満員御礼の東京オペラシティのステージに現れたチョン・キョンファは、群青色のドレス姿。チョン・ミョンフンは、トレードマークの黒のTシャツに黒のジャケット。黒のパンツ。
私の席はステージ上手上の3階席。ステージ上の指揮者、ソリスト、オケ奏者たちの動きが見下ろせるので面白い。ソロパートを待つキョンファが、左手をドレスのお尻あたりでしきりに拭いている。汗で濡れているのだろう。世界的なベテラン演奏家も緊張するんだな。

第1楽章のソロ演奏が始まった。力強い音だ。躍動感もある。見下ろせる席からは彼女の運指がつぶさに見える。すばやく美しいこと。
いよいよ楽章最後にある無伴奏のソロ・パート(カデンツァ?)。この曲の最大の聴かせどころだ。奏者も聴衆も緊張する。4分近いソロだった。技巧を駆使した華麗な演奏だった。そこに70歳という老練さも加わった心に残るものだった。

第1楽章が終わった。カデンツァを終えてほっとしたのか、キョンファは、ミョンフンに笑顔で何かを話しかけた。何を言っているかはわからない。そしてバイオリンを抑えるために使っていたハンカチで顔の汗を拭いた。あまりになりふり構わず拭くので笑ってしまった。率直で男っぽい性格なのだろう。

第1楽章を無事に終えたことで、第2、第3楽章のソロは、落ち着きと押し出しの強さを増し、一層存在感を感じさせるものだった。オーバーアクションのキョンファと対照的に、ミョンフンのタクトは静かで内省的な省エネ型。にもかかわらずオケはメリハリのあるいい演奏を続ける。指揮者とオケの信頼関係が出来上がっているんだなと思う。

そして演奏終了。同時にブラボーの嵐。私も感動していた。来てよかったと思った。



この日のコンサートの見どころ聴きどころは、これだけではないのだ。休憩をはさんだ後半の曲が、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」なのだ。




この音が聴けるのだ。私のいる上手3階席にはどんな音が響くのか?そしてチョン・ミョンフンは、このユニークな曲をどのように料理するのか? 興味津々だ。

チョン・ミョンフンは足早に指揮台に上り、楽員の方に向き直った瞬間に指揮棒を振り始めた。予習に 歴史的名演とされる ジャン・マルティノン指揮フランス国立放送管弦楽団のCDを聴いてきたのだが、
それと比較すると、ぐっと テンポが速い。 でも艶やかさ華麗さがある。マルティノンに引けを取らない演奏だ。東フィルはミョンフンの高速タクトに乱れることなくしっかりとついて行っている。

さあ、いよいよパイプオルガンの大音声が響く第2楽章・第2部だ。
第1部の静かなエンディングの フルートの音が消える と同時にパイプオルガンが地響きのようなうなりを上げた。荘厳な音に鳥肌が立つ。奏者は石丸由佳。私の席からはパイプの陰になって演奏する姿は見えなかった。こんな大音声を大ホールに響かせるのだから気持ちいいだろうなあ。

フィナーレとなる 第2楽章・第2部は、パイプオルガンや連弾のピアノなども加わり色彩豊かに展開し壮大に幕を閉じる。見事な演奏だった。またもやブラボーが沸き起こる 。「アンコール!」の声も聞こえる。しかしアンコールはなかった。最近のクラシック演奏会は、前半にソリストによるアンコールはあっても、メインディッシュの後のアンコールは滅多にない。昔は必ずアンコールとして小品を演奏していたけど・・・。
名演であればあるほど、アンコールがない方が余韻が残っていいのではと思う。サン=サーンスの交響曲を聴いた後に、同じ サン=サーンスの「動物の謝肉祭」の小品を聴きたいとは思わないよね。

以前に聴いたチョン・ミョンフンと東フィルによる幻想交響曲も素晴らしかったがこの日も大満足のステージだった。こういう演奏会をTV収録して放送してほしいなあ。N響もいいけど・・・。頼むよNHK。

最後に一句。  「  七十の   カデンツァ沁みる   秋の夜  」







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最終更新日  2018.10.05 14:06:38
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